クリスマスの気まぐれ.13

「今の人、カッコよくない!?」
「でも、彼女連れじゃん。」

チラりと横目で、さりげなく自分たちのことを言われているのだと確認してしまう。
彼女ではないけれど、そういう風に見えるんだ!
そう思うと、ちょっと浮かれる。

そういえば、村田さんは歩きながらずっとスマホを操作している。
邪魔をしては悪いかと、黙って隣を歩く。

「上映時間、ちょうどいいかも。」

スマホを眺めながら言う。

「そうですか?」

「うん。」

映画館に到着するまで、視線はスマホに向けたままで、時々会話はするものの、視線が合うことはなかった。
話ながらも、操作出来るなんて器用だなぁ。
そう思おう。

チケットとパンフレットを買って、近くのベンチに座る。

「すごく話題らしいよね。」

パンフレットを広げて、スマホのカメラに収めながら村田さんが言う。

「楽しみですね。」

村田さんは、パンフレットの他にも、チケットやポスターも次々にカメラで撮影している。
なんとなく、手持ちぶさたでパンフレットをパラパラめくっていると、入場のアナウンスが流れて、2人で館内に入場する。

映画が始まる直前まで、隣では村田さんのスマホのディスプレイが光っていた。
そして、エンディングが流れると同時に、またスマホのディスプレイが光る。

「おもしろかったね!」

満面の笑みを向けられて、少し戸惑う。

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