クリスマスの気まぐれ.19

せめてもの救いは、いつもあまり行かないような場所で良かった。
駅前まで戻ってきたけれど、お腹は空くし、なによりも寒さに耐え切れず、駆け込んだコンビニでカイロを掴み、タイツも買ってしまおうかと悩んでいると。

「…ナズナさん?」

「げ、カンナ。」

「げ、って失礼ですね。
なにしてんですか?」

「な、なんでもない!」

カイロを後ろ手に隠す。
チラリとのぞいたカンナの持つカゴの中には、お弁当が入っている。
いつものスーツ姿だから、仕事帰りなんだろうな。

「ご飯まだなの?」

「はい。」

「じゃあ、ちょっと付き合ってよ!」

カゴを奪い取って、お弁当を棚に戻す。

「レジ済ませるから、待ってて。」

カイロを買って店を出ると、小さなペットボトルを差し出された。
受け取ると、温かい。

「寒いのに、我慢してオシャレするからです。」

呆れ顔で言われた。

「し、してないし!
ねぇ、ラーメン食べよ、ラーメン。」

「はいはい。」

ずんずん歩き始めると、カンナは苦笑いしながら、後ろを着いてくる。
よく行く近くのラーメンやさんに入って、カウンターに並んで座る。

「ビールとギョーザと塩ラーメン、二つずつお願いします!」

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