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【書評】みんな必死で「恋人ごっこ」をしているー「恋人プレイ」玉置勉強

【基本情報】
全2巻
講談社
2007年初版
著者は玉置勉強
代表作は「東京赤ずきん」など。

代表作「東京赤ずきん」


【あらすじ】
はじめに体、そのあと恋。“みんな恋しているつもり。”
彼女は鞭で打たれていた。僕はギターを弾いていた。そして2人は恋をした――。
大学生の男女の恋と性を繊細なタッチでリアルに描いた、
玉置勉強の記念すべき一般漫画誌デビュー作が電子で復刊。

【感想】
これは正統派な青春純愛漫画ですよ!

「恋人プレイ」なんて、エッチなタイトル!
しかも、SMの話なんでしょ??
と思ったら、面食らいました……。これは騙されましたよ。

玉置勉強先生はエロ漫画時代からどこか切なくチクリと胸が痛むような作品が多く、この作品はデビュー作でありながらもその集大成と言えます。

あらすじをもう少し詳しく説明すると、

流されやすいダウナー系ギター少年の佐伯くんが、ある夜。SMショーのバックで演奏していると、M女の顔をよく見たら同じ大学に通う少女奥野だった。

二人はなりゆきで一晩を共にする。惹かれ合うのは時間がかからなかった。
しかし、2人の元カノの登場に浮気にSMの性癖にと問題は山積みで、どんどん重くのしかかってくる。


二人は不器用に愛し合い傷つけ合うが……。

という、青春純愛成長劇。


誰しもみんな精一杯、「恋人ごっこ(=プレイ)」を演じている。

人が人を「好き」になるってなんだろう。
「好き」ってなんだろう。
わからない。
「好き」なんて、誰にでも言えて欺瞞なんじゃないか。
でも、たしかにあのとき感じた想いは本物だったよね。 
これが「愛」じゃないなら、何が「愛」なの?

大人の関係から始まった私たちは、実はまだまだ子供だったんだね。

失恋って、別れることって、辛いよね。
でもさ、ちゃんと過去は精算しないとならないんだ。
そうしてみんな大人になっていくんだよ。

そんなことを思いました。


こうして言葉にしてみると、とてつもなく月並みでありきたりかもしれません。
だからこそ、普遍的なテーマを扱っていて、まさに王道的な純愛物語と言えます。

ラストは悲しくてやるせなくて、胸を打たれました。
これを素直にハッピーエンドだと思えないのは、私が自身の恋愛と重ねすぎなのかもしれません。
もう二度と別れるという経験はしたくないので。

とりあえずラストのこのコマが秀逸。
本当にいい話をありがとうございました。

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