地球温暖化でスノードロップが早く開花している
スノードロップは、多年草で草本開花植物です。雪の残る時期にいち早く開花し、冬の終わりを告げてくれます。草丈は10~20cmで、イヤリングのように垂れ下がった白い可憐な花を咲かせます。なぜ冬一番に咲くのか?また、地球温暖化によって冬が暖かくなってしまうとこの花はどうするのでしょうか!?
なぜ冬一番に咲くことができるのか?
下の写真のように、雪の中でスノードロップの芽の周りだけが雪解けしています。これは太陽の熱効果、つまり周囲の雪よりも暗い新梢に吸収された光によるのかもしれませんが、逸話によれば、新梢は熱を発していると言われています。スノードロップはまた、葉の先端は凍った地面を突き破るために硬くなっており、氷の結晶ができるのを防ぐ不凍たんぱく質も含まれています。スノードロップが多くの庭園で春の訪れを告げる最初の花となれるのは、このような適応力があるからだと考えられます。
特徴その1:不凍たんぱく質(AFP)で寒さに強い
寒さに強い身体づくりをしているから、スノードロップは寒い時期でも成長しているのですね。不凍たんぱく質はスノードロップだけではなく、様々な植物、魚、動物に含まれており、冷凍食品や医療分野においても応用研究が期待されています。
特徴その2:サーモトロピズムで花が開閉し寒さに強い
気温が10℃を超えると、花の外側が上向きに動いて花が開き、受粉を媒介する昆虫が花に近づくことができます。逆に10℃以下になると、吹雪の可能性が高くなるため花が閉じます。そしてこの種は花を下に向けるように進化しました。このように、熱や環境温度の変化に応じた生物の動きをサーモトロピズムと呼ばれています。シャクナゲの葉がカールしたり、トウモロコシの根が温度によって異なる曲がり方をするなどの例が研究されています。
特徴その3:内花被マーキングでマルハナバチを独り占め
スノードロップは外側の花被片が内側の花被片を取り囲んでいる。花弁は丸みを帯びているものから、わずかに尖り、小さな切れ込みや裂け目がある。内側の花弁は外側の花弁に比べ、湾曲が少なく筒状で、一般的に裂刻の上に緑色の印がある。これらのマークは逆U字型やV字型、ハート型のような形がある。マークは2つある場合もある。
内側の花柄の裏側は緑色の細かい縞模様になっている。スノードロップの中には、クリーム色やオレンジ色を帯びた新しい品種も登場している。
これらのマーキングは紫外域で光り、昆虫たちにとって確認しやすくなっている。また、花の内部の温度は外気温度より2℃ほど高いため、デリケートな生殖部分を保護されており、蜂蜜の香りを放ちやすくなり、マルハナバチにとって大切な蜜源となっている。
花が少ない寒い時期にスノードロップはマルハナバチを独り占めできるというわけだ。
地球温暖化でスノードロップが早く開花している
スノードロップはかつて2月に咲いていたが、気候変動により着実に1月の花になりつつある。また、スノードロップの種子の受粉は、晴れた穏やかな天候と花粉を拡散させる昆虫に依存している。残念ながら気候変動によって、花粉媒介者が動き回る前に、開花が満開を迎えてしまい、受粉効率が悪くなってしまう可能性がある。気候変動の指標にスノードロップを用いての研究を紹介する。
世界中のスノードロップのコロニーは数百年の年月をかけて作られてきた。この素晴らしい景観を後世に残すために、気候変動抑止のためにSDGsに取り組みたい。
ヨーロッパや西アジアの19種のスノードロップの分布図(Wiki)
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