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稔と僕と狭山静香(深海雫の絵)@プロット沼

1429文字+α・30min




僕は小中高と引きこもりだった。ずっと部屋で本と映画ばかり見ていた。

僕は大検を受けて東京の大学に進学した。入学式を終えて門を出ると、声をかけられて居酒屋に誘われた。そいつが稔だった。稔は、大きなサングラスにパンタロンというヒッピーファッションをしていて周りからかなり浮いていた。
稔はアメリカの大学で演劇を学んで帰ってきたという。僕は素人だ。僕は稔に誘われて二人で劇団を立ちあげた。稔は脚本と演出を手がけ、僕は制作を担当することになった。

劇団を立ちあげると稔は僕に会うたびに怒りや感情を露わにする。それでも僕は混乱しながらも、稔の指示どおりにミスキャンパスの狭山静香を劇団に勧誘を試みる。それから僕は、他の劇団のオーディションを色々とまわってスカウトする役目にまわった。

劇団員はそろった。狭山静香と声優志望の松井翔太と落語研究会の歌代勇也だ。それと第二学生食堂でなぜかいつも僕の肖像画を熱心に描いている深海雫に声をかけた。深海雫は快諾した。僕は脚本に応じて役者をすることになった。

稔は、稽古場で怒りをむき出しにして演出をする。稔はよく狭山静香と激しく対立をした。ある日、狭山静香は「もうあなたたちとは付き合ってられない」と言って稽古場から逃げだした。だれも引き留めようとしない。稔は僕を焚き付ける。僕は狭山静香のあとを追いかけた。

公園で僕は狭山静香に追いつく。
すると彼女は振りむき僕を抱きしめた。狭山静香は僕を誘惑する。劇団に入ったのも僕と付き合いたかったからだと逆告白をする。僕は狭山静香の真意はわからない。唇を寄せてくる狭山静香。そこで僕は誘惑に負けて、狭山静香とキスをしてしまう。

僕は生まれて十八年ずっと引きこもりだ。もちろん童貞だ。狭山静香と唇が触れ合った瞬間、僕の体の芯を覆っていた硬い殻が割れた。殻の中からドロッとした腐った液体が溢れでた。

狭山静香は従順な女だった。僕は学校のミスキャンパスである狭山静香と付き合い始めて急に大胆な行動ができるようになった。

僕は劇団でいつしか主演を演じるようになった。劇団の公演は稔の作・演出を狭山静香と僕の主演で評判を博した。僕は稔に激しくぶつかった。僕のいう通りにやると観客は湧いた。動員数は増えて劇団は大きく成長した。

大学三年になった春。
新入生の勧誘をしようと僕は稔の部屋を訪れる。だが、部屋は空っぽだった。空っぽの部屋の壁に、稔と僕と狭山静香のスリーショットの油絵が一枚飾られてあった。

僕は泣き崩れた。今まで僕の肉体をみなぎらせていた力が抜けていった。ポケットにささるスマホが震えた。でると、深海雫の声だった。

「稔くん。合格発表が始まったわ。ほら急がないと。あなたの求めている人が門から出てきちゃうわよ」
深海雫はいった。
脱衣所に、あの日、稔と出会った服とパンタロンが畳んであった。その上に大きなサングラスがあった。
「勧誘したら、最後は私に声をかけさせてね」
そう深海雫はいって電話を切った。
「おれはアメリカ帰りなんだ」
鏡の前で僕は稔と出会った最初のセリフを演じてみる。
僕は二年前の稔とおなじ服装に着替えて学校の門へと駆けていった。


■自問フィードバック


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◉焦点を絞っているか?(ジャンルははっきりしてるのか?)
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◉場面→出会う→事件→成長→解決→エピローグ



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