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《語彙の三語三文》:手書き帖 4.23〜4.29

2796文字・15min



四月二十三日(火)

【にっちもさっちも】
⑴「にっちもさっちも」って漢字は、「二進も三進も」って書きます。
⑵借金はふえすぎて、ニッチもサッチも行かなくなった。
⑶「ニッチもサッチモってなんですか?」隙間産業とルイ・アームストロングです。あれ? 話が逸れた? こりゃあニッチもサッチもだ。

【意表・いひょう】
⑴相手の意表を突け! 風穴を開けろ!(おれってかっこいい!)
⑵それは意表外な展開だった。
⑶それは意表とつく人事だった。私が社長に選ばれた。明くる朝、解任された。やはり陰謀だった。

【つらつら】
⑴つらつらと考えてみるに。私は幸せだったと悟った!
⑵つらつらとみる。鏡の向こうにヌードポスターを。
⑶つらつらと見られている視線を感じる。いやらしい目だけど。ちょっと好き。




四月二十四日(水)

【青色吐息・あおいろといき】
⑴「物価高で青色吐息の時代だな」
「いつの時代もだ」
⑵僕の人生はもう青色吐息だ。
⑶それでは最後の曲になりました。昭和の名曲「青色吐息」です。どうぞー。

【毛唐・けとう】
⑴「あの毛頭め」
「せんせい、字が違います。毛唐人で、外国人を卑しめていうことばです」
⑵「毛唐とモロコシはどうちがうんだ?」
⑶鬼畜米兵とルンペンとパンパンとケトウとモロコシとヨタとロンパリとカタワとデベソとキツネツキとイヌチクショウとビッコとバイコクドとソウリダイジンと…

【正気付く・しょうきづく】
⑴「おいみんな! タカシがやっと、正気づいたぞ!」
「えー! そのままだったらよかったのに…」
⑵耳元で「わたしのあなた」とささやかれた私は、正気づいた。
⑶「私が、この眠る美女を正気づかせる!」
「くっさ!」
「すごい口臭だ」




四月二十五日(木)

【目白押し・めじろおし】
⑴アキラは新作のゲームを買うために発売日に店頭に出向き、目白押しの列に並んだ。
⑵今年の洋画は目白押しだな!
⑶「私、かごめかごめ、あきちゃった」
「わかった、次は目白押しをやろう! 」
「どうやるの? 」
「こうやるんだ」
「ぎゃー! 怖いー!」

【葦簀・よしず】
⑴「よしずの〜、ってあの曲何だっけ?」
「Tubeのだろ」
「そう! 飯島直子と結婚したあの歌うまなボーカルの! 」
「あー夏休みだ!」
⑵「ここんところ葦簀張りで頼むぜ!」
「何をやるんだ?」
「のぞき海の家だ」
「誰がのぞかれるんだ?」
「頼む!ぬいでくれ!」
⑶この先、三十メートル。よしず茶屋

【栞・しおり】
⑴「ぱーん。ぱーん。ぱーん…」
「はい!」
「どうぞ、」
「サザン・オールスターズの栞のテーマ!」
「ピンポーン!」
⑵「ぱーん。ぱーん。ぱーん…」
「はい!」
「どうぞ、」
「サザン・オールスターズの栞のテーマ!」
「ブッブー」
⑶「道に迷った。とりあえずこの白樺の木に栞をつけよう!」




四月二十六日(金)

【てんてこまい・天手古舞い】
⑴天手古舞いの天手古は当て字です。
⑵客が殺到しててんてこまいする。
⑶「てんやわんやとてんてこまいの区別がわからん」
「ちがう。語源を調べよ!」
「…教えてはくれないんだ」

【お足・おあし】
⑴「あっしにお足をくだせえ」
「やだ」
「けちん坊」
「でもやだ」
「シブチン! リンショク! 」
⑵御足、御銭と書いて、おあし。
⑶足。アゴ。交際費、タクチケ、領収書みんなほしい。

【首途・しゅと】
⑴母は息子の首途を見送った。
⑵新生活の首途を祝う。
⑶「今から私たち夫婦の首途ね」
「二十年、同棲したけどな」




四月二十七日(土)

【厚司・あつし】
⑴厚司とはオヒョウという楡科の樹皮で織られたアイヌの織物で、やわらかく強靭。経糸の先を束ねて杭か柱に結びつけ、一端を腰にくくりつけて座ったまま原始的な戸外機で織っていく。すべて手作業で行う。
⑵厚司は昔は普段着、晴着、頭巾、鉢巻、帯、前掛け、手甲、脚半、刀掛け帯等に用いられたが、現在は観光用儀式のショーの際に着用されたり、土産物として敷物、壁掛け、帯、袋物等がつくられている。
⑶厚司はアイヌの文化においては、古くから編袋(サラニップ、テンキ)、背負縄(タラ)、蓆(キナ)などの織物の技術が発達していた。
織機が導入されると、北海道全域に自生するオヒョウがもっとも多く用いられ、厚司織が衣服の主流を占めるようになった。しかし、現在はそのオヒョウも少なくなり、入手が困難になってきているので、おもにシナノキの繊維が使用されている。

【福々しい・ふくぶくしい】
⑴「ふくぶくしい男になりたい」
「言うねー」
「おれの人生の半分はヒモだった。のこりの人生もおれのこのふくぶくしさで…」
「そういうのを、ふてぶてしい。っていうんだ」
⑵「なんて福々しい赤ん坊だ!」
「おれのこ、褒めてるのか?」
⑶「あの女の顔、福々しいな。ふっくらしていて」
「きっとあげまんだぜ」
「顔が、福々しいのに?」
「それとこれとはちがうんじゃないか? 」
「ちがうのか? 」
「……  」

【鴻池善左衛門・こうのいけぜんざえもん】
⑴「私が鴻池善左衛門です」
「あなたが? あの落語に出てくる?」
「左様で」
「うそでえ。まるでこれが落語みてえじゃねえか!」
「左様で」
(会場が湧く)
⑵「おれも鴻池善左衛門みたいな大富豪になりたいな」
「おめえ、金で日本を牛耳るのか!」
⑶鴻池善左衛門は死んだ。貧乏神になった。
落語の死神に「あちゃらかパー」を教えたのは実は鴻池善左衛門だった。
(明治大落語語録)⬅︎架空




四月二十八日(日)

【栂・つが】
⑴「栂池スキー場に行ってみたい!」
「どこにあるの?」
「白馬」
⑵栂は国字です。
⑶栂は松の常緑樹高木です。別名をトガ、ツガマツという。細かな葉が次々に展開していくことから「継ぐ」が展化してツガと命名された。一般家庭での植栽は稀であり、公園や神社の御神木などに使われる。

【樵・きこり】
⑴樵は気を切る。ヘイヘイホー。
⑵樵はそまびととも言う。
⑶樵は屁をこく。ぷっぷっぷー。

【寵愛・ちょうあい】
⑴「寵愛ってさ、大事にされてるって感じあるね!」
「あなた、そんことより、ゴミ出し。ほら。持って! 」
⑵「愛は一日にして成らずだ」
「あんた。寵愛って言葉を富豪って言葉に置き換えてごらんなさいよ」
⑶「寵愛ってどうすれば…」
「まずは富を持っている。それが前提よ! 」


四月二十九日(月)

【モンロー主義】
⑴米国はトランプが再選したらモンロー主義は復古するだろう。
⑵いまや米国はイスラエル代理戦争でモンロー主義は見る影もない。
⑶「モンロー主義のモンローがマリリン・モンローだったらお色気主義外交政策だったんだが」
「それって、中国が日本の国会議員にやってないか?」

【や】
⑴敬語の助動詞「やる」の命令形「やわ」の音変化。…なさった。「早う寝や」(浄瑠璃➡︎曽根崎)  
⑵「もっと食べや」
⑶「その銃で私を殺せや!」

【治・や】
⑴治金学とは冶金の原理・方法技術などを研究する学問です。
⑵陶冶(とうや)は人格をつくりあげること。
⑶艶冶(えんや)な容貌の女だ。こころがとろける。なまめかしい。


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