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冒頭でセックス。R指定

1124文字・5min

 三年以内に書いた文章だと思うが。
 たぶん。
 書いた覚えがない。
 バックアップを取ったパソコンのハードディスクから見つかった。 

 思いだした。丸山健二の「雨のドラゴン」を読んだあと(ちなみに「雨のドラゴン」は純文学の傑作です。濡れ場は一切ありません)に、ふと街を見下ろす丘の上の部屋に住む男の物語が書きたいな。と思って書き始めて、立ち消えになった記憶がある。
 このあと町(雪のシーン?)に降りた男は橋の上で真っ赤な着物を着た少女(幽霊)にであう。少女に連れられて、どこかに向かった。(円が巫女の設定なのだから、彼女は後に物語に絡んでくるんだろうが)そこまでは覚えているが。パソコンにはファイルがなかった。

 この文体は、主語から述語をはさむ、くどくどしたながい目的語(修飾語)を多用して繋げている。亡くなられた西村健太さんみたいですね。
「殴ろうとする」
 を
「ぶんなぐらんとする」
 とかも、雰囲気を作ってる。
 リアルな文体ではなくて、コミカルな漫画チックに描きたかった当時の意気込みは垣間見えますが。いまとなっては自発的にこういうのは書こうとは思わない。そんな、すんごおくお下品な、くだらない、意味もない、よんでもだれもなにも得をしない文章です。
 下ネタもOKです。という女子であればどうぞ。
 男の子はぜひどうぞ。
 




  一章 無明町


 昼、夜のような部屋のなかで、男が、全身の毛穴から汗を噴ふきださせ、ぺちゃぺちゃと、真っ赤に腫れあがった女陰をなめている。

「ああっ」

 と女は漏(も)らす。鉄の拳でぶんなぐらんとする衝動をおさえ男は、よだれと、淫液があつくあふれでる股のみぞに鼻先を、トリュフをほじくりだす豚の頭のように減りこませて、貝のようにくねって頑なにとじんとする女のM字に、爪を食くい込ませてこじあけて、ぺちゃぺちゃと、もっともっとと淫みだらを欲して、ふるえる繁みにひそむ赤ん坊の出べそになって熱(ほて)った女陰を、するどくとがらせてはいるが半ばひきつった舌先で、引っ掻(か)くようにむく。冷えた毛皮を被った、萎んでゆれる陰囊をぶらさげた、女が軽蔑するような惨めな犬に成りさがってぺちゃぺちゃと音をたてて舐めてやるのだ。

 恥丘に、電子クロックを置いてライトをつける。14:08と明滅している。夜半から丸半日が経っていた。十四時間もイキっぱなしの女体を、パンケーキのようにひっくりかえして四つ足にさせ、肛門に、冷蔵庫に残っているソーセージでも差さし込こんどいてやろうか。おもった矢先、遠近焼汰は鼻先に、飛沫がまじった原子爆弾級の屁をぶっ放なされた。屁で、意識を失った。

 女は、環円(たまきまどか)と言った。

 円とは、遠近焼汰たがこの町にやってきて三年目、初めて顔をだした縁日で知った。地元の巫女の孫だという。

「起きてたんだ」

 目覚め、ふりむく焼汰。部屋に仁王立ちする円。敷かれたままだった布団は、きれいに畳まれドア前に。たがいが時計を見、円はゆっくりと原稿をとりあげる。

「ななんてことをする! これはちゃんと名前を変えてだな、それから正式な応募用に… 」

「円とは、遠近焼汰たがこの町にやってきて三年目、初めて顔をだした縁日で知った。地元の巫女の孫だという。…ですか」

 円はよみあげながら、笑顔で原稿を破った。

「一旦、店に帰ったのか」

 たずねる焼汰を、円は無視した。

「やっぱりだった」

 血がついてる。と、うす布団をかかえて階段をおりていく。

 焼汰は窓をあける。二階からは海が見える。
 見おろすと、海面へとなだらかに蛇行する河に虱(しらみ)のごとくびっしりへばりつく、夜になるとそこだけ漆黒にかわる路地の屋根が、秋の夕陽に映える。うす布団をかかえ、角を曲まがっては見え隠かくれする円、夕暮れに伸びる影とともに消えていった。

 思いかえせば、初めて出会った日の円は、だれがみても素面なのに、明らかに酔ったふりで焼汰に近づき、この部屋に入ってきた。持っていた油まみれのジャンボフランクをパソコンのキーボードの上に置き、脱ぎ始めたのだった。

 情事が始まるとすぐに焼汰がやるのとおなじように殴ってくれといって、



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