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800字日記/20221117thu/131「引越し黙示録」

目覚める。十時過ぎ。部屋が明るい。朝に一度、起きたか。心配しているほど体調はわるくはない。これはぼくの経験則だが、向かうべき壁が具体的になると体調はあがる。執筆ピッチもあがる。

この波は追い波だ。乗らなければ。ぼくは二十歳ではない。人生の残りの時間は少ない。

ネコが基地に潜り込んであそぶ。一旦、どいてもらって部屋のそうじを始める。

11時。放送が始まった。

「これはJアラートのテストです。これはJアラートのテストです。こちらはクニサキ防災センターです。こちらはクニサキ防災センターです… 」

すごい音だ。騒音に近い。これ、池袋や新宿などの都心だったら住民から苦情は来ないのだろうか? 育児ノイローゼで発狂寸前の母だったら浴室に赤ん坊を沈めそうだ。夜勤明けの自衛官、警察官、看護師、介護士、みな寝ている時間だ。「郷に従え」という暗示か。実家の群馬はなかったが。

「河川敷で竹藪が燃えている火災は十時十二分に鎮火しました。塩町第十消防団は出動する必要はありません」これもLINEか専用の携帯アプリを使用すれば放送する必要はないとおもうが。

それと「背丈は百三十五、股引き姿、緑のゴム長靴、サイトウカネさんは九時三十分にこのたび無事に発見されました」最近とみに増えたこの類の放送も必要ない気がするが。

長野と新潟と西東京が今のところの引越し予定地の候補だが、新潟と長野は北朝鮮からのミサイル実験の関係でJアラート放送が激しそうだ。ハッと思う。むしろそこにいくべきか?

パソコンを開ける。母からラインが届いていた。籍のある市から「電力・ガス・食品価格高騰緊急支援給付金支給要件確認書」が届いたという。五万円だ。代理で書いてもらって返送を頼んだ。五万円。タンス貯金を足すとちょうど明日にでも引越しができる。

これは引越しの波か。引越しは来年と見ていたが資金が目減りしないうちに探すか。

ネコがぼくを見あげている。そうじの途中だった。

(800文字)

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