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プロット沼(倉庫)。

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日々プロットを作っていき、脳裏に沈めておく沼(倉庫)です。随時サイレントアップデート。
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2023年3月の記事一覧

小説『GM』全取材ノートvol.7。20230330thu279_二章プロット

2569文字・5min  二日目 バイト初日(三月一九日・祝) 登場人物 男オクサン リョーマ ミホ タツ ナオキ マスター シゲ ヤマ ■自宅にて(出勤するシーン)。  九時十五分だった。  これからゆっくりとペダルを踏んでも、出勤時間まで十五分ほどの余裕はあった。  男は上がり框(かまち)に尻をつけてスニーカーのヒモを結ぶ。縁側に抜ける西がわに植木鉢があって、それに隠れるようにシクラメンの鉢が赤く咲いていた。毎年男の父が沼田のカンベオートからひ

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自分の過去は語らぬが少し北京のこと。20230331fri278@プロット沼

2516文字・30min noteの右上のベルが118になっていて、ひらくのがこわい。 けれど、フリーメールのほうでは誰がスキをしてくれたか、わかるので「あ、いつもの常連さんで。すみませんね。いまは忙しいので」と感謝の気持ちを心で述べる。 ぼくのnoteは本当に少ないけれどぼくが把握できる人たちがつかずはなれずに寄り添ってくれている。そんな感じを受ける。 ぼくの性分にはあっている。  ずいぶん昔。北京オリンピックよりも前の2005年だ。 ぼくは地元のパチンコで大勝ちした

小説『GM』全取材ノートvol.6。20230330thu277_一章二稿

7148文字・240min  面接の時間は迫っていた。男は菜の花畑から立ち上がって、地図アプリの女の声に従って目的地に行くことに決めた。  向かってきた高速の側道を道なりに自転車のペダルを踏み始める。すると地図アプリの女は案内方向を正しい方角にもどした。このまま走ればあと五分で目的地に到着する距離だった。青い空は、急に黒くなり始めた。

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小説『GM』全取材ノートvol.5。20230327mon273_序二稿と一章一稿

6133文字・180min 序  目を覚ましたとき、男は菜の花畑に倒れていた。  鼻についた黄色い花粉を手で払い落として、男は顔をもたげた。男が乗っていた自転車はアスファルトの道の端に、スタンドが立てられた状態で、そこにちゃんとあった。  盗まれたりした物はないかと男は自らのからだのふしぶしを触ってひとつひとつ検分をする。黒いパンツは臀部(でんぶ)でつぶれた菜の花で濡(ぬ)れていた。紺色のシャツはどこも汚れていなかった。男は安心してため息をついた。それにしても、男の胸

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小説『GM』全取材ノートvol.4。20230327mon273_章別執筆プラン

6305文字・120min ■「ゴッド・マザー」は本稿では「オクサン」と記す。レジュメやプロットでは「GM」と記す。 ■小説「ゴッド・マザー」は短編(原稿用紙100枚〜120枚)の予定。 ■執筆期間(半年間)〜2023年10月末 第一稿は5月末 第二稿は6月末(以下、推敲のくり返し) 第七稿は7月末 第七稿を純文学の有料添削へ。 最終点検をして応募する(群像新人賞が10月末。が12月末か来年の3月末の新人賞応募を希望、投函はいつでもできる) 一章の(段落別)執筆

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小説『ゴッド・マザー』全取材ノートvol.3。20230326sun272(ラストシーン第二稿)

5233文字・180min 喜ちゃん飯店の裏手、乾燥機の前。 アナタのそういう所が嫌いなんですね。オザワさんね、やっぱり、やっぱりオザワさんも大人だからわかるよねえ? あたしがなにか言ったら、働かせてもらってるんだから、経営者のやっぱり、あの、教え、教えてもらってるんだからそれを、やっぱり、素直に聞かなくちゃいけないんじゃないかなってかなって、思ったんですよ。でそういうアレがオザワさん一節(いっせつ)もなかったんです。あたしがなにか言うと、『どうしたなにかあるん?』 って

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小説『ゴッド・マザー』全取材ノートvol.2。20230325sat271(ラストシーンの音源)

4013文字・240min 24日。 男はバイトで働いていた中国料理店をクビになった。 働いたのは三日だ。 17日(金)に面接(14時半頃) 19日(日祝)に初日(10時〜14時) 21日(火祝)に二日目(10時〜14時) 24日(金)にクビ(10時〜14時) 男は絶望した。このモチーフでは小説は書けない。思った。男は店の前の車止めに尻をついて、深く肩を落とした。店の看板を見上げた。 だが、男は手元に資料が残っていることに気がつく。 『男』が店の裏に呼ばれて『クビを宣告

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小説『ゴッド・マザー』全取材ノートvol.1 有料マガジンのご案内 / 20230322wed

6057文字 マスター(73歳)中国料理『喜ちゃん飯店』の創業者、キッチンの責任者 オカミ(71歳)マスターの妻、ホールの責任者 リョーマ(34歳)マスターの長男、チャーハン、ご飯類を担当 ミホ(28歳)リョーマの妻 ナオ(32歳)マスターの長女 アキラ(34歳)ナオの夫(水道設備会社勤務) タツ(46歳)キッチン(既婚)あんかけ、かた焼きそば、八宝菜を担当 ナオキ(36歳)キッチン(独身)ラーメン、ぎょうざを担当 シゲ(YouTuber) ヤマ(63歳)パートの女性 ヒ

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プロット沼 / 死んだ男の手記(ニラ栽培農家6)コンビニの夜勤の面接&ダメ出しノート。202303321tue269

3050文字・45min 1 男はひとつ咳をして、これから面接を受けるコンビニエンスストアの前に立った。扉は開かなかった。そのコンビニのガラス扉は、推し戸だった。 2 春。男は九州から北関東の実家に帰った。療養をする間もなく男は東京の下北沢にアトリエを持つ劇団のオーディションを受けた。映像プロダクションというよりもバブル期を彩った老舗劇団だ。シェクスピアやベケットや別役実などの不条理劇をやる劇団だった。当日、男は演劇での再起を審査員たちに熱く訴えた。恥ずかしいとは思わず全

プロット沼の写真たち。20230320mon

252文字・10min 以下、男の実家の庭の花木 番外編(これから登場予定の写メ)

プロット沼 / 推敲ってなに?ニラ栽培農家(S家のこと5)20230321tue

1300文字・30min 男は、ロードバイクごと畑のなかに倒れていた。何かを考えながらペダルを漕いでいた。それから大きな壁のような風にぶつかった。風に吹き飛ばされたようなトレーラーと接触事故起こしたような衝撃が走ってから、記憶がない。 男は頭を擡(もた)げると目の前に黄色いレンギョウが咲いていた。ちがう。これはレンギョウじゃない。オウバイだ。男は春になるたびにレンギョウとオウバイをまちがえる。昨今はハクモクレンとコブシのちがいがわかるようになったばかりだ。レンギョウはコブシ

プロット沼 / 死んだ男の手記(ニラ栽培農家4)番外編

2840文字・30min 地図アプリが誘導する女の声をたどって北に向かった。神社にぶつかった三叉路を西に折れて川沿いに裏のトシオのニラの露路を横目に北へ走る。百メートルもいくと重油のキツい匂いが鼻につく。そこは銀色のタンクがそびえる瀝青工場だ。工場の橋を渡ると目の前には紫色のホトケノザが一面に広がる畑だ。内側をトラクターでひとまわり走って畑アートの額縁に見える。 畑の向かいは昔は高木や蔓や雑草でうす暗かったがいまは太陽光パネルだ。太陽光を北に上がっていくと、空気の壁が男に

プロット沼 / ニラ栽培農家(S家のこと3)20230319sun

2116文字・60min 家の前を曲がった路地に三日前に咲いた、熟れた女の白い乳房をおもわせるハクモクレンの花びらは今朝は褐色に傷んで、地面に無残に散っていた。ぼくはそんな褐色に傷ついた女の肌のような花びらを、手を伸ばして毟って、口に運んだ。甘ったるいのが口にひろがった。 ***** 神話のような血筋ブンガクを書く中上健次は、真夏の紀州の路地に真っ赤にひらく芙蓉から物語を書きはじめる。死へとむかう中本の血の一統が、一瞬、燃えあがるように沸きたつ、中上健次一流のブンガクだ

プロット沼 / ニラ栽培農家(S家のこと2)20230318sat

3531文字・60min 男は裏のトシオの家から帰ってきて、昨晩アップしたブログをもう一度、時間をかけてよみ返してみた。 男のブログはもともと人気のないブログだ。そのうえ体調をくずしてからここ数日は写真しか載せていなかった。 男は、ディスプレイをまじまじと見つめて首をかしげる。 いいねがいつもより多いのである。 男は元気がわいた。 それとは別に、ディスプレイの右上にベルのマークがあって47の赤い数字がついていた。 そのベルのマークは、クリックすると自分のどの記事にだれが訪