京都の定宿で綾子と再会。202303310sat263
京都の定宿で、私は遅く起きて座机で仕事をしていた。
しだいに筆が走る。今日は調子がいいと思った。
部屋に仲居が入ってきた。それから座敷の掃除を始めた。いつも仲居はこの時間は私の執筆の邪魔はしないはずだ。私の筆は止まった。
「ザッとでいいですよ。まだ数週間は泊まっていますから」
私は振り返らずに言った。早く部屋から出て行ってもらいたかった。今日の仲居は新人のようだ。
私がイライラしているところ、後ろから肩を叩かれた。
「これ、返したるわ」
綾子だった。綾子は白い小箱を、私の胸