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青井さかな
2022年2月1日 09:44
ベッドの上でオレに背を向けて横たわったまま、まだ荒い呼吸をしている彼女の髪を撫でる。「……ごめん」 細くて白い両手首が少し赤くなっていた。「……大丈夫…、お水取ってくるね」「いいよ、オレが行く」 起き上がろうとした英理奈さんを制し、乱雑に脱ぎ捨てられていた下着だけを身につけ、慣れた手付きで冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出して手渡す。「……ありがと」
2022年2月1日 21:07
明け方近くになって、オレの腕に抱かれたまま眠っていた英理奈さんが目を覚ます。「大丈夫?」「私、寝てた…?」「うん」「……ごめん」「いや、もともと無理させたのオレだし…」 オレの腕の中から抜け出し、ベッドの上で膝を抱えて座る。「ずっと、起きてたの?」「……うん」 寝顔を見つめながら、ただひたすら英理奈さんの告白を思い返していた。「……ほとんど話したと思うけど、他に何か
2022年2月2日 12:43
あの日からまだ10日程しか経っていないというのに、随分長い間来ていなかったように感じる。 英理奈さんはまだここに居てくれた。彼女の住むマンションを見上げながら、湊のアパートを飛び出してからの事を思い返す。 雨の中を歩きながら英理奈さんに電話をかけた。コールが繰り返される度、鼓動が激しくなり喉が締めつけられるような息苦しさを感じる。やっぱりもう遅かったか、…諦めかけた時、英理奈さんは電話に出