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アイ・コンフェス

私は告白するーー

毎日、何かに捉われながら、
毎日、何かを失っていく。
取り返したいと望むも、そうできない、
失ったものを数える間に、
私の「記憶」は、亡霊のようになり、
何が欲しかったのかさえ、思い出せないのだ。
私は、大昔の、ベルボトム・パンツを履いた
ロックシンガーの写真を思い浮かべたーー
磔刑前のジーザスのように髪を伸ばし、
ロックフェスで歌っている様を。
もしも、それが、
失われた救世主の姿だったとしたら、
「教義」も、「信仰」も、
時代の風化には耐えられないのだ、
あなたの「推す」アイドルでさえもーー
と、私は告白する。

黒い雲が、バッドなムーンを隠し、
私の部屋を、ハードなレインが濡らすーー
嵐が近づいている、海の上を暴れ回っている。
昨日までそそり立っていた灯台も、
折れて、どの船も出航できないでいる、
いじらしくって、見ちゃいられない、
すべての火照った女たちを、
男たちが解放できないでいる夜を。
レストランの予約は軒並みキャンセル、
返却されたドレスには、
キルト作家がハサミを入れる。
今宵の、恐ろしいほどの大雨は、悼む、
カート・コバーンの死と、
リボルバーの中の一発をーー
と、私は告白する。

家に閉じ込められた料理人が、
骨になるまで肉を煮込みながら、口ずさむ、
「審判の日が意のままになるならば」と。
詩人は、自身をテーマとして扱うため、
言葉を探して、カニングラードから
LAまで、書店を巡って歩いている。
私はといえば、港のドックで、
オーティス・レディングと座っていた。
彼は私のリクエストに応えて、
「ファ・ファ・ファ」と歌い出す。
私は書き続けている、
あなたの決して読まない手紙を。
あなたの「無関心」が、私を調子に乗らせ、
「意志するマインド」で、私は、
好き勝手に「名前」を並べているーー
と、私は告白する。

ミッドナイト・ランブラーが放浪をやめ、
バーに落ち着き、マルボロの煙を眺める。
オープンGコードの音色は、雨に掻き消されている。
独りぼっちに耐えられないアン・バクスターが、
嵐の中、外に出て、モンゴメリー・クリフトと、
狂おしいくらいに踊っている。
水溜まりに忘れられた靴、
レーンに横たわる死体。
夜の、一番暗い時間、
呼吸するものはひとつもない。
私は、子供の「無垢」の中に神を見た、
もしくは、
キャンバスの中のただの余白だったか?
あるいは、そもそも何もなかったのか?ーー
と、私は告白する。

私は、心の一番深くから祈る、
「私自身」と、私の作品に。
創作こそが、私の信じるすべてであるから。
そして私は、「私自身」を規則づける、
私が、「私自身」を好きに操れるとき、
それこそが、「自由」の本当の意味だから。
私は、自分が人に何を与えられるかを、
正確に知っている、
私はあなたに、私の詩を捧げるーー
それが、駄作だろうと、傑作だろうと。
「信念」が、誰も救わないとしても、
私は、私のすることの中に、
答えを探し続ける。
それが私の「信仰」ーー
と、私は告白する。

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