サーカ・A

6月19日(水)より、新シリーズ『無垢』と『経験』、2つの「マガジン」を同時にスタート…

サーカ・A

6月19日(水)より、新シリーズ『無垢』と『経験』、2つの「マガジン」を同時にスタート!一週間おきに、それぞれ交互に投稿していきます!12月25日(水)の最終回まで、全28回、一気に駆け抜けます!製作快調!睡眠不足!視界良好!四面楚歌!ハヴ・ア・ナイス・デー、よい1日を!

マガジン

  • 経験

    「道徳的概念は、経験的認識から抽象され得るものではない」エマニュエル・カント

  • 無垢

    「『草って何?』と、両手いっぱいに草を持って、幼な子が私に尋ねた。その子にどう答えられるだろう、私自身、草が何なのかを知らないというのに」ウォルト・ホイットマン

  • サーカ・Aの「水曜ロードショー」

    「イングリット、嘘でいいんだよ」ーーヒッチコックによる、ある女優へのアドバイス

  • ベスト・オブ・サーカ・A

    「決心によって正しくあるのではなく、習慣によって正しくなり、単に正しいことが出来るばかりでなく、正しいことでなくてはやれないようにならなければならない」ワーズワース

  • 神秘の森

    「失うものばかり多すぎて、手にするものはほんの少し」佐野元春

最近の記事

  • 固定された記事

ルイージ

1ー1 マリオは類似を探している。 毎日の平凡な散歩の中で、 イタリアにも、フランスにもない街の、 『ブックオフ』や『サンマルク・カフェ』に寄り、 マリオは類似を探している、 ボブ・ディランの歌う歌詞に。 18世紀のイギリスの詩人と、 フリマに並ぶアンティーク雑貨との間に、 マリオは類似を探している。 カフカに、H・G・ウエルズに、 『サイコ』に、『愛しのシバよ帰れ』に、 エドガー・アラン・ポーの鐘の音に、 マリオは類似を探している。 1ー2 疑念とは、味のしないマスタード

    • サーカ・Aより 「riluskyE様、これまでたくさんの『スキ』をありがとうございました。暖かいコメントに、何度も励まされました。本当にありがとうございました!さらなるご活躍を、祈っております!!」

      • 夢見る人

        私は見ている、夢の中にいるその人を。 彼は「無垢」を巡る詩を書いている。 時計を壁から外し、窓を閉め、 誰とも話さず、一心不乱に書いている。 やがて朝が、部屋に光を投げ入れ、 彼の「眠り」は蒸気を上げ、加速してゆく。 そのうちに月が、部屋の暗闇を演出するーー 私は見ている、夢の中にいるその人を。 私は追いかける、夢の中にいるその人を。 地球の自転を早めたり、遅めたりしながら、 彼は言葉を生み、一列に並ばせ、 その成長を見守るか、もしくは無情に消し去る。 想像力が、ひとつの鍵

        • 大脱走

          1 子供たちはベッドの上で、 わんぱくな頭を使い、 脱走の計画を立てる。 そしてドアをこっそり開け、 床に塵ひとつ残さず、 岬に隠したボートへと忍び足で。 納屋や馬を越え、女の子の腕の パールの輪を抜けーーこうして、 「ノーティ・ボーイズ」は、世界に挑む。 2 勇敢なノーティ・ボーイズは、 どんなおもちゃや、チョコレートにも、 目もくれない。 ボートへと一直線、しかし、 コートを羽織った警備員が、 門で監視している。 彼らはくすねてきたウイスキーを与え、 警備員は酩酊状

        • 固定された記事
        • サーカ・Aより 「riluskyE様、これまでたくさんの『スキ』をありがとうございました。暖かいコメントに、何度も励まされました。本当にありがとうございました!さらなるご活躍を、祈っております!!」

        マガジン

        • 経験
          5本
        • 無垢
          5本
        • サーカ・Aの「水曜ロードショー」
          15本
        • ベスト・オブ・サーカ・A
          14本
        • 神秘の森
          12本
        • 初期のサーカ・A
          20本

        記事

          ノー・テンプテーション

          夜行性の動物たちが目をギラつかせ、 テリトリー内の獲物に忍び寄る。 彼らは物静かないじめっ子タイプの生徒ーー 教室の隅っこで、ジョン・キーティングの 『死せる詩人の会』の悪口を書き込むような。 そして君ーーフクロウのように小さく、 ピラトのように俗物な君、もしくは、 世界への嫉妬で、 今にも気が狂わんばかりの君ーーは、 神を裏切り者だと考え、 渦巻く海を指差し、「泳いで渡ってみろよ」と、 神を試そうとしている。 君は人の容姿を、マンガ雑誌を基準に判断し、 主張する、「美」と

          ノー・テンプテーション

          ノー・シェパード

          裏庭に、「羊飼い」なんていないーー マスタードの瓶の中にもそれはいない。 ワインのボトルの底にも一滴もないし、 LINEの連絡先にも載ってない。 羊の群れの中で子供たちが泣いているーー みんな空腹で、眠れない。 生きることは辛く、人生は厳しい、 そしてどこにも羊飼いはいない。 バナナフィッシュにうってつけの日なんてない、 行ける場所も、留まれる場所もない。 預言者を待ったって仕方ない、 そいつはまだチベットにも着いてない。 未来は、シャーマンのドクロには書いてないし、 都庁

          ノー・シェパード

          無垢とガチャピン

          君が昼過ぎに目を覚ますと、 二日酔いで頭はガンガンと痛み、 脱ぎ捨てられた服が、 ベッドの渦に巻かれていた。 昨夜の騒ぎが、 耳の奥でフラッシュに照らされ、 不自然な笑みを、 去年のミス・ユニバースのように浮かべる。 シャワーの中で、 見知らぬ贅肉に目をやる。 乾く喉にばかり水をやり、 君は花を枯らしてしまう。 そして、ムックとガチャピンでも、 老いた心を笑わすことはできないーー 石ころから金塊を生み出す、 そんな錬金術に命をかけ、 君の毎日はホラ話、 ワイヤーが丸見えのカ

          無垢とガチャピン

          オフスプリング

          子供たちよ、目を開けて、 その目に映るのはどんな世界? 子供たちよ、手を広げて、 マシュマロの空に飛んでゆけ。 街の灯に包まれて、君は迷子になって、 郵便ポストに騙され、 幽霊に追いかけられても、 涙なんか流さない。 君は野原で光り、朝露に輝き、 大地の靴を履き、 空の青を身にまとうーー 怖いものなんて何もないよ。 その声を聞かせて、何か歌って。 君の声がみんなの輪を作るとき、 そこに王様なんていない、 同じ場所にみんな立っているんだ。 オルガンの雲からシタールの雨が降る

          オフスプリング

          私の深淵

          暗闇を共有する2つの顔を通し、 私と君は見つめ合う、 それぞれの絶望と痛みを持ち寄って。 そして私たちは、 雨に濡れる街の陰で、 互いの憐れみを取引する。 「自由」は今にも、 堕落した生活の中で、滅びようとしている。 2人は、谷底で生き延びるか、 丘の上で死ぬか、選ばなければならない。 私たちは、私の深淵で出会うーー そしてハグをし、キスを交わす。 そう、私の深淵で。 君は鉄の仔犬か、あるいは、 氷の仔猫を手懐けるために、 詩の一節を引用するーー 洪水の前で踊る、 感傷的な

          希望

          朝がやって来た。 空の彼方、 優しさの太陽から、 至福が、地上に降りそそぎ、 そして祝福する、 笑いと涙で、 この世界を満たす、 すべての子供たちの誕生を。 君を取り囲む森羅万象が、 君を知っているということーー それが「希望」。 望みが、生まれ出た新しい君の中から、 湧き上がる。

          無垢と経験

          どんな子供も、 まるでミッキーマウス、 やんちゃなあの子は、 まるで鉄腕アトム、 上品なこの姉妹は、 まるでアテネとアフロディーテ、 勇気あるその兄弟は、 まるでトロイの戦士。 どんな子供も、 まるでソクラテス、 公園でする追いかけっこは、 洞窟の壁に映る影絵。 どんな子供も、 まるでスティーブン・ホーキング、 屋根裏の冒険は、 宇宙とワームホール。 どんな子供も、 まるで魔法使い、 呪文を唱え、手から光を生み出す。 たとえば、氷の矢を飛ばす魔法で、 悪人の舌を突き刺し、

          名前①

          彼には名前がない。 彼には電話もない。 彼には靴もなければ、 彼にはローンもない。 彼には名声なんてものもない、だって 彼には名前がないから。 彼には学校がない。 彼には友達もいない。 彼は本を読んだことがない、 だからどんな結末も知らない。 公園にはジャングルジムもあるのに、 彼には名前がない。 彼にはニキビがない。 彼には歯がない。 彼には白髪もなければ、 彼にはシワもない。 彼は恥じたことすらないんだ、 名前を持っていないことに対して。 彼には仕事がない。 彼には

          サーカ・Aより 「紳士淑女の皆さま。 6月19日(水)より、サーカ・Aの新シリーズ、『「無垢」と「経験」』編がスタートします。全28回、毎週水曜日に投稿予定です。12月25日(水)の「最終回」まで、一気に駆け抜けます。ご期待下さい!! 因みに今、ハンク・ウィリアムズに夢中です」

          サーカ・Aより 「紳士淑女の皆さま。 6月19日(水)より、サーカ・Aの新シリーズ、『「無垢」と「経験」』編がスタートします。全28回、毎週水曜日に投稿予定です。12月25日(水)の「最終回」まで、一気に駆け抜けます。ご期待下さい!! 因みに今、ハンク・ウィリアムズに夢中です」

          アイ・コンフェス

          私は告白するーー 毎日、何かに捉われながら、 毎日、何かを失っていく。 取り返したいと望むも、そうできない、 失ったものを数える間に、 私の「記憶」は、亡霊のようになり、 何が欲しかったのかさえ、思い出せないのだ。 私は、大昔の、ベルボトム・パンツを履いた ロックシンガーの写真を思い浮かべたーー 磔刑前のジーザスのように髪を伸ばし、 ロックフェスで歌っている様を。 もしも、それが、 失われた救世主の姿だったとしたら、 「教義」も、「信仰」も、 時代の風化には耐えられないのだ

          アイ・コンフェス

          「アニマルゾンビがあらわれた」

          アリアハンの北、小さな祠を抜けて、 ロマリアの地に足を踏み入れると、 そこで、狼の化け物に出会った。 腐った身体に、ぶら下がる眼玉、 しかし、 どこか可愛らしい。 「これが匠の技か」ーーと、私はつぶやき、 数多のモンスターが棲息する、 コンピューターの『神曲』を旅する。 それはもっぱら、 鳥山明が創り上げた世界。 大いなる尊敬を胸に、私は、 「記憶」を辿る勇者となって。

          「アニマルゾンビがあらわれた」

          フー・ドゥー・ユー・ラブ(ボ・ディドリーに)

          君と出会った最初の日、彼のハートは踊った。 2日目、彼はウィリアム・ブレイクになり、 ロマンスを語った。 3日目、フィリップ・マーロウの真似をし、 4日目はハリー・キャラハンに。 5日目には嫉妬に狂い、 44マグナムを振り回していた。 君はまだほんの子供だけど、彼の母親みたい、 彼のジャンクフード、いや、 彼の赤いコンバースみたい、 彼のミニーマウスか、 彼の地元から出た、 初めてのミス・ユニバースみたい。 「甘えたいなら他を当たって」と君にフラれて、 男たちは、みんなおかし

          フー・ドゥー・ユー・ラブ(ボ・ディドリーに)