サーカ・A

ハヴ・ア・ナイス・デー、よい1日を!

サーカ・A

ハヴ・ア・ナイス・デー、よい1日を!

マガジン

  • ベスト・オブ・サーカ・A

  • 神秘の森

    「失うものばかり多すぎて、手にするものはほんの少し」佐野元春

  • 初期のサーカ・A

    「密造酒作りの中には、やたらと良い酒を作る奴がいる。しっかりと隠したいのなら、ここには隠す場所が山ほどある」ボブ・ディラン

  • 「新聞紙の空」よりの物体X

    「強姦、殺戮が、始まっている、始まっているーー」ザ・ローリング・ストーンズ

  • 私についての詩(ソング・オブ・マイセルフ)

    「空想的なものは、書物とランプの間に棲まう。幻想的なものは、もはや心の中に宿るのではなく、自然の突飛な出来事の中にあるのではない。それは知識の正確さから汲み上げられてくるのであり、その富は文書の中で読まれるのを待っている。夢を見るために眼を閉じてはならない。読むことである」ミシェル・フーコー

記事一覧

固定された記事

ルイージ

1ー1 マリオは類似を探している。 毎日の平凡な散歩の中で、 イタリアにも、フランスにもない街の、 『ブックオフ』や『サンマルク・カフェ』に寄り、 マリオは類似を探し…

25

「アニマルゾンビがあらわれた」

アリアハンの北、小さな祠を抜けて、 ロマリアの地に足を踏み入れると、 そこで、狼の化け物に出会った。 腐った身体に、ぶら下がる眼玉、 しかし、 どこか可愛らしい。 …

4

フー・ドゥー・ユー・ラブ(ボ・ディドリーに)

君と出会った最初の日、彼のハートは踊った。 2日目、彼はウィリアム・ブレイクになり、 ロマンスを語った。 3日目、フィリップ・マーロウの真似をし、 4日目はハリー・キ…

サーカ・A
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オールモスト・ブルー

部屋は住人の心を映し出すーー たとえ、その本人が埋葬された後も。 繊細な工芸品のようだった君の心、 僕は近頃、君の部屋で詩を書いている。 すべての時計は止まっていて…

サーカ・A
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「いつかまた会える」

話すことは何もない、 君はただ歩くだけだ、 手袋のほつれた部分を気にしながらね。 君は永遠に変わらない、 身長と、下の名前だけはーー 僕たちはただ愛を見失ったんだ。 …

サーカ・A
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ショーウィンドウ越しの彼女に見とれていたら、 私は親方に頭をこづかれた、 すると突然、空っ風が吹いてきたっけ。 彼女も笑顔でこちらを見ていた、 もしくは大きなアップ…

サーカ・A
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サーカ・A劇場①『ピンク色のイグアナ』

 派手な女だった。顔立ちもはっきりとしていて、濃いメイクが一層濃く見えた。モデルをしていたこともあったという。くしゃくしゃに整った髪に、古着のドレスという出立ち…

サーカ・A
3か月前
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さよなら透明人間(クーブラ・カーンのラブソング)

「君が欲しいーー 君があいつに脱がされている、 あるいは、 君が自分から脱いでいることを考えたために」              エルヴィス・コステロ 君は私を誘い…

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物体X(スライト・リターン)

君が新聞紙の空の下を歩き、 「インク」の太陽の下を進むとき、 世界も、一面から社会面へと通り過ぎる。 もしも君が世界と歩き始めるとき、 けして走ってはいけない、 パ…

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ニュースペーパー・スカイ

「今日、ある記事を読んだよ、オー・ボーイ」                 ジョン・レノン 私の知らない多くの物事が空に広がり、 見知らぬ顔が、光景が、私に覆い被…

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4か月前
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ボーン・イエスタデイ

言葉は乱暴で、 正義は軽い。 人々は子供、 無知な世界では。 ゲームは荒れ、 選手は薄ら笑い。 観客は愚痴だらけ、 無知な世界に。  生まれたばかりの  無知な世界。 …

サーカ・A
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クレオパトラ・イズ・デッド

彼女はすみれ色をした瞳の、 かわいい顔をしていた。 そして花嫁の父の前で、 少女から大人の女性に転身した。 彼女の手には『バターフィールド8』のライター、 肩にはミ…

サーカ・A
5か月前
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スタローン

2021年8月の半ば、 部隊は首都を制圧した。 その砂漠の国には、 緊張と混乱が今も渦巻く。 人々は助けを求めて空港に押し寄せたが、 全てのアメリカ人は帰ってしまった ー…

サーカ・A
5か月前
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フラミンゴス・フライ

5分前の私が廊下を歩き回っているーー 伝令のない伝令兵の身なりで。 錆びた言葉を振り回す武士の前で、 首なしの詩人と刀で戯れながら、 私は飛んで、飛んで、飛び跳ねた…

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真夜中のサーカ・A

私は太陽を求めて歩く。 一歩また一歩と、休むことなく。 明るい場所に君がいないと、 まだ夜にいるのだと、私にはわかる。 夜の果ての果てに、 君は私の詩を理解するよ、 …

サーカ・A
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舞台恐怖症

1 開演まであとわずかだが、 ダンサーたちはお喋りをやめない。 司会者はまだチケットの手売りをし、 バンドは錆びたトロンボーンを鳴らす。 彼女は最高のシンガー、 この…

サーカ・A
6か月前
5
ルイージ

ルイージ

1ー1
マリオは類似を探している。
毎日の平凡な散歩の中で、
イタリアにも、フランスにもない街の、
『ブックオフ』や『サンマルク・カフェ』に寄り、
マリオは類似を探している、
ボブ・ディランの歌う歌詞に。
18世紀のイギリスの詩人と、
フリマに並ぶアンティーク雑貨との間に、
マリオは類似を探している。
カフカに、H・G・ウエルズに、
『サイコ』に、『愛しのシバよ帰れ』に、
エドガー・アラン・ポーの

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「アニマルゾンビがあらわれた」

「アニマルゾンビがあらわれた」

アリアハンの北、小さな祠を抜けて、
ロマリアの地に足を踏み入れると、
そこで、狼の化け物に出会った。

腐った身体に、ぶら下がる眼玉、
しかし、
どこか可愛らしい。

「これが匠の技か」ーーと、私はつぶやき、
数多のモンスターが棲息する、
コンピューターの『神曲』を旅する。

それはもっぱら、
鳥山明が創り上げた世界。
大いなる尊敬を胸に、私は、
「記憶」を辿る勇者となって。

フー・ドゥー・ユー・ラブ(ボ・ディドリーに)

フー・ドゥー・ユー・ラブ(ボ・ディドリーに)

君と出会った最初の日、彼のハートは踊った。
2日目、彼はウィリアム・ブレイクになり、
ロマンスを語った。
3日目、フィリップ・マーロウの真似をし、
4日目はハリー・キャラハンに。
5日目には嫉妬に狂い、
44マグナムを振り回していた。
君はまだほんの子供だけど、彼の母親みたい、
彼のジャンクフード、いや、
彼の赤いコンバースみたい、
彼のミニーマウスか、
彼の地元から出た、
初めてのミス・ユニバー

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オールモスト・ブルー

オールモスト・ブルー

部屋は住人の心を映し出すーー
たとえ、その本人が埋葬された後も。
繊細な工芸品のようだった君の心、
僕は近頃、君の部屋で詩を書いている。
すべての時計は止まっていて、
窓は深夜の「伊勢丹」のように閉じられている。
この部屋は君の自画像そのもの、
そしてそのタッチはーー
ほとんどブルー。

僕は君のクローゼットで迷子になる。
そこにはあらゆる季節が閉じ込められていた。
帽子についた夏と、ポケットにし

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「いつかまた会える」

「いつかまた会える」

話すことは何もない、
君はただ歩くだけだ、
手袋のほつれた部分を気にしながらね。
君は永遠に変わらない、
身長と、下の名前だけはーー
僕たちはただ愛を見失ったんだ。
君はどんどんと歩いてゆく、
宝石屋を過ぎ、花屋を過ぎ、
僕は教会の前まで君を追いかける、
まるで間抜けな、
ジョン・“スコティ”・ファーガソンのように。
君の口が動くんだったら、
僕にやめるように言って欲しかったよ、
今でも君の肌に触

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2月

2月

ショーウィンドウ越しの彼女に見とれていたら、
私は親方に頭をこづかれた、
すると突然、空っ風が吹いてきたっけ。
彼女も笑顔でこちらを見ていた、
もしくは大きなアップルパイだったのかな、
とにかく、2月にラブソングも悪くない。

親方は私に「もうクビだ」と言った、
というのも、私は針金のように細く、
すぐに鍵穴を抜け出してしまうから。
店主は物凄いデブで、
私をドアマットくらい踏みつけた、
奴は錆び

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サーカ・A劇場①『ピンク色のイグアナ』

サーカ・A劇場①『ピンク色のイグアナ』

 派手な女だった。顔立ちもはっきりとしていて、濃いメイクが一層濃く見えた。モデルをしていたこともあったという。くしゃくしゃに整った髪に、古着のドレスという出立ちが、どこか、『ファイト・クラブ』のヘレナ・ボナム・カーターを思わせた。
 知り合いの結婚式の二次会だった。カラオケでついた席で隣り合った。彼女も私も、歌うわけでも、騒ぐわけでもなく、酔っ払った福山雅治を、松田聖子を眺めていた。
 「退屈ね」

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さよなら透明人間(クーブラ・カーンのラブソング)

さよなら透明人間(クーブラ・カーンのラブソング)

「君が欲しいーー
君があいつに脱がされている、
あるいは、
君が自分から脱いでいることを考えたために」
             エルヴィス・コステロ

君は私を誘い、
私に「あなたが欲しい」とも言ったが、
それは人目につかないバーの奥の、
人目につかないボックス席の、
人目につかない不倫小説の中盤で、
ウイスキーの渦に溺れてる時だけだった。
君は私の魂を、
「ビートルズ」のラバーの靴底や、
「ル

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物体X(スライト・リターン)

物体X(スライト・リターン)

君が新聞紙の空の下を歩き、
「インク」の太陽の下を進むとき、
世界も、一面から社会面へと通り過ぎる。
もしも君が世界と歩き始めるとき、
けして走ってはいけない、
パールに似た輝きを通り過ぎるまでは。
それは暖かく、そして冷たい。
物事にはいくつもの側面がある。
夜と昼とではどちらが先でどちらが後か、
「答え」とは、何層にも重なるレイヤーケーキ。

君が土砂降りの中を歩き、
「情報」の洪水を進むとき

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ニュースペーパー・スカイ

ニュースペーパー・スカイ

「今日、ある記事を読んだよ、オー・ボーイ」
                ジョン・レノン

私の知らない多くの物事が空に広がり、
見知らぬ顔が、光景が、私に覆い被さる。
言葉が、「信念」から、
あるいは「疑念」から生まれ、
太陽に焦がされ、雨に濡れ、
その空の彼方に、
ハーパー・リーの魂と共に消えてゆく。
私は知らない、
彼女の物語が何を暗示していたのかを。
マネシツグミの羽ばたきに似た彼女の旋

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ボーン・イエスタデイ

ボーン・イエスタデイ

言葉は乱暴で、
正義は軽い。
人々は子供、
無知な世界では。

ゲームは荒れ、
選手は薄ら笑い。
観客は愚痴だらけ、
無知な世界に。

 生まれたばかりの
 無知な世界。
 ジュディ・ホリデイは言う、
 「無知な世界はとっても危険」。

老いた男は怒り、
若い男は働かず、
赤ん坊は落胆する、
生まれたばかりの世界に。

シーンはカット。
監督が撮るのは、
可愛い仔猫の動画と、
無知な世界。

金持

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クレオパトラ・イズ・デッド

クレオパトラ・イズ・デッド

彼女はすみれ色をした瞳の、
かわいい顔をしていた。
そして花嫁の父の前で、
少女から大人の女性に転身した。
彼女の手には『バターフィールド8』のライター、
肩にはミンクのコートが輝く。
しかし、泣いても無駄さーー
クレオパトラは死んだのだ。

ボートが湖を滑ってゆく、
陽のあたる場所へと。
そこではモンゴメリー・クリフトが、
不幸なアメリカの青年を演じていた。
彼女は青年をとても愛していたが、

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スタローン

スタローン

2021年8月の半ば、
部隊は首都を制圧した。
その砂漠の国には、
緊張と混乱が今も渦巻く。
人々は助けを求めて空港に押し寄せたが、
全てのアメリカ人は帰ってしまった
ーースタローンの国へ。

彼は聖なる戦士たちと共に、
ソ連軍と戦った。
敵が彼に尋ねる、「お前は誰だ?」、
彼は答える、「お前の悪夢だ」。
映画は「ラズベリー賞」を与えられ、
出演者もほとんど忘れられてしまった
ーースタローン以外は

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フラミンゴス・フライ

フラミンゴス・フライ

5分前の私が廊下を歩き回っているーー
伝令のない伝令兵の身なりで。
錆びた言葉を振り回す武士の前で、
首なしの詩人と刀で戯れながら、
私は飛んで、飛んで、飛び跳ねた。
スランプに陥った時、
私は飛んで、飛んで、飛び跳ねる。

卓上ランプを超えて、
街の上空を飛んでいくと、
図書館のフラミンゴが、
私の後を追ってくる。
ロバート・プラントのキーよりも高く、
2人は「夜間飛行」を続けるーー

私は書き

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真夜中のサーカ・A

真夜中のサーカ・A

私は太陽を求めて歩く。
一歩また一歩と、休むことなく。
明るい場所に君がいないと、
まだ夜にいるのだと、私にはわかる。
夜の果ての果てに、
君は私の詩を理解するよ、
そうに決まってる。

君は大人にも子供にもならず、
屁理屈ばかりで、笑顔もぎこちない。
声はうわずり、顔も赤らめて、
君は私の場所を避けようと動いてる。
夜の果ての果てに、
君は私の詩を理解するよ、
そうに決まってる。

喜劇が君を不

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舞台恐怖症

舞台恐怖症

1
開演まであとわずかだが、
ダンサーたちはお喋りをやめない。
司会者はまだチケットの手売りをし、
バンドは錆びたトロンボーンを鳴らす。
彼女は最高のシンガー、
この場末のバーレスクの。
客は彼女のパフォーマンスに興奮し、
メガネやパンツを白く濁らせた。

狭い楽屋では、
チンピラが金を巻き上げ、
パンチを1発置き土産に、
芸人にピエロの目をプレゼントする。

今夜も音楽とともにショウが始まるーー

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