雑誌を読んだことない人が、雑誌を作った話 後半【この雑誌にしかできないことを探す】
▼前半記事
https://note.com/aoiro21/n/n456369496180
デザインコンセプトの確立
全体像が少しづつ見えてきた中で、次はデザインの方向性を決めなければいけません。
この雑誌にはいくつかのモデルがありました。
主にモデルにした雑誌は
「うかたま」「天然生活」「暮らしの手帖」「母の友」「クーヨン」「arne」
どれもデザインが素敵な雑誌ばかり
僕は特に「うかたま」「暮しの手帖」のデザインが好きです。見惚れてしまいますね。
”手書き”と”写真の切り抜き”を組み合わせて、独特な素朴さを表現しています。手書きフォントの見出しも珍しいです
整ったレイアウトに、素朴なロゴ、余白が美しいしっかりとしたデザイン
「arne」素朴さと自由さにも刺激を受けました
「母の友」100%ORANGEさんのイラストがとても素敵です。
劣化版にしてはいけない
ただ、こういった世に出ている素敵な雑誌をモデルにはしているものの、一つハッキリしていることがありました。
絶対にこの”見栄えの良さ”は出せない、ということ。
見栄えの良さとは、デザインだけではなく、記事の質やボリューム、編集能力、印刷技法 などなども含むもの
僕も本格的なデザインのプロではないし、記者の方々も文章に触れている方は多いものの、プロのライターさん、ではありません、そして、お金もかけられません。
そんな環境の中、モデルにしている雑誌と同じ方向性で、制作を進めると、必然的に”劣化版”になってしまいます。
それぞれに「できること」がある
技術がないから、お金がないから、”劣化版”しかできない?
そんなことはないと思いました。
技術があるに越したことはない、なんてことはないのです
ないからこそできることもある。
「コローレにしかできないこと」
これを見つけ出さないことには、ただの真似事であり、劣化版でしかない。
ここから一番、重要な行程に入っていきます。
この雑誌にしかできない「隠れたテーマ」とは
モデルにしていた雑誌を研究する中で、ひとつ思ったこと
記事にもよるのですが、「美しすぎるな」と思いました。
とある方の暮らしについて特集した記事にて
「休日の朝はハーブティを飲んで、花に水をあたえ、育っていることに小さな喜びを感じたりしています。」
という、内容を読んで面食らいました。(うる覚え)
素朴な内容なのですが、プロのカメラマンが撮った、美しい写真と、プロのデザイナーがレイアウトした美しいデザインで飾られると、あたかも美しいのです。
嫌味ではなく、とても素敵な内容で、惹かれます
僕が言いたいのは、これがコローレのデザインテーマを決める上でのヒントになったということです。
雑誌と読者の「距離感」に注目しました。
キーワードは「ツッコミ」
僕がこの雑誌に求めたテーマは「友達の様な雑誌」です。
もう少し具体的に言えば「物知りな友達との対話」というイメージ
本屋さんで売っている「素朴」で「美しい」雑誌とは違い
「近い距離感で」「読者と同じ目線で」対話できることこそ、コローレの一つの価値なのかと思いました。
ちなみにこのときに残していたメモです。
これらの項目は僕が一人で書いていたものなので、記者さんとは一切関係がありませんし、後々「ちがうな」って思ったものもあるのですが。
「ツッコミ」というのはポイントだなと思いました
「読者」と「雑誌」が同じ立場に立って、対話できる。
僕の中で、「コローレ」にしかできない、テーマは固まっていきました。
”前書き”にもその思いが反映されています。
この前書きは、僕がサンプルとして書かせていただいたんですが
「素敵じゃない?」ということで採用されました。
僕が特に書きたかったのは
「感慨深く思うこともあれば そうでないこともあります」
という部分。
「あなたが思うままに感じてください」ということ
「ツッコミを入れてもらっても構いません」という話
ただ受動的に、美しくて有意義な記事をなぞるのではなく。
雑誌と対等な立場になって、読者である「自分」の意見をぶつからせてもいい
むしろぶつからせてほしい。
そのなかで「自分らしさ」を見つけてほしい。
そんな意識でデザインを制作。
ムラがあっていい、穴抜けがあっていい、空白や余白があっていい
それらは読者が、思考を巡らせるためのキャンバスになるから
読者の中で生まれる物こそ本当の「コローレ」である
とか言ってみたり。
そんな大層な考えに、夢中になると膨大な作業を前にしても、なんとか作業を続けられました。
これらの話は、記者の方々とは共有してませんので、主にデザインに反映したつもりです。
しかし、そうやって、一つの指標を見つけようが、難しいものは難しい。
うまく情報をまとめて、記事の伝えたいことと、テーマ、コンセプト、うまく絡み合わせて、デザインに落とし込んでいく。
この後も、何度もパソコンの前で唸ることになるわけです
みんなで作る、ということ
デザインのテーマについて話しましたが、これらは僕の頭の中で起きていたこと。
作るのは、僕とコローレ雑誌編集部のみなさん、です。
創作というのは、とても難しい物で、余程に有意義でないと、続けられないということは、何度も経験しています。
誰一人、欠けることなく、足並み揃えて、創作を行う
これがどれだけ不安定な作業であるか
成功の保証もされてないなら、尚更です。
モチベーションは続きづらい。
その点ではフィードバックがとても大切だなと思いました・・
「素晴らしい記事!」「いいデザインです」「素敵なイラストありがとうございます」「すごい!」
こうやって意見を交換し合うことが、どれだけ重要かということを認識しました・・
僕は基本的に「素敵だ」と思っても心に留めることが多いのですが、最近では、できる限り、しっかりと伝えるようにしています、チームに属する上では欠かせないスキルだなと再認識。
こうして感想を言い合うのは女性の方が自然とできるような印象ですね。
僕以外は女性でした。
みなさん、意見を交換しあいながら、イキイキとした環境の中で創作を進めていきました。
そうして完成していく
一つ一つ記事をデザインしていき、とうとう仕上げ。
編集部全員による厳重な校正
印刷の仕上がりも確認しながら、販売まで。
出来上がり届く雑誌
感激。
印刷の仕上がりは、B5サイズの普通紙オプション、表紙は135kgの厚さで、普通紙のすこし褪せている感じがいいですね。
500部を刷って、現在、売り上げは300部ほど、こうして一つの小さなコミュニティで作り上げられた雑誌がいろんな方々に届いていく。
感慨深い
届いた先で、どんな風に読まれ、どんな感覚を生んでいるのか、まだそれは、僕の知らないところでございます。
誰かにとってはどうでもいい物
雑誌のメイキングはここまでです。
今回の雑誌制作は僕にとっては、今までにない前代未聞のプロジェクトでした。
ですが、おそらく、世の中にとっては、取るに足らないこと。
手にしていただいても、1ヶ月、2ヶ月かけた制作した雑誌を読むのは、1時間もかかりません。
この雑誌を含め、この世の様々な創作物は全てそういうもの。
この世に溢れている、様々な創作物は誰かの人生の中で作られてるのだなとか思ってみると、とても尊く思いますね・・。
購入いただいた方いましたら、是非、そんな視点からも楽しんでみてください 笑
読んでいただいた方々はアンケートもいただけるとありがたいです・・
次なる機会がありましたら、もっといい創作を届けられる様に、頑張ります。
その時も興味あれば、是非、よろしくお願いいたします。
ここまで本記事を読んでいただきありがとうございました。
よろしければ、「スキ」「フォロー」などしていただけると、今後の活動の励みになります。
改めて今回、貴重な機会をいただいた、編集長、綾乃さん
それぞれの生活の中で、記事を書いていたでき、校正なども、細かく行ってくれた、コローレ編集部の方々
そして、購入いただいた皆さま。
創作の中、応援いただいた方も。
深く感謝いたします。
ありがとうございました。
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