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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ…
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2019年12月の記事一覧

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 53

 学校に着くまでに涙は引っこんだけれど、ひさしぶりに会ったヨンベはそれでも私の顔を見るなり「おはよう、どうしたの、なんかあったの?」ときいた。

「あ、うん、ちょっと飛んでるときに目にごみが入っちゃって」私は飛びながら考えたいいわけを伝えた。

「わあ、そうなんだあ」ヨンベは痛そうな顔をした。「目が赤くなってるよ。薬草もらいにいく?」

「ううん、もう痛くないし、ちゃんと見えてるし、だいじょうぶ」

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 52

 ヨンベにツィックル便を送ると、すぐに返事が来た。

「クロルリンクムーンって、はじめて聞いたよ。私もいま見てるよ。すごくきれい」

「うん、ほんときれい」私はあらためて満月を見上げながら、しあわせな気持ちに全身つつまれた。「いっしょに見てるのって、なんかうれしいね」

「これが『遠く離れた場所にいる大切な友達との絆』だよね」

「うん」返事のあとおもわず「ふふふふ」と笑った。

 もどってきたカ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 51

 それから私は、両手のなかにハピアンフェルを大切にもったまま、ものも言わず鬼魔たちに背をむけて丸太の家へ帰った。

 うしろでユエホワやケイマンやサイリュウや(たぶん)ルーロが私の名前――みじかい方の――を呼んだけれど、ふりむきもしなかった。

「もうポピーとは呼ばないで」とちゃんといい渡したわけだから、返事しなくてもいいと思って返事もしなかった。

 ハピアンフェルは私の手のなかでふわ、ふわ、と

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 50

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 50

 お昼ごはんの後も、私のピトゥイはイゼンとして発動しなかった。

 もちろん、いろんなスタイル――というのかどうか――を、ためしてみた。

 唱える前に目をとじて、心をとぎすませて、一点に集中して、思いきり唱える。だめだった。

 逆に力を抜いて、キャビッチも頭上たかくさし上げるのではなく、ひじを曲げて楽にかまえて持ち、ふだんと同じトーンで唱える。だめだった。

 両手で持って。だめだった。

 

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 49

「ピトゥイ」叫ぶ。

 何も、起きない。

 キャビッチは、手の中にある。手のひらの、上に。

 それは祖母のキャビッチ畑になっていたもので、どちらかというと小さめのもの。葉の色は、うすいベージュオレンジだ。ころんとまんまるく、いかにも「野菜の子ども」といったイメージをあたえる。そしてなにより、さすがはガーベラのキャビッチというべきか、私の手のひらから伝わる魔力を、すべて、ひとしずくたりとももらさ

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