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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ… もっと読む
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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 86(了)

 その後、たおれたマントのアポピス類たちは、オルネット類たちの助けを借りてしばりあげ、地母神界へ引き連れていくことになった。
 その前に、私は菜園界まで送ってもらい、やっと帰れたのだった。
 菜園界はもう、お昼になっていた。
 世界壁を抜けたとたん、母からのツィックル便がひらひらと舞い落ちてきた。
「ポピー、おはよう。どこか冒険しに行ってるの?」
 届いた時間は……なんと……ほんの一時間前だった。

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 85

「うしろにつけ」マントのアポピス類は落ち着いた声で言った。「どこからとんできてもいいように」
「おう」別のマントのアポピス類がうなずく。「まかせとけ。はじきとばしてやる」
 私は消えたキャビッチをそのまま手のひらの中でにぎりこみ、その手をうしろに回し、箒ごと体をしずめながらサイドスローで投げた。
「くるぞ」アポピス類がさけぶ。
 そのうしろのアポピス類がうしろ向きに盾をかまえる。
 けれどキャビッ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 84

 私はいっきに全身に汗をかいた。
 たぶんユエホワもそうだ。
 どうする!?
 ツィックル箒はかならずすばやくよけてくれるだろうけれど、でも万一、よけきれなかったら?
 なにしろ、まわり中アポピス類だらけだ。
 同時にあっちこっちから投げられたら――
 あれ?
 人間に化けたアポピス類の元子どもたちは、投げてこようとしなかった。
 全員、手に持つキャビッチをじっと見ている。
 左右の手を、かわりば

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 83

「キャビッチ」ユエホワが私の方に手をのばしてさけぶ。
 私は大急ぎで渡す。
 それを受けとると同時に薬をかけつつ「ピトゥイ」とユエホワがさけび、
「エアリイ」私もさけんで投げる。
 私のキャビッチは子どものにぎりこぶしぐらいの大きさで何十個かに分散し、また姿をあらわしたアポピス類たちに、つぎつぎにぶつかっていった。
 けれどアポピス類の盾に当たって消えるものが大半で、ダメージにはつながらなかった。

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 82

「やっぱり二人がけだ」ユエホワがうなずく。「俺にもマハドゥがきいてる」
「いや、なんで?」私は思わずユエホワを見てさけんだ。「なんでユエホワがピトゥイを使えるの?」
「俺が性格のいい鬼魔だからだ」ユエホワはにこりともせず答えた。「あとついでにシルクイザシの効能と。くるぞ!」さけぶ。
 はっと前を見ると同時に箒がぎゅんっと高く飛び上がり、私がいた位置になにかきらきら光る粒のかたまりのようなものが飛び

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 81

「あのう」飛びながら私はユエホワにたずねた。「イボイノシシ界ってもしかして、地母神界のこと?」
「たぶんな」ユエホワはまっすぐ前を見て飛びながら答えた。「あいつらがさらに新しい世界とか国とかをつくってるんでなければな」
 私はそれ以上なにもいわなかった。
「それにしても、あいつら陛下の目を盗んで好き勝手やってくれてるってことだな」ユエホワはにがにがしげに言った。「まさかとは思うが、あいつらに寝返る

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 80

「え」私は一歩しりぞいた。「なにが?」
 となりで片ひざついているユエホワはなにも言わず、こうべをたれたままちらりと私を横目で見た。
「このたび貴様は我が鬼魔界精鋭のユエホワを危機から救い、あまつさえ鬼魔同士のいさかいを食い止めたとのこと」鬼魔の陛下はそう説明した。「人間にしてはよい行いであった。ほめてつかわす」
「――」私はなんと答えればいいのかわからず、陛下ととなりのユエホワをかわるがわる見た

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 79

 私は寝る前、ツィックル便でヨンベに、菜園界へもどってきたことの報告と、明日学校でね、というメッセージを送った。
 するとすぐに返事がきて、そこには
「ポピー、お帰り! 無事でよかった! 明日も学校はお休みだから、また二日後に会おうね。ゆっくり休んでね。」
と書かれてあった。
 あ。そうか。
 明日は、今回地母神界へ行くことになった人たちのため、特別にもうけられた休みなんだ――忘れてた。
 私は肩

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 78

 ばさばさばさ

 とつぜん、鳥の翼のはばたく音が聞こえ、私たちはそちらを見た。
 すると。
「まあ」最初に声をあげたのは、祖母だった。「なんて美しいの」
 私たちが見たのは、一羽の鳥――小柄な、ふくろうだった。
 けれどそれは今まで見たこともない、色合いをしていた。
 頭から尾にかけて、緑から黄色、そして金色とグラデーションのように変わってゆき、翼と嘴もベージュがかった金色、そして目が赤かった。

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 77

 席についてあらためて裁きの陣の方を見てみると、陣の中には人間型のアポピス類たちが十人ほどかたまって立っていた。
 森で、火起こし妖精の助けを受けながら私たちキャビッチスロワーと闘った者たちの一部だろう。
 ケイマンはひきつづきそのアポピス類たちに向かい、祈祷文句をとなえつづけていた――ときどき修正されたり、つっかかったりしながら。
 そしてときどき、陣の中のアポピス類たちがうめき声をあげたり、が

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 76

 私たちはまず、森へ向かった。
 母たちに任せてきた“話し合い”がその後どうなっているのか、確かめるためだ。
「あんまり、気がすすまねえな」ユエホワが飛びながらそう言ったけれど、私もおなじ想いだった。
 話し合いは、無事に終わったんだろうか……たぶん、終わってないと、思う。
 へたをすると、またキャビッチ投げ対アポピス類の魔力攻勢がくりひろげられているのかも知れない。
 けれど、森の中はしずかだっ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 75

 そうか。
 ギュンテは水がめの神さまだから、水が世界のどこにあるかは当たり前にわかるんだ。
 そうだよね、だからさっきみたいに水――というか雲を呼び寄せて雨を降らせることができるんだ。
 そんなことを思い、私はひとり、うなずきながら箒で飛んだ。
 ギュンテの乗る小さな雲を追って。
 私の少し前を祖母の箒が飛び、なぜか私の横をユエホワが飛ぶ。
「泡粒界に行ったとき話したこと、おぼえてるか」ふいにユ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 74

「火起こしか」ユエホワが言う。
 火起こし――まだ姿を見ていないとハピアンフェルが言っていた、妖精たち。
 どこにいるんだろう――
 どうすればいい――
「ポピー、これを使え」ギュンテが空の上からさけぶ。
「え」上を見上げると、
「燃えないキャビッチだ」ギュンテはそう言って、雲の上から私に小さなキャビッチを投げてきた。
 それは、さっきギュンテの水がめに入れておいた、私のキャビッチだった。
 小さ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 73

「燃えてる」母がさけぶ。
 同時に、突然熱い風が私の顔にぶつかってきた。
「うわっ」箒にまたがって飛びながら、思わず目をぎゅっと閉じ顔をそむける。
 箒は私がそんなことになっても、木々にぶつからないようによけながら、大急ぎで前へ進んでくれる。
「ポピー止まって」母がつづけてさけぶ。
「わっ」私のツィックルはただちに止まり、私の体は箒にまたがったまま前につんのめりそうになる。
 顔を腕でまもりながら

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