朝は白いご飯と焼き魚が恋しい
朝ごはんには白いご飯と焼き魚が欲しい、フリーライターのaoikaraです。
汁物と副菜がつけば、私のいつもの朝ごはんになる。
昔から、私の家では白いご飯と汁物がセットの朝食だった。子どもの頃は密かにパンやCMで見かけるコーンフレークなんかにも憧れたけど、食事を用意する母にとって“あたりまえ”のメニューで、私が「別のものを食べたい」と主張した記憶はない。
強制的な教育、とかじゃない。小さい頃から見てきた景色はそのまま私に染みつくわけで、私にとっても“あたりまえ”だったのだ。
ときどきは朝にパンを食べるときもあった。でも、バターが溶ける食パンのトーストを食べたかったのに、レンジで温めたコッペパンに溶けたバターをかける妙な代用品だった。
うちには食パンが常備されていないものだから、余り物のコッペパンだけが、ときどき朝食に現れた。
10代の後半で一人暮らしを始めたときに、初めて朝食に食パンのトーストを食べた。トースターを置くスペースがなかったから、わざわざトーストができる電子レンジを買った。
それまでもトーストを食べたことはもちろんあった。だけど、昼ごはんにだけ。朝食では、ない。
だから電子レンジで10分近くかけてまでも、忙しい朝に効率が悪くても、朝食にトーストが食べてみたかった。初めての朝食トーストは、ちょっぴりの背徳感がスパイスになって、おいしかった。
だけど、朝にパンを食べないという長い習慣からか、電子レンジがトースターの役割を果たすのは、あと2、3回だけだった。
ついでに一人暮らしでの生活がうまくいかなくて、食生活もしっちゃかめっちゃかになっていた。ストレス発散のために帰宅してから夕方に過食し、泣きながら後悔し、満腹を通り越して気持ち悪くなったお腹で迎える朝には、食事が喉を通らなかった。しばらく、朝食抜きが続いた。
いろんな挫折を味わって、一人暮らしから生まれ育った家に戻って、しばらくたった今でも、自分の心と体の健康に向き合っている。心が乱れると、食も乱れて、体も一緒に落ち込んでしまう。
でも、少しずつ改善もしている。おいしいものはきちんとおいしく、どんな栄養をどれだけ取ろうか、記録もして健康的に食事ができている。
うだうだやってきた人生を経て、今は朝食に白いご飯と焼き魚が欲しい。健康的だから、ってわけじゃない。お米と魚のうまみをしみじみ感じて、なんだか幸せ。
昔から食べてきたもので今の私が作られているのだから、自然と欲するのかもしれない。「あぁ、おいしい」って単純に、でもとびきり幸せに感じる。
旅行とかをしていれば、「たまには」と朝食でご飯と魚以外に手が伸びる。それでも帰り際には「ご飯と魚が足りない!」と恋しくなって、家に着いた翌日の朝食が楽しみで仕方なくなる。
とても日常的なことが、幸せなのだと思う。朝がやってくるとか、おいしいと思えるとか。そんないつもの日常を、いつもの朝食を、守っていけたらいいな。
2021年5月10日(月)
No.868
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