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かばん(M.Kちゃん)

この記事は2020年7月26日にホームページにて掲載したものです。

久しぶりにMちゃんがやってきた。
1年ぶりくらいじゃないかな。
すっかり大きくなって、もう4歳だって。

「(僕のこと)覚えてる?」って訊くと、
「ぜんぜん覚えてない!」だって。ほがらかに。笑


1年の間にたくさんのことを経験したみたいで、成長していたMちゃんの様子にびっくり。
使える道具やアイデアも増えてる。
字も書けるようになったみたいだし、言葉だって達者。きっと家族の中でいちばん達者なんじゃないかな、って、ものの5分会話しただけで感じたよ(笑)


Mちゃんはとってもおもしろい。
発想力がある。表現力もある。
そして、エネルギーに満ちあふれている。


僕は子どもと関わるのを仕事としているから、子どもたちの思いを受け入れた上で助言したり、あるいは誘導したりするのが得意だ。
だけどMちゃんは、少しも、ちっとも、ほんのちょっぴりも!僕に主導権を渡してくれない。笑

いくつかの隙を見つけては、彼女の手元にあるコントローラーを僕の手に収めようとするのだけど、いずれも失敗に終わる。笑


【事例1】絵の具を混ぜてるとき

僕「なに描くの?」
M「いいからいいから」
僕「どんな色つくるの?」
M「いいからいいから」
僕「この色も使ってみたら」
M「いいからいいから」
僕「(^^)」


【事例2】はさみ使ってるとき

M 「固くて切れない」
僕「このハサミ使ってみたら?こっちのほうが
M「ちょっとまって!」
僕「(・_・)」
M「なんか切りにくい」
僕「こっちに切りやすいハサミがあ
M「ちょっとまって!」
僕「(・_・)」


【事例3】カバンを作ってるとき

僕「ここにテープ貼ろっか」
M「いらない」
僕「もっと丈夫になるよ」
M「だいじょうぶ」
僕「持ちやすくなるよ」
M「だいじょうぶ」
僕 あきらめる
M「そうだ!ここにテープ貼ろうっと」
僕「(^^)」

こういうやりとりをいくつか繰り返し、ようやくMちゃんとの距離感を改めてつかめた僕でした。
そう、彼女の躍動には、誰の助言もいらないのです。笑

どう作るかはMちゃんが決める。
いいかどうかはMちゃんが決める。

そうして出来上がったMちゃんの素敵なカバン。

なんどもなんども色を混ぜ合わせて、味わい深い色になりました。ANNA SUI顔負けのデザインだね。

絵の具でべちょべちょに濡れた紙を、ドライヤーで乾かすのは僕の仕事。
大丈夫。お役に立てるのなら、なんなりと。笑


Mちゃんのそのエネルギーがこれからも素敵な作品を、たくさん生み出してくれることでしょう。

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