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お花の妖精(S.Kちゃん)

この記事は、2021年3月28日の教室の様子です。

隔週ごとに会うSちゃんの成長に、僕は毎回驚かされている。

背や顔つきがお姉さんになっていることはもちろん、文字を書いたり、新しい知識を得ていたり、この前は出来っこなかったことでも、気がつけば当たり前にこなしているじゃないか。
いったいこの2週間で何があったの?という驚きを、毎回僕にプレゼントしてくれるのだ。子どもたちの成長ってほんとうに早い。

成長期、とかいう言葉がぴったりだと思う。
世界との新しい出会いを、なんでもかんでも吸収していく。これまで興味を示さなかったものにも、手を伸ばしどんどんトライしている。成功体験を重ね自信をつけたSちゃんの冒険が、また新しい章へと移り変わっているような気がしてる。



そして今日も新しい風が吹いたよ。

今までSちゃんは、カラーペンやクレヨン、色画用紙を使った作品を好んでいたのだけど、なんと「絵具で絵を描いてみようかな」だなんて、ふと言い出したのだ。

子どもたちから出た新芽は決して見逃さない。そんなときには栄養満点の土と、新鮮な水、そして太陽の光をたっぷりと、タイムリーに与える。あおいほし絵画教室のモットーだよ。


Sちゃんはパレットに、絵具をむにゅっと出し揃えていく。感触がとても気持ちいいみたい。あっというまに好きな色をいくつか並べた。
筆にたっぷりと水を含ませて、絵具を混ぜ合わせていく。混色こそが絵具の醍醐味だ。色鉛筆やマーカーでは、この楽しさはなかなか味わえない。
移り変わる絵具の色に、Sちゃんは目を輝かせていたよ。
「どうして色が変わるの?」と僕に訊いてくれたんだけど、僕はうまく答えられなかった。「うーん」と悩んでいるうちに、Sちゃんは僕の返答なんか置いてけぼりにして、次から次へと混色を進めていく。

たくさんの絵具を混ぜ合わせたので、あっというまにパレットは真っ黒に濁った。
「真っ黒になっちゃった」と苦笑いのSちゃん。
大丈夫、大丈夫。


例えば楽器でもそうだけど、子どもたちが始めてピアノを前にしたら、まずは鍵盤をめちゃくちゃに鳴らして音が出るのを楽しむ。
どれくらいの力で鍵を押す?どんな音色が出る?
まずはそれを確かめる。初めましての挨拶。

ひととおり楽器とのコミュニケーションに満足をしたあとで、それから、少しずつ音の強弱や音色を感じていく。足したり引いたり、たくさんの音の組み合わせを感じて、自分の心地よいハーモニーを探していく。


絵具だって、おんなじだよ。

色遊びを十分に楽しんだあとで、Sちゃんに素敵なアイデアが浮かんだ。
お花の妖精の絵を描くんだって。

鮮やかなライトグリーンと深みどりを画面で混ぜ合わせて草原を描き、赤い画用紙を貼ってビビットなお花を作った。

絵の主役の、かわいい妖精さんは、最近描けるようになった5頭身の女の子。
(なぜかいつも腕を真横に広げている女の子 笑)

妖精さんのドレスは、前回手がけた「Syopu つまむ」でオーダーしたようなデザイン。かわいいね。
美しく咲くお花と同じ、目を奪われるような綺麗な赤。


こんなふうに、子どもたちがその足を一歩前に進められた瞬間に立ち会えたとき、教室をやっていて良かったって、僕はいつも思うんだ。


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