嫌な場面での選択、目を疑う結末に……
友人たちと観光牧場へ遊びに行った日のこと。
牧場を出た時に、何台か後ろの赤い普通車が、左右に揺れ動いていることに気付きました。あおり運転です。その時点では直接自分に害があるわけではないので、あまり気にしていなかったのですが——。
10分ほど車を走らせた頃には、自分のすぐ後ろの車があおられている状態になりました。信号で停まった時にバックミラーを見ると、後ろの運転手も、あおっている車を気にしているようです。
——危ないなぁ……。
僕が運転している車には、友人が2人乗っています。もし追突されたら、友人たちが怪我をするかもしれません。
もう少し進むと峠道に入り、避ける場所がなくなることを知っていた僕は、道路が広くなっている場所でウインカーを出し、左端に避けました。後ろにいる車も僕の後ろについてきたので、同じことを考えていたのでしょう。
すると、赤い普通車は一気にスピードを上げ、ものすごい速さで車の横を通り過ぎて行きました。
「何なんだろうね、あの車……」
「峠の先は渋滞しているだろうから、意味がないのに」
友人たちも呆れた顔をしています。
前にいた2台の車のことも気になりましたが、赤い普通車がいなくなったことに安堵して、また車を走らせました。
その後はすぐに峠道に入り、道は左右に何度も蛇行しています。大きなカーブを左に曲がった時。少し先の山から煙が上がっているのが見えました。
「何だろうね、アレ」
そんなことを話しながら右に曲がり、もう一度左に曲がった瞬間、ブレーキランプの赤が見えて、僕もスピードを落としました。ずっと僕の前にいた2台の車が、ブレーキを踏みながら、ゆっくりと進んでいます。
「うわぁ……」という友人の声で、煙が上がっている方を見ると——なぜか、山の斜面に赤い普通車が停まっています。下なら分かるのですが、道路から3メートルくらい上の、山の急斜面にいるのです。おかしいですよね……。
そうなった瞬間を見ていないので憶測ですが——。
走っている4台の車を追い抜くのは難しいので、あおって退かせようとしていたのだと思います。そして、峠の手前で僕と後ろの車が避けたので、残った2台の車なら抜けると思ってスピードを上げたが、ハンドル操作を誤って、山の斜面に乗り上げてしまった。という感じだと思います。
道路と山の境には40センチ幅くらいの溝があるのに、それも飛び越えたことになります。相当スピードを上げていたのでしょう。
峠の道は細くて、カーブがキツイのです。当然の結果だと思いました。ちなみに山の傾斜もキツイので、自力では下りられないでしょう。
近付いた時に、高い位置にいる赤い普通車の運転手を見ると、不機嫌そうに携帯電話で誰かと話をしていて、怪我はないように見えました。ただ、怪我はしていなくても、警察やレッカーに来てもらわないとどうしようもないような状態で、何より恥ずかしいですよね。
対向車もみんなスピードを落として見ていたし、僕の友人たちも「調子に乗るからそうなる」と言って笑っていました。
赤い普通車の運転手は、やんちゃな若い男性だろうと勝手に想像していましたが、意外にも50代後半くらいの男性でした。もう少し大人の運転をしてほしかったです。
峠に入る前に、道を譲るかどうかを少し迷ったのですが、今は道を譲っておいてよかったと思っています。後ろから追突されていたかもしれないし、あおられて自分が事故を起こしていたかもしれないからです。
危険を感じたら『迷わずに、すぐに逃げた方がいい』と感じた出来事でした。
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