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デザインで世界を変える?多元的な未来への挑戦

こんにちは、デザインシンカーのAoiです。初記事になるので、「デザイン」についてちょっと深い話をしてみようと思います。

「えっ、デザイン?それって服とか建物とか、見た目のことでしょ?」なんて思った人もいるかもしれません。でも、実はデザインの世界はもっともっと広くて深いんです。

デザインって何だろう?

まず、「デザイン」って何か考えてみましょう。
スマホ、服、建物、街並み… 確かに、私たちの身の回りのほとんど全てがデザインされています。でも、実はそれだけじゃないんです。
最近では、「社会をデザインする」「未来をデザインする」なんて言葉を耳にしませんか?そう、デザインの定義が大きく広がっているんです。

例えば、無印良品のことを考えてみてください。シンプルで使いやすい製品で有名ですよね。でも無印良品は単に「モノ」をデザインしているわけじゃありません。実は、「シンプルで無駄のない暮らし方」そのものをデザインしているんです。これって、ある種のライフスタイルや価値観のデザインと言えるでしょう。

多元的な未来をデザインする

さて、ここで重要なキーワードが出てきます。「多元的な未来」です。ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに「一つの正解だけじゃない未来」ということです。

今の世の中、グローバル化が進んで、様々な面で均一化が進んでいます。同じチェーン店、同じファッションなど。この均一化には利便性や効率性といったメリットがある一方で、地域独自の文化や多様性が失われていく可能性も指摘されています。私たちにとって、どのようなバランスが理想的なのでしょうか?

現在、それぞれの地域や文化の特色を活かした様々なアイデアが取り入れられた製品が生まれています。例えば、日本の伝統工芸を現代的にアレンジした製品。福井県の越前和紙を使った照明デザインや、岐阜県の美濃和紙を使ったスピーカーなどです。

福井県の越前和紙を使った照明デザイン
画像引用先:1500年の歴史を誇る日本三大和紙の「越前和紙」を使用。和洋室どちらにも馴染む和モダン照明「OH テーブルランプ」発売開始
岐阜県の美濃和紙を使ったスピーカー
ソニー アクティブスピーカー SRSZX1

ここで、ちょっと考えてみてください。自分たちの地元の伝統や文化、それを現代的にデザインするとしたら、どんなものができるでしょうか?

持続可能性とデザイン:もったいない精神の復活

「持続可能性」って言葉、よく聞きますよね。環境問題や社会問題と深く関わっています。実は、デザインはこの持続可能性を実現する上で、とても重要な役割を果たすんです。

古くから「もったいない」という考え方があります。この言葉には、物を大切にし、無駄なく使うという意味が込められています。近年、環境問題や資源の有効活用が世界的な課題となる中で、この「もったいない」の概念が再び注目されています。これって、現代のサステナビリティ(持続可能性)にピッタリのコンセプトだと思いませんか?

例えば、ペットボトルのリサイクル。日本では多くの飲料メーカーが、リサイクル素材を使用したペットボトルの採用を進めています。これって、「もったいない」精神を現代的にデザインした好例と言えるでしょう。

でも、本当の持続可能性は製品だけじゃありません。社会システムそのものをより持続可能なものにデザインすることが求められています。
例えば、東京都渋谷区の「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー」制度。これは、地域の課題解決に取り組む団体と企業をマッチングする仕組みです。社会課題の解決を、地域ぐるみでデザインしているんです。

東京都渋谷区の「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー」制度


さて、自分の生活の中で、「もったいない」精神を活かせそうな場面はありますか?

学際的アプローチ:境界線を越えろ

「学際的」って聞くと、なんだか難しそうに感じますよね。でも、要するに「いろんな分野の知識を組み合わせる」ということです。

例えば、建築家の隈研吾さん。彼の作品は単なる建築ではありません。日本の伝統的な素材や技術、現代のテクノロジー、そして環境への配慮を巧みに融合させています。これぞまさに学際的アプローチの結晶(文化、歴史、環境との対話を促す芸術作品)と言えるでしょう。

あるいは、ファッションデザイナーの三宅一生さん。彼の「A-POC (A Piece of Cloth)」というプロジェクトでは、ファッションと工業技術を融合させ、一枚の布から様々な形に変化する服をコンセプトに、画期的なデザインと技術を生み出しました。これがファッションの未来を拓く重要なプロジェクトで、異なる分野の知識を組み合わせた結果と言えるでしょう。

さあ、試してみたくないですか?自分の専門分野や趣味と、全く違う分野を組み合わせてみて、そこから、どんな新しいアイデアが生まれるでしょうか?

デザイナー:社会を変える人

「デザイナーって、絵を描いたりモノを作ったりする人でしょ?」 そう思っていませんか?実は、デザイナーの役割はもっと大きいんです。社会を変える力を持っているんです。

例えば、高齢化問題、日本が直面する大きな課題ですよね。これに対して、デザインの力で挑戦している例を見てみましょう。
富山県の「コンパクトシティ戦略」。これは、都市をコンパクトに再設計することで、高齢者にも住みやすい街づくりを目指しています。公共交通機関を充実させ、歩いて暮らせる街をデザインすることで、車がなくても快適に暮らせる環境を作り出しているんです。

引用先:富山市の目指すコンパクトシティ.pdf

また、過疎化問題に取り組む「さとのば大学」というプロジェクトもあります。このプロジェクトは、都市部の人々と地方をつなぐプラットフォームをデザインしています。単に都市部から地方への移住を促すのではなく、都市と地方の新しい関係性をデザインしているんです。

では、自分の地域にはどんな社会問題がありますか?それをデザインの力で解決するとしたら、どんなアプローチが考えられるでしょうか?

批判的思考:空気は読まずに、変える

「空気を読む」「同調する」、これは日本人の特徴としてよく挙げられますよね。でも、デザインの世界では、時にはそういった空気を読まないことも大切なんです。

例えば、建築家の安藤忠雄さん。彼の作品は、既存の概念を覆すものばかりです。コンクリートの冷たさを、光と影で温かみのある空間に変える。それは、従来の建築の常識に挑戦する批判的思考から生まれたものです。

あるいは、Appleの共同創設者のスティーブ・ジョブズさん。彼の革新的な製品は、IT業界の常識を覆しました。iPhoneの開発では、物理キーボードを廃しタッチスクリーンを採用するという大胆な決断をしました。これにより、スマートフォンのユーザーエクスペリエンス(UX)が大きく向上し、業界全体に革命をもたらしました。

また、Googleの元CEOであるエリック・シュミットさん。彼は批判的思考を持つリーダーとして知られ、「Don't be evil(悪事を働かない)」という信念のもと、ユーザー中心のサービス開発を推進しました。検索アルゴリズムの革新により、ページの関連性と品質を考慮した結果、検索エンジン市場に大きな影響を与えました。

批判的に考えるって、単に批判することじゃありません。より良いものを生み出すためのプロセスなんです。自分の日常生活で「当たり前」だと思っていることの中で、本当は変えるべきだと感じているものはありませんか?

テクノロジーと人間らしさのバランス

日本は科学技術大国と称されています。でも、テクノロジーだけでは解決できない問題もたくさんあります。例えば、高齢化社会における孤独や、環境問題など。これらの問題は、人間の感情や社会的なつながりを考慮する必要があるでしょう。ここで重要なのがデザインの役割なのですデザインは、最先端の技術と人間らしさのバランスを取ることで、こうした複雑な問題の解決に繋がるんです。

例えば、ソニーの「aibo」。これは単なるロボット犬ではありません。AI技術を使いつつ、人間との感情的なつながりを大切にしたデザインになっています。高齢者の孤独解消にも一役買っているんです。

また、Appleの「Apple Watch」。これは最新の健康管理機能を備えつつ、使いやすさとデザイン性を両立させています。ヘルスケアやフィットネス機能、心拍数のモニタリングや緊急時の通報機能など、高齢者から若年層まで幅広いユーザーにとって安心と便利さを提供しています。これも最新技術と人間らしさを調和させることによって、ユーザーの生活の質を向上させることに成功している好例と言えるでしょう。

テクノロジーと人間らしさ。自分ならどうバランスを取りますか?身の回りの製品やサービスで、もっと人間らしさを取り入れられそうなものはありますか?

つながりをデザインする

最後に、人と人とのつながりについて考えてみましょう。日本語には「絆」という言葉があります。時代の変化に伴い、この絆の形も変わりつつあります。この絆を現代社会に合わせてデザインし直すことが必要です。例えば、デジタル化やリモートワークの普及により、新しいつながりの形が求めれています。そんな挑戦もデザイナーには求められているんです。

例えば、コワーキングスペース「WeWork」。彼らは単にオフィススペースを提供しているわけではありません。異なる職種の人々が出会い、新しいアイデアが生まれる場をデザインしているんです。

また、クラウドファンディングプラットフォーム「READYFOR」。これは、アイデアを持つ人と、それを支援したい人をつなぐ仕組みをデザインしています。新しい形の「絆」と言えるでしょう。

デジタル時代の今だからこそ、リアルな人と人とのつながりが重要になっています。自分ならどのような新しい「つながり」の形をデザインしますか?

みなさんもデザイナーに

デザインについて、ここまでご紹介してきましたが、いかがでしたか?デザインって、思っていたよりずっと広い概念だったでしょう?
実は、みなさんも既にデザイナーなんです。なぜなら日々の生活の中で、問題を見つけ、解決策を考えることが、まさにデザインの本質だからです。

例えば、家族のために使いやすいキッチンを考えること。職場の業務フローを改善すること。友達との楽しい飲み会の段取りを決めること。これらも全て、広い意味でのデザイン活動なんです。

これからの時代、デザイン思考はますます重要になってきます。
ぜひ、自分の周りの課題に目を向けてみてください。そして、どうすればより良くできるか、考えてみてください。もし良いアイデアが浮かんだら、ぜひ実践してみてください。小さな一歩から始めればいいんです。
そして、そのアイデアがきっと誰かの人生を、社会を、未来を変えるきっかけになるかもしれません。言い換えると、そのアイデアが、多元的で持続可能な未来をつくる一歩になるかもしれません


<参考書籍>


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