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「主体的な学び」を実現するために欠かせない理論とは

「主体的な学び」が混乱を生んでいる

今回のnoteでは、「主体的な学び」について説明します。その理由は、校内研究の講師として回る中で、「主体的な学び」の姿を共有することが難しく、教育現場に混乱を生んでいると思ったからです。

小学校や中学校において、授業の内容は基本的に決められたものです。ですから、「主体」として課題に取り組むことができなくても、「意欲的」に取り組むことができれば十分なのでは、と思うところもあります。

「意欲的」とは、「物事を積極的にやろうとする気持ちがあふれている様子」です。現在の学校現場では「意欲的」に取り組めていない子どもたちも多いです。その中で、「主体的」にというのは、子どもにとっても、教師にとっても高いハードルになっています。

学習指導要領には、背景となる理論が書かれていない

ご存じの通り、学習指導要領では、「主体的な学び」に向けて授業改善をすることが求められています。もちろん私も、大学の授業やゼミナールで、学生にとって主体的な学びとなるように工夫しています。

この学習指導要領ですが、様々な理論を織り交ぜながら、日本の教育に合わせて作成されています。とてもよく練られた文章で、感動さえおぼえます。

しかし、「どのような理論を参考にしたのか」、までは書かれないところが学習指導要領の特徴です。今回のnoteは、その理論的な背景も含めて説明していきます。

「主体的な学び」の姿を評価する視点は示されているけれど

子どもたちの「主体的な学び」については、平成31年に文科省の「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)p12」によって、「ねばり強さ」と「自己を調整する力」の2点で評価しましょう!という提案がなされています。そして、特に「自己を調整する力」を重視することが示されています。

つまり、「主体的な学び」とは、ねばり強く、自己を調整しながら学ぶことです。それでは、「自己を調整する」とは、一体どのように学習に取り組むことなのでしょうか。そして、「自己を調整する」という考え方は、どのような理論が背景にあるのでしょうか。

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