見出し画像

ジャンプスケアのビックリ箱 | 映画「呪葬」感想

 ホラー映画の夏ってことで、毎週ホラー映画が公開されていく中で、とりあえず今年の夏1本目のホラー映画はこれ。キービジュアルがすでに不気味な感じがあっていいよね。すでに怖い。

 台湾の映画。田舎のデカくて不気味な家でなんかヤベーことが起こるってワクワクするよね。予告編を見て良さそうだったので、まあ、見ない選択肢はない。

あらすじ

 初七日の夜、死者の魂は家に返ってくる--。優しかった祖父を最後に見送るため、疎遠にしていた実家に戻ったチュンファとその娘のチンシェン。年月が経っても冷たく無礼な父、嫌味の耐えない姉、おどおどした義兄、どこかよそよそしい母…。失望しきりのチュンファだが、叔父の助けもあり、気丈に初七日まで過ごそうと決意する。しかし、彼女の意思に反して、不気味な悪夢が彼女を襲うようになる。奇妙な物音にはじまる、英にハブコル怪異に慄くチュンファだが、ついにはチンシェンにも同じ症状が現れる。疲弊した彼女たちは想像を絶するさらなる恐怖に巻き込まれていく…。

公式より

 画像にするのやめて😭コピーできない。

感想

 話は良かったと思う。途中までなぜ幽霊が出てくるのか、幽霊に襲われるのか、意味不明だったんだけど、最終的には一応説明が付く形に収まっている。舞台の家も不気味な感じが良かった。だけどなあ、うーーーーん、正直、ジャンプスケア(ビックリ演出)が多すぎるよね。

ジャンプスケア多すぎ問題

 とにかくこれにムカついた。ビックリ演出がアクセントに使われるぐらいなら許容できるんだけどさ、もうそれ一辺倒になってるんだよね。何かあると、すぐ不安になる音(不協和音とかジョーズのアレみたいな音)が流れるんだよ。それが徐々に大きくなって、大きくなって、緊張がピークになったところで、なにか出る! かと思いきや何も起こらない。タイミングを一回外して、気が抜けたところで、ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!! バカでかい音とともに何かが出てくる。もうずっとこれ。こればっかり。

 ジャンプスケアばっかりだから、ずっと音がデカすぎるんだよ!!!! うるさくて仕方がない。こっちは怖がってるわけじゃない。ビックリしてるんだよ!!!!! 最後の方なんてもう驚きもしないよ!!!

 ここまでジャンプスケアを多用されると馬鹿にされてるような気分にすらさせられる。お前らはこれをやってれば怖がるんだろ? 喜ぶんだろ? みたいな感じで。

 別にボクもホラーの演出に詳しいわけじゃないけどさ、静かなシーンで怖がらせることだってできるじゃん。無音の中、画面の中にゆっくり幽霊が現れて徐々に近づいてくるとか。静と動のメリハリがないというか。別に幽霊が出なくても、何か出そうっていう雰囲気をもっとうまく使えたんじゃないかな。怖いのって幽霊だけじゃないからね。

 ことあるごとに爆音流すのは観客を信頼してなさすぎ。ここで怖がってくださいねって感じで爆音流すのは馬鹿にしてるんじゃないかと思えてくる。

コンビニでの恐怖シーンいらない問題

 この映画って田舎の実家に帰って恐怖に襲われるって話なんだよね。もちろんオチがわかれば、主人公の母娘が住んでいる台北でも幽霊に襲われる理由はわかるんだけどさ、別に最初のコンビニでの恐怖シーンってストーリーに関係ないんだよね。なくても問題ない。だって、主人公のママは祖父が死んだって言えば間違いなく実家に帰るんだから。台北で幽霊に襲われるっていうのはほぼ意味がない。

 じゃあ、なんでストーリ上必須ではないような恐怖シーンがあるのか。たぶん、作り手の人たちが、映画の開始からガツンと観客をビビらせてやろうぜっていう志の高さからきている思う。だけど、正直、恐怖シーンは田舎に帰ったあとでいいんじゃないかと思う。台北では恐怖シーンはなく、田舎に帰ると色々起こり始めるって方がメリハリが出る気がするな。


文句言ってばっかりだからいいとこさがし

子役の子が可愛い😊

 娘役の子役の子が可愛かったね。素朴な感じがよかったね。しかも病弱。ボクもオジだから、ああいう娘いたら自分の人生のすべてを使って守りたくなっちゃうよね。まあ、ボクの血を引いていたらあんなに可愛くならないけどね。

台湾の田舎

 文化の違いっていうのが見えるのがいい。都会だと国の違いってそこまで出にくいけど、田舎だとそういう部分が見えやすい。葬式っていうのは文化とか宗教の違いが大きく出ると思うから、見てるだけでも面白いよね。お葬式会場にしてるところの紙飾りとかなんか、宗教なのか地域なのかわからないけど、雰囲気あるよね。

ベッドの下に隠れるのは面白かった

 母娘が幽霊に襲われて逃げ回って、最終的にベッドの下に逃げ込むシーンがある。ホラーゲームによくあるんだよね。やたらと下が空いてるベッド。人間が隠れるために存在するような隙間。で、隠れた後にじっと我慢して追跡者がどっかいくのを待つシーン。なんかもうこれホラーゲームじゃん。ってツッコミを入れたくなる。

 もちろん、こう言う演出の始まりは映画からなのはわかってる。だけど、こういう演出がゲームで定番化するに従って映画で見なくなったから、逆にベッドの下に隠れるのは新鮮だったかな。

 ロッカーの中に隠れるシーンとかもあったら、多分笑ってたと思う。逆にそういうホラー好きに刺さるかもしれないね。

ストーリー

 要するにこれは家族の物語なんだよね。田舎のちょっとお金持ちな家族というか、一族の愛憎劇と表現できるかな。それ自体はよくあるような話だけど、物語なんてそんなものだから、見せ方が良ければ問題ないと思う。

 そして、この映画は都会に住んでる生活が苦しいシングルマザーの視点から入るのはいいよね。この人に何があってこんな生活をしてるんだろう、って興味を引くから。娘ちゃんが病気でヤバいってのも守ってあげたい感が出ていいよね。(オチで病気の設定に意味を持たせてるのはよかった)

 久しぶりに田舎に帰るという設定自体が異空間に入っていく感じなんだよね。田舎の家族にものすごい邪険にされて、この家族に何があったのかっていつのも気になる。明らかに家族が何かを隠してる様子なのも気になる。家の中の不気味さもいい味出してる。

 ただ、あの家族も本当のことを言えなかったにしても、もうちょっと親娘に対するやり方はあるように思えた。自分達が助かる方法もあったんじゃないかなという気もした。ストーリーのために犠牲にされてる感はあるのかな。

 叔父さんが「身内なんだからおじいちゃんが悪いことするはずない」って言ってたのが、見事な伏線になってたよね。おじいちゃんが全部持っていくんかい! っていう。

 悪役が明らかになると、意味不明だった謎もだいたいは説明できるようになって、「ああ、そういうことか」って納得できるのはよかった。ただ、明確な悪役が存在するから、ホラー特有の理不尽さというのはないんだよね。その部分は賛否がありそうだけど、いいストーリーだったと思うよ。

おわりに

 ジャンプスケアが好きでビックリしたい人にはおすすめ。配信で見ると音量を調整できちゃうから、映画館で強制爆音だとさらにビックリできるのでおすすめ。あとは台湾文化に興味がある人も楽しめるかな。

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,640件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?