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マリオメーカーが秀逸過ぎた件



「葵ちゃん! マリオやろうよ!」

 姉の家にお泊まりさせてもらったとある日、当時6歳の次男がそう言ってきた。

 私のマリオワールドなんて、一番最初のクリボーに特攻して死ぬか、その先のパタパタを避けきれなくて穴に落ちて死ぬかの2択しかない。

 アクションゲームがとにかく苦手で、コントローラを持つと勝手に体がジェットコースターに乗っているように揺れる。
 はたから見ると、こいつ何やってるんだ?と思われるだろう。しかも、微妙に男らしい「よ!」「ほっ」「はっ!」と掛け声が入る。

「アクションは苦手だから、できないよ?」

「違うよ、これね、ボクが作ったマップ! やってみて」

 それはマリオワールドではなく、どうやらマリオメーカーという自分でマリオをプレイさせるマップを作るゲームだった。
 本当に任天堂は凄い会社だ。こういう子供の脳みそと発想力を刺激するのは成長に良い。
 勿論、マリオメーカーはひとつ。姉の息子は3人。まあ想定通りの奪い合いが始まる。

 幸い、三男はマリオではなく(当時)妖怪ウォッチにハマっていたので、別のDSを抱えてソファーに転がっていた。
 私は正座待機して次男の作るマップを眺める。

 やけに配置しているコイン多いな。
 下、溶岩か。こりゃあアクション要素高くないか?
 動く床とか厳しいな。この溶岩からあの蛇みたいなやつ出てきたら避ける自信ないぞ。

 マップの作り込みは凝っていたが、肝心のゴールが見えない。

「りうくん、これゴールは?」

「あ! 忘れてた。このあたりでいいか」



 そんな簡単な場所に突然ぽっとゴール作っていいのかい!



 コインの乱れ打ちの後に、突然旗とコーンが出現。しかし床はない。これ、マリオジャンプでも届かないじゃん?

「このコイン、沢山あるけど何か意味あるの?」

「そらくんがお手本してくれるよ!」

 お兄ちゃんの名前を呼んでそらくんがワクワクしながらコントローラーを握る。

 勿論、下は溶岩だが別に何かトラップがある訳でもなく、まるでボーナスステージのようにコインがやたら多く配置されているだけだ。
 しかし、最後のコインを取ろうとした瞬間、マリオは強制的に溶岩に落ちた。

 そのからくりが私にはさっぱり分からなかった。
 欲望に身を任せてコインをただ永遠に取り続けていると、どうやら最後の動く床のトラップで溶岩に落ちるらしい。

 6歳の少年が作るにはなかなか秀逸だと思う。まさか、この歳で人間の金に対する欲望を試すのか!!

 コインが1アップする枚数取ると、強制的に死亡するというトラップなのだ。つまり、コインを取りすぎずにクリアしろと言うらしい。

「なんでこれ、取りすぎるとマリオ死んじゃうの?」

「だって、マリオは毒キノコ食べるじゃん!」

 いや、あれは多分毒じゃないと思う……。

 描写として、マリオはキノコを食べて大きくなったり、1アップのキノコも確かにある。昔のマリオは毒キノコって設定もあった気はするが、この子らの世代であったかは分からない。

「ここのコイン取ると〜お金にがめついから〜死んじゃうんだよぉ〜」

 2人の兄弟は楽しそうに笑っていた。
 この年で「金にがめつい」と言うところ、もうこれは将来有望だ。
 結局、次男のマップはクリア出来ない設定だった。お金にがめつい、までは良かったが肝心のゴールが遠い。

 次に一歳年上の兄がマップを作る。
 どんなものを作るのかと思いきや、彼はひたすら扉を配置し、階段を屈指した。要するに迷路だ。
 当たりの扉を引くまで無限ループ。こ、これは正統派の記憶力テストみたいだが面倒くさい。
 そして彼の作るマップにはトラップがやたら多い。
 下にトゲトゲが全て配置されており、これは「でっでいう(ヨッシー)」がないと抜けられないだろう。

 兄弟で作るものに違いがここまで出る事が何とも面白い。

 “マップを作る“というのも脳トレーニングの一貫なので、マインクラフトと共に子供の教育題材として是非とも勧めていきたい。

 私の時代にもマインクラフトがあったらもっともっと独創性が豊かになっていただろうな……。

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