「俺の話は長い」(好きなドラマ)

※私のことじゃないです。

確かに私は話が長いんですけど、このドラマの主人公ほどじゃない。こんな話が長くて、強引で、無茶苦茶で、それでいて畳み掛けてくるすさまじいイケメン(生田斗真)を私は見たことがない。

私が生田斗真さんを知ったのは、お恥ずかしながらこのドラマが初めてでした。顔は見覚えがあったけど、軽そうな(失礼だな)方だなー位にしか思ってなかったのです。

でも、2019年、10月から12月の間にかけて放送されたこのドラマに私は夢中になった。

終了直後に世界がコロナに見舞われました。

「ああ、あんなドラマ、もう見れないかもしれないな」って、録画から削除したのを今でもちょっぴり後悔しています。

だって、あんなに皆が一つ屋根の下で集まって、一つのテーブルを囲んで、時にすき焼き議論に白熱し、時にカニの奪い合いをして、喧嘩しながらひたすらしゃべる面白いドラマ。

どこか温かくて懐かしいのに、今っぽい「30越えイキリニート養う、どこにでもいそうな家族の」ドラマ。

もう二度と見れないかもな。良かったなぁ、最後イキリ倒して議員秘書に就職しようとした主人公の続き、また観たいなぁって、なぜか河川敷を通るたびに何度も思い出します。

結局、第38回向田邦子賞を受賞されてるのが、個人的なさらなるツボでした。観てる時からガッツリ、あーたまらなく向田邦子してると思ってました。

小池栄子は生田斗真にキレまくり捲し立てるバリキャリお姉さん(一児の母)だし。

原田美枝子はおっとり朗らか、料理上手、近所のおじさんのマドンナ的存在のお母さんで、ちょっと魔性な感じもするし。

いいとこあるのかないのかわからない、中々サラリーマンが勤まらなくて、終盤生田斗真とおんなじ、冴えないグレーのジャージ上下になる安田顕さん…。この人シェイクスピアで迫真の演技してませんでしたっけ?段ボールのせまい隙間で丸くなって寝てる姿、楽しそうにニートの歌を歌ってはしゃぐ姿。忘らいでか。

そして、JK清原果耶ちゃんの、かわいさ…。ママに反抗期、義父安田顕にはもっと反抗期、おじさんの生田斗真はニートではひねくれた事ばっかり言うし、恋は上手く行かなくて、友達に裏切られたりして涙して。でも、家族皆からことあるごとに心配されて、皆が清原ちゃんの一挙一動におろおろして、愛されてる姿が愛おしい。


小池栄子さんちが家を建て替えるから、たまたま皆が一つ屋根の下に集まる、そんな一時の賑やかな団らんがなんとなく続いて、少しずつ皆が変わっていく、でも変わらない懐かしさもある、そう言う、人情味あるドラマでした。

「ニートなんて!」とか、「ニートは社会問題」とか、現実の世間の風はニートに冷たく感じるものだと思ってた私に、すっとぼけた面で一生懸命何がなんでもニートしてる生田斗真さんに、見るたびになぜだか愛着が湧いてしまい…。

最後は、かつての失敗への恐怖を乗り越えようとてくてく橋を歩いて渡ってって、ちょうどマラソンランナーを応援してた皆がそれを見かけて「おっ、やる気になったのか」って笑顔になり、マラソンランナー応援するふりして、「がんばれー!」って叫ぶんですね。

生田斗真くんの、「働かなきゃな」「でも…イヤだ!」と言う中々難しい、人情味溢れる背中で語る演技に、小池栄子のキレッキレ昭和みしかない啖呵切りまくりの演技に、ママに惚れてる西村まさ彦の不器用おじさんの演技に…。みんなのあったかさに、珍しく繰り返し繰り返し、見直して楽しめたドラマでした。


私はすきやきは、お豆腐と白滝派です。

また、あんな名作ドラマが当たり前みたいに撮影できる日を私は楽しみに待ってます。



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