たまにはイギリスのいい点を語ってみる (フェアトレード/ノブレス・オブリージュとは)
いつもヨーロッパ、特にイギリスの不満ばかり投稿していますが、当たり前ですが、実は全てがそうではないんだということも今回少し徒然なるままに語っていきます。
歴史があるとか文化的な観点とかは散々語り尽くされていると思うのでこちらでは少し、思想的な観点からまとめてます。
いきなりですが、「フェアトレード」という用語について意識したことはありますでしょうか。
自分自身恥ずかしながらイギリスに来るまでは、目にしたことはあったもののしらべたことも意識したこともまったくありませんでした。
フェアトレード
フェアトレードは、言葉通り「公正な貿易」のことですが、特に、コーヒーやカカオ、バナナなどの生産地として有名な発展途上国の生産者たちが、適正な価格で商品を売ることができるようにする仕組みです。
物品の取引経験がないとなかなか気づけない事実ではありますが、実は普段飲んでいるコーヒーやチョコレートは、劣悪な労働条件で作られていることが少なくありません。
フェアトレードは、そのような状況を改善し、生産者が持続可能な生活を送れるよう支援するためのものです。
劣悪な労働条件と書きましたが、端的にいうと、発展途上国との取引において重労働に対して非常に安くの売買がなされているいう背景が隠れています。
たとえば、一般的なコーヒーショップで1杯コーヒーを買ったとすると、
コーヒー農家というのが発展途上国で働く方々になるわけですが、社会的な背景から、安くで良いから買ってくれ、と発展途上国側が提示して、先進国側はその弱みに付けて安い値段で購入する、という流れが成り立っています。
Uber eatsなどもシステムは少し似ており、richがpoorを搾取している代表です。安いにはそれなりに隠れた事情があります。
当然これはフェアな貿易ではないことは歴然であり、労働に対しての対価は平等に支払われるべきだ、というのが今回のフェアトレードです。
これを導入したコーヒーはどうなるかというと、
上記の通り、生産者のコストとその分の税金があがるので、少しばかり全体の値段が上がります。しかし、これが本来ものに対してかかる値段であり、非常に安い商品は、生産者を搾取した結果である可能性が高いとも言えます。
フェアトレードプレミアムというのはイメージとしては寄付みたいなものです。
ここでの事実として、
フェアトレードという概念はイギリスがもっとも進んでおり、80%ほどの周知率、一方日本は約30%程度と非常に遅れていると言われています。
このような消費行動は、世界的にも社会的公正への貢献として高く評価されるわけですが、一方で、フェアトレード製品が一般的な商品よりも高価であるので、かならずしも全国民が手を出せる物でもありません。
経済的に余裕のある層は、フェアトレード商品を購入することで社会的責任を果たすことができますが、貧困層にとっては、そもそもフェアトレード商品を購入すること自体が難しいこともあります。
ご存じの通り、イギリスは今もなお階級社会が色濃く残る国であり、上流階級や中産階級と労働者階級との間には大きな賃金格差があります。
それゆえに、特権を持つ者が社会的責任を果たすべきだという「ノブレス・オブリージュ」の考え方が強く存在しています。
ノブレス・オブリージュ
アニメ「東のエデン」をみたときに初めて知ったもので、個人的に好きな言葉ランキングトップ3に入ります。
「ノブレス・オブリージュ 今後も救世主たらんことを」
ノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)はフランス語で「貴族の義務」を意味する言葉で、特権を持つ者にはそれに伴う社会的な責任があるという考え方です。
医師として働いていると、いろいろと不平不満、批判、妬みを受けることもありますが、特権に伴う社会的責任や倫理的義務の点からノブレス・オブリージュを意識した生活をすることが求められています。
本来は、歴史的に上流階級や貴族が特権や富を享受する一方で、その地位にふさわしい振る舞いや行動をする義務を負っていることを示すためのことばです。
具体的には、富や地位を持つ者が社会全体の福祉に貢献し、弱者を助け、公共の利益を守るべきだという倫理的な責任が強調されます。
話をすこし戻すと、
フェアトレード商品が広く普及している一方で、経済的な階級が消費行動に直接影響を与えているという矛盾が残ります。
すなわち、社会的公正を重んじる一方で、階級社会という伝統的な構造が残るイギリスの矛盾した現実を反映しています。
しかしこの格差というのがあるからこそフェアトレードを強く意識するきっかけになっているのかなと個人的に思っています。
日本を例に考えてみます。
日本では、フェアトレードはまだそれほど普及しておらず、フェアトレード商品が販売されている店舗も限られています。これは、消費者の意識や教育の違いはもちろんですが、日本社会における消費の価値観が影響しているようです。
特に、日本は世界的にも貧富の差が少ない国であり、寄付の文化が根付いていないことはよく知られています。すなわち、「社会的公正」や「倫理的消費」という概念が、まだ広く浸透していない、する必要性が低いわけです。
これがおそらくフェアトレードの普及を妨げる要因となっている可能性があるのかなと。
日本人それぞれが先進国で恵まれた生活をしていることを自覚し、世界の貧困や不平等を減らす取り組みに参加しようとする意識が高まれば、フェアトレード商品への関心も増える可能性があります。
しかしながら、やはりこれは貧富の格差が目に見えてはっきりすることで意識ができる概念でもあり、みな平等に似たような生活を小さな島国で送っている日本人にとってどれほど普及していくのかというのは未知数である気がします。
いざまとめてみるとイギリスの良いところをあげようとした一方で、悪いことも書いていたかもしれません笑。
ここで言いたいのは、貴族や上流階級の方を単に妬む存在として考えるのではなく、多くがノブレスオブリージュを意識した人が多く、フェアトレードに貢献している人なども多くいる、
そしてそういう人によって世界の貧困は少しずつ改善に向かっている、ということも知る必要があるなと思いました。
日本の個人ではなかなか意識することは難しいですが、世界的な広い視点から言えば相当裕福な生活を送っていることは事実であり、自分も帰国後は少し社会貢献というのに手を出してみようかなと思うきっかけとなりました。
ちなみに下記のマークがある製品がフェアトレード認証製品です。
見かけた際は一度購入してみてはいかがでしょうか。
下記は朝食用にいつも買っているSainsburyのバナナですが、下記のとおりマークがついています。
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