11月に読んだ本
気がつけば12月になっていて、今日から年末に向けてのカウントダウンが密かに始まってしまうことにどことなく焦りを感じている。悔いなく生きたいと思いながらも、先月は体調を崩し何もかもがなし崩しで、砂のようになっていた。
それでも読んでいた本が数冊あったので、私にとって読むことは必要なのだけれど、どうしても読めない時ももちろんあって、読書に慰められるにも読むための気力と時間が必要だし、読書による情緒の変化も受け入れることができないとなるとしんどいだけなので、自分に余裕がないとできないことでもある。先月はそれが顕著だった。
私の体が、精神がどう言う風になろうとも、面白い本たちは変わらず面白く、素敵な本はいくらでもあるという安心感もまた、改めて感じた1ヶ月でもあった。
と言うことで読んだ本。漫画もある。
・定型外郵便 堀江敏幸
・新版いっぱしの女 氷室冴子
・旧・新約聖書を知っていますか 阿刀田高
・カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ サリー・ルーニー
・短歌の友人 穂村弘
・寺山修司詩集 寺山修司
・心がめあて 鈴木晴香
・夜を乗り越える 又吉直樹
・もものかんづめ さくらももこ
・ペンギンの憂鬱 アンドレイ・クルコフ
・ONE PIECE 83〜89、96、99、100(バラバラなのは集まっていないから)
・雨はコーラがのめない 江國香織
合計22冊。でも漫画が入っているし、そのほかにも、友達から借りて読んだのもあるのでそれらを含めるとキリがない。自分の中で読んだ〜!!ってなるものだけ毎月ここに記録している。ノートにはまとめてあるけれど、流し読みすることもよくあって、文字を欲している時は冊数なんて関係なく満足するまで読み続けるのだけれど、毎月これくらいは読みたいな、とか、あれこれは読みたいな、などと目標を立てておくと必ず達成できないので考えないようにしている。思いつくままに読んでいる。
11月に読んだ本を振り返ってみると、体調を崩したせいもあって中旬からは軽いものばかり読むようになっていた。
とはいえサリー・ルーニーの『カンバセーションズ〜』は本当面白かった。若い女性と年上の既婚男性との不倫物語やんけ、と言って仕舞えば簡単なのだけど、フランシスの内面描写がなんとも痛々しいというか、思いが止まらなくなっちゃってずぶずぶと彼にはまっていってしまうところとか、でもどこか異国的な恋愛事情を知れたような気もするし、あたらしい世界そのものであった。既婚男性の妻、メリッサの性格もなんとも難儀で、みんな品性や知性は持ち合わせているのに、なぜ不倫を止めないしやめない方針になってしまうのだろうね。そういう問題じゃないのか。ボビーとフランシスで良いと思うのよ私は。でも、フランシスは止まらないんだろうね…。なかなか考えさせられるものでした。
そして、堀江敏幸さんの『定型外郵便』の静かさよ。『私的読食録』と、小川洋子さんとの共著『あとは切手を、一枚貼るだけ』から、堀江さんの作品に興味が湧いてきていたのだけど、優しさの中にも鋭さもあって、だんだん堀江さんの書くものに自分が馴染んできつつあるな、という感じ。もっと色々読みたい。そうして、自分の好きなものを好きなだけこよなく愛していくことのありふれた幸せこそ一番大切にしなくてはならないな、と思ったのだった。数字とか、最新かどうかとか、そういうのに捉われないで、好きなものを好きなように、表現しながらとことん愛したい。
江國香織さんのエッセイを何冊か読んだけれど、どの作品も豊かな読書を楽しむことができるので好きだ。もし江國さんのような性格の人が私の近くにいたら、仲良くできただろうかなあ、楽しく会話ができただろうか、なんて考える。いや、話せるだろうけれど、深く仲良くなることは難しいのかな、と思った。正直さを感じるのにやっぱりどこかミステリアスな雰囲気と、掴みどころがないところに憧れるのだけれど、私には絶対なれないキャラクターだと思うからこそ、遠巻きに存在だけを確認しているだけで終わりそうだな、なんて。
最近エッセイの面白さに気づいたので、そろそろいろんな作家さんのエッセイにも手を伸ばしていってみたいところ。
もう冬だ。秋は終わった。雪は降ってくれるだろうか。
気がつけば空の色も冬だ。曖昧な色彩、寒色が強め。ブラックポイントはマイナス。景色は止まっているように感じるのに、私たちは年末に向けてせかせかと動いている。
穏やかに読書ができればいい。
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