見出し画像

春になったら思い出す春 (ナナロク社『第二回 あたらしい歌集選考会』応募作 )


 100首ってめちゃくちゃ多い、って思っていたのに、作ってみれば実は多いんじゃなくて、ただ私が日常の中に短歌を身近に感じていなかったからだと思った。
というのを今更気づいたのだけど、短歌や小説が我が身から出る言葉のすべてでできるということは、私のその時その時の全身全霊から湧き出ているということで、それはきっと誰かへ宛てた恋文よりも濃くて深くて、素直なものだと思うからこそ、もっともっと、自己への追及が必要だったように思う。

 とはいえ第二回へ応募できたことを本当に嬉しく思うし、頑張った自分もいたから、よかった。受賞されたお二人の作品は本当に素敵で、ああ、光っている、ちゃんと光っているなあと思ったのです。

 誰かに光を感じさせられるような短歌を作れるようになりたいと切実に思いました。それでも嘘偽りなくあの頃の自分が作った作品であり、今の私が読むと『もっと上手く作れたよなあ』とも思うのですが、それも全部実力のうち。

 それでも100首、歌えてよかったなって思います。そしてこれからはもっと自由になるぞ、という気持ちです。


 供養……ではなく、アルバムのページを捲るような感覚で、今回の作品を残そうと思います。流れ着いた誰かの目に留まって、春を、桜を、めぐりゆく季節を、そこに私がいてあなたもいたことに、気づいてもらえたら幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?