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Florence/be warmed alone

Florence/be warmed alone

フィレンツェには6日間くらい滞在したと思う。幸いにもステイ期間に知り合った各国の同年代の友人と、色々な場所に出かけたものの、一人でじっくり過ごしたい私には息苦しくなってしまう時があった。

出会いがあったからこそ知れた、行けた場所があったもの、精神状態も相まって最終日に誰にも知られないように宿を退去し、追加でドゥオモ広場の近くのドミトリーを予約、引っ越しをした。

最終日、ドゥオモを見るために隣の

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Florence /David

Florence /David

フィレンツェの石畳の上を歩く。ひたすらに歩くだけで嬉しかった。なりゆきに任せてどこか見つけたら行こうと思った。

一度歩いたことのある道はかなりはっきりと覚えていた。以前訪れた際も一人だったからだろうか、迷った道を記憶しているのに近い気がする。途中で通ったことのない路地を進むと、David、 Galleria という文字を頻繁に見かけるようになる。

あぁ、きっとデイヴィッドのギャラリーがあるんだ

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Florence /Stationery Shop

Florence /Stationery Shop

市場を出てからドゥオモを目指す。今日は登らないが、こちらもそこにあることを確かめたかった。途中で可愛らしいディスプレイのあるショーウィンドウを見つけ、立ち止まる。ペーパークラフトの、ストライプ柄の気球が飾ってあった。ステーショナリーショップだ。ここ、一年前にも通ったな。

フィレンツェではぜひ文房具を買いたかった。ベッドの中で眺めていた旅番組のワンシーンで、伝統的なマーブリングの工芸品が紹介されて

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Florence /Walk again

ローマで目覚めた朝は素晴らしかった。昨夜はもう暗くなっていたので、朝が来て窓から見た景色が一年ぶりの再会となった。そこからは背中合わせの建物しか見えなかったが、美しかった。何もかも忘れて、5分ほど息を吸い続けた。

一晩だけお世話になった宿を出て、テルミニ駅へと向かう。「もうここへは戻ってこないのだ。ここは始まりだから」そう思う寂しさが原動力へもなり得る。

私をフィレンツェへ連れて行く特急列車が

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Roma /Rainy night

Roma /Rainy night

上海で乗り継いだ飛行機はローマの夕方へ到着した。全部で14時間ほど乗っていただろうか。機内で血の気が引くほどの腹痛に襲われ、お客様の中にお医者様はいないのかと、聞くこともできずただ考えていた。

一年と少しぶりのローマは全く変わっていなかった。ただあの夏とは違って、激しいスコールにより足場が悪くなっていた。長い旅行のために、靴はラバーのレインブーツを履いてきていた。しかし頼りない折り畳み傘しか持っ

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自分を連れて行く

ヨーロッパで過ごした日々について思い出すことが多いので、きちんと言葉でも残していこうと思う。どこまで書けるかわからないけども。

飛行機のチケットを取ったのは実家のベッドの上からだった。一日にパン1つと紅茶を飲むのが精一杯だった。母は毎日朝になると微糖のロイヤルミルクティーを用意してくれた。それまで呼吸を忘れるほどの忙しさで働いていた私は、生産性が無くなってしまった自分に後ろめたさを感じながらベッ

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