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曇ヶ原フジロック出演への躍進(後編) 2024.06.30新宿Wild Sideライブレポ


なんと、フジロック開催まであと10日である!早いものだ。
X(旧:Twitter)でもたびたびフジロックのキーワードはトレンドに上がり、世間は盛り上がりを見せている。7月26日の苗場食堂ステージ19時半から出演する曇ヶ原も、7/14には6時間のリハを終え、準備も気合も万端のようだ。

6月30日に新宿Wild Sideにて行われたAUTO-MOD主催ライブ「時の葬列覚醒のレゾナンス 第四夜」ではトリを務めた。4月の高円寺単独ライブからわずか2か月少しの間に更なる飛躍を遂げ、長年の曇ヶ原ファンも、この日初めて彼らを知った観客も、あっとう間に心を掴まれる歴史的な名演だった。フジロックという大舞台に挑むための実力を確実に備えている期待と安心感が、そこにはあった。


2024.06.30 at 新宿Wild Side

Setlist
☆音源未収録曲

(入場SE) 県道334号

  1. 歪む地平線 ☆

  2. ベンタブラック ☆

  3. くじらの歌は聴こえない

  4. 河津桜

  5. (アンコール)Epitaph ( King Crimson cover ) ゲストVo:GENET (from AUTO-MOD) ☆


恒例の県道334号が流れると、スクリーンにはなんと「くじらの歌は聴こえない」のPVを編集した映像が映し出された!海辺に打ち出されるメロトロン、白いポスト、そしてさびれた港を歩くメンバーの姿はまさに曇ヶ原のイメージを紹介するPVとして効果的かも知れない。
そしてスクリーンが上がり、初めに演奏された1曲目は、4月の単独公演で初演を迎えたばかりのa_kiraさん作曲・「歪む地平線」!曇ヶ原最高難易度とも言われるこのインスト楽曲は、単独公演の予約特典としてCD-Rで配布された頃からファンの間で話題になっており、演奏力の高いメンバーが揃っている今だからこそ映えるテクニカルな楽曲である。特にベースも非常に難易度が高いパートであり、演奏技術に申し分ない西平さんが演奏することにより、この曲が完成に近づいた気がする。また、ベースを選任に任せることでショウタさんに降り番ができるというメリットがあることにも気づいた。
そして、4人のメンバーが数分演奏したのちにショウタさんが登場し、ステージに立って両手を広げると、会場から拍手が沸き起こり、銅鑼をかき鳴らして演奏パートに加わる。他メンバーよりも遅れての登場は、スター性があっていい。

続く楽曲は、ヴァイオラさんがアレンジした楽曲である「ベンタブラック」!2曲連続で、できたばかりの新曲を4月単独公演以来披露するという流れはアツい!さらに、ショウタさんはアコースティックギターで加わることにより、先日の単独公演で聴いたのとはまた違った魅力がある。音響PAも素晴らしく、他パートがいつもの通りの音量で鳴っていてもアコギが埋もれることなくきちんと分離して聞こえ、よりプログレッシブ・ハード・フォークという名称らしい音になった。また、ベースパートを分離して余裕が出てきたからかショウタさんの歌声もよく通っており、よりベンダブラックという楽曲の輪郭が明確になったように思う。ヴァイオラさんの技巧が光るギターソロでは自然と観客から歓声が上がる。個人的意見だがこの曲はプログレメタル好きにも通ずるものがあると思っていたが、実際ヴァイオラさんはDream TheaterのJohn PetrucchiやSteve Vaiなど、90年代のギタリストからも影響を受けているようである。

「3番豊島区代表曇ヶ原です、よろしくお願いします」とショウタさんがMCを行う。この独特のバンド紹介は、やはりNHKののど自慢も意識しているようだ(もう一つ、昔のフォーク番組からも由来が来ているようだが失念してしまった。判明次第補足します)。なぜかこの日だけ販売されていた、ショウタさんのチェキ(販売価格:時価)の存在も少し恥ずかしそうに紹介される。これが売れたかどうかは、確認できていない・・・。

怒涛の技巧曲が2曲続いて演奏されたが、やはり曇ヶ原の重要な持ち味は演奏面での技術の高さだけではなく、彼らの掲げるプログレッシブ・ハード・フォークの「フォーク」の要素である。「くじらの歌は聴こえない」は、静と動、そしてフォークロックの哀愁ただよう儚いメロディと内面の感情が爆発するかのようなインストパートとの対比が美しい、個人的に曇ヶ原の中でも最も好きな楽曲の一つだ。4月のワンマンライブではバンドロゴのバックドロップに寒色系の照明が当てられて海底を表現していたのが印象的だったが、Wild Sideはバックスクリーンでバンドロゴが象徴的に光ったりするのがこれも曲に合っていて良い。(のちにa_kiraさん本人にXでのスペース配信内で確認してみたが、Wild Side側が作成してくれた演出のようである。)
そして、ショウタさんがアコギのアルペジオを弾きながら、西平さんがベースソロを奏でる。ショウタさんの儚さ溢れるベースラインも魅力的だったが、やはり西平さんの歌うようなベースソロは絶品で、楽曲により生命力が増した。そして、a_kiraさんのキーボードソロから怒涛のインストパートへ。あれ、気持ちテンポが速い・・・?と思いつつも、そのままのテンションで引っ張っていくムJAPANさんのドラムと、白熱する変拍子インストパートはもう最高すぎる出来ではないだろうか。これぞ、この熱量と勢いこそ曇ヶ原よ!高い技術を持ちながらも機械的になることはなくどこまでも血肉の通った演奏ができるのは、ライブでクリックを使っていないのも一つの要因かも知れない。

ここでショウタさんによるMCが入る。次回のライブが7月26日のフジロックというのはやはりかっこよすぎる。ここでも昨日に引き続き、他メンバーはバックでPink FloydのEchoesを演奏しており、70年代のプログレファンの心も掴むニクい演出だ。「昨日は3曲しかやらなかったのですが今日は時間を多めにいただいたので4曲演奏します」と紹介していたが、西日本の人間として「4曲だけなんかーい」とか突っ込めば良かった。

そして、最高潮の盛り上がりの中、ラストで演奏されたのはこれも静と動のコントラストが素晴らしい代表曲・「河津桜」。ベースパートのリフから始まる象徴的なインストパートは、西平さんがステージ前方へ出てきて、音だけでなく視覚的にも躍動感を持たせて、舞台上に華を添える。西平さんはよく動いて演奏するせいで、美しく長い髪を結っていたのが演奏中に解けてしまうのが、とても、とても、かっこいい。これは女性ファンも増えそうだ。そして、リズム隊が強力になった相乗効果からかムJAPANさんのシンバルさばきはアツく、ショウタさんと西平さんが背中合わせに演奏するパフォーマンスも観ることができた。
鳴りやまぬ大喝采の中、アンコールが演奏される。AUTO-MODのGENETさんは事前にX(旧:Twitter)にてKing Crimsonのカバーを行うような投稿を匂わせていたが、まさかのEpitaphとは思わず、感動!
そういえば、曇ヶ原は「蛍の光」のカバー曲もサブスクにて配信しているが(リンク集参照)、あれがまんまEpitaphだったので、満を持して聴けたオリジナル曲、という感じでもある。目を閉じてみれば、本家King Crimsonのトリプルドラム期で初めてEpitaphをライブを聴いたときの、あの感動がよみがえる・・・ 。GENETさんはジャッコともレイクとも節回しを似せずに歌っていたが、だからこそこの楽曲の持つ哀愁がより的確に表現されたと思う。a_kiraさんの音作りはメロトロンの洪水も含めて本物すぎる音作りで完璧だが、ただの原曲コピーでは済まさないのが曇ヶ原。オルガン音色が加わり、だんだんと曇ヶ原のような熱量を帯びていき・・・とここで、なんとa_kiraさんがキーボードを取り外してステージ上手へやってきてキーボードソロをショルキーのように繰り広げる!負けじとヴァイオラさんも舞台下手でギターを背面で弾いたりと、花形パートのソロバトルが繰り広げられる!その間にもGENETさんとショウタさんは1本のマイクをシェアしながら歌っており、どのパートも目が離せない。最後はa_kiraさんが銅鑼を叩いてステージは幕を閉じた。

終演後、私の周りのあちこちから「いやー、すごかった!」という声が沸き起こった。フジロックに行けない人も、新体制の曇ヶ原のさらなる進化を十二分に感じられる、歴史的な名演だった。

今年のフジロックはAmazonにより生中継配信されることが話題になったが、残念ながら苗場食堂ステージは配信対象外のようである。だが、全体的にお洒落でダンサンブルな音楽性のラインナップが多いフジロック、観客はたまには土着的なロックが聴きたくなるのではないだろうか。そういった意味でも、曇ヶ原は異色バンドとして注目を浴びるのではないかと期待しているのだ。こんなにも天井知らずに進化を続ける凄いバンド、どうにかマスコミのニュースなどでちらっと写ったりなんかして知られてほしい。なのでたとえ作曲経験もバンド楽器演奏経験のない素人にわかファンの私でも、著名音楽批評家の目に留まって大絶賛されるまで、しつこく発信し続けるぞ。

いざ、苗場へ!

今後のライブ予定

  • 2024.09.14 不思議ロックフェスティバル Vol.3
    秋葉原Club Goodman
    https://club.goodman2020.com/events/19999


リンク集

  • 曇ヶ原公式X(旧Twitter)

https://twitter.com/kumorigahara

  • 蛍の光カバー

  • 曇ヶ原公式Youtubeチャンネル

くじらの歌はきこえない

河津桜


  • 公式HP


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