セラムン二次創作小説『バレンタイン&ホワイトデーSS(アル美奈)』


『裏切りのバレンタイン(アル美奈)』



「はいアルテミス、毎年恒例のバレンタインチョコよ」

「今年もくれるのか?ありがとう」

「あったり前じゃない!相棒だし、感謝の印よ♪まぁ義理だけどね?」

「…だろうね。本命がいるのに気を使わせて悪いね」

「全然、あっちはチョコ嫌いだから」

「開けて良い?」

「どうぞ、今年は手作りよ?」


出会ってから美奈はバレンタインデーはずっと戦いで満喫出来ずにいたけど、やっと本命が出来て文字通り愛の女神として輝かしい日々を送っていた。

毎年恒例だからと今年も律儀にチョコをくれた事には感謝だけど、手作りと言う言葉に少し不安になる。

そう、彼女は極端に料理が不得意で作る物が尽く不味い。

覚悟を決めて貰ったチョコを早速1つ食べてみる事にした。


「うん、普通に美味い!奇跡だ!…って、ヴッゴホッゴホッ」


口に含んで舌で溶かして食べるとチョコの味のそれだった。

安心して噛んで食べると変な味がして来て盛大に噎せてしまった。


「やっだぁ~アルテミスったらいきなり大当たり引いちゃったの?大丈夫?」

「ゴホッ大当たりって何だよ?コレなんの味だよ?」

「カラシよ」

「はあ?何でカラシなんて入れたんだよ?ゴホッゴホッ」

「普通じゃつまらないでしょ?」

「あのなぁ、普通で良いんだよ!何で余計な事するかなぁ?お陰で変な味で下が痺れてる…」

「チョコで相殺されるかと思ったけど、カラシが勝っちゃったんだ?」

「当たり前だろ!なんでカラシなんだよ?」

「美奈子カラーだから♡」

「…そんな理由で入れないで欲しかったよ」

「ごめんごめん!他は入れてなくて美味しいから」


猫型の可愛いホワイトチョコ20個程入っていた中の一つがカラシだなんてまさか誰も予想だにしてなかっただろう。

僕の事を考えてくれていたのは嬉しかったし感謝していたのに、それを裏切るこの仕打ち…。

まさかのチョコでのロシアンルーレット。

可愛い猫型に似合わず辛辣な味にしばらくチョコ恐怖症になった。

やってくれるよな、美奈は…。

B型はどうしてこうも普通が嫌なのか理解に苦しむ。

美奈子カラーって何だよ?

何故普通のチョコが用意出来ないのか?

もっと相棒の僕を敬って労わって欲しいよ…。






おわり






アル美奈『おねだり』


「美奈、ホワイトデー何かくれ」

「はぁ?何でよ?バレンタインデーもあげたでしょ?ずーずーしーわよ、アルテミス!私に何かお返しすべきでしょ?」

「そうだけど、この間のチョコはロシアンルーレットになってて辛かったからチャラみたいなもんだろ?」

「だからって何でまた私があげなきゃいけない事になるわけ?」

「ほら、ホワイトデーって訳すと白い日、だろ?俺、白猫!…だろ?」

「だからホワイトデーも何か欲しい、と」

「そう、話が早い!って事で何かくれ!」

「無いわよ!ルナから貰いなさい」

「ケチだなぁ…普段ぞんざいに扱われてるんだからこういう時こそ何か欲しいよなぁ…」

そう、美奈子は普段アルテミスに冷たい。

それはアルテミスが喋る事にあり、いつも厳しく口煩い白猫に嫌気がさし、それが態度に出ていた。

それをアルテミスは常日頃不満に思いつつ耐えてきたが、本当はそれなりに扱って欲しいと思っていた。

それなのにこの態度だ。悲しくなる。

「ルナはルナ!美奈は美奈だ!」

「何それオヤジギャグ?つまんなーい!」

結局笑い飛ばされ、スルーされた。





おわり



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