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生きていくとは、変化していくということ【前編】

私は、「家と暮らし」相談アドバイザーという仕事を13年し、
たくさんのお客さんの姿を見てきました。

「50代からのリセット&リスタート」というテーマへの
大きな動機になったお客さんのひとりについて、
書いてみたいと思います。


120㎡のマンションにひとり暮らし


「家と暮らし」相談サービスは、このようなものでした。

状況をヒアリングし、
家をもし売るならいくらくらいになるのか、
その金額で買い換えるならどんなものが買えるのか。

ぼんやりした悩みの「材料」をそろえて、具体的な検討をしてもらいます。
リフォームや建替えなども同じような流れです。
実際に「売る」とか「リフォームする」となったら、
提携業者を紹介します。
お客さんは20代から90代まで。
不動産、建築、資金計画相続など、相談の範囲はかなり広いものでした。

ある日、60代半ばの白髪交じりの落ち着いた印象の男性が来店しました。

お客さんは、「家を売ろう」と決めているなら不動産屋へ行きます。
何かしら「引っ掛かるもの」があるから、
わざわざこのような「相談所」に来るのです。

「状況をお伺いしてもよろしいですか?」

奥様が数年前に病気で亡くなり、
二人の子供はそれぞれ独立して家庭を持ち、
今は一人暮らしだと言います。
息子さんの一人がとなり町に住み、
近くのマンションに越してはどうかと言っている、とのこと。

「ご自宅はマンションですか?戸建てですか?」

郊外の、大きなショッピングセンターのある人気の街。
その駅から「徒歩1分」のマンション
約120㎡
築53年

一般的なマンションは3LDKのファミリータイプで70㎡くらいです。
その倍近くもの広さがあるということです。


過去の遺産


「お一人でしたら、確かに広すぎますよね。
お掃除だって大変でしょうね。
息子さんのおっしゃるように近くに、
小さめのマンションに住み換えされた方が良いですよね。」

「いや、それがね。。ものが多すぎて、大変で。。」

「どんなものですか?」
「昔アメリカに長く赴任していて、
むこうで買った家具を船便で何か月もかけて持ち帰ったんですよ。
むこうの家具は大きくて重くてね。それがたくさんあるんです。
捨てるだけでも大変だなと思って。」

私は、広い部屋に大きな皮張りのソファや重厚なダイニングテーブル、
食器棚などが並ぶ光景を想像しました。

アメリカに長く住んでいた方は、アメリカは家が広く、
日本の家はとても狭く感じるといいます。
当時は、120㎡でも広いとは感じなかったのかもしれません。

120㎡という破格の広さ、
当時「はしり」だったニュータウンの駅1分のマンション。

男性には、買えるだけの経済力があったということですよね。
海外赴任もし、おそらく有能なビジネスマンだったに違いありません。

「そうですか。
でも、お一人暮らしには使い勝手が良くないですよね?」

「はい。おかげでなおさら掃除もできない状態で。」

マンションの住戸2つ分もの広さに、
動かすのも難しい大きな家具が並んでいたら、
掃除する気持ちも萎えてしまうかも知れません。
しかも住んでいるのは、ひとりです。

「それから、鳥を飼っていてね。
それもあって、、あまり綺麗じゃないんですよ。」

「いろいろと大変かと思いますが。
まだお客様はお若いですし、
今のうちに住みやすくしたほうが良いのではないでしょうか。
先延ばしするともっと大変になりますから、頑張りましょう。」

そういうと、
「そうですね」
男性は、力なく答えました。


お客様を案内できません


物件の売却をしようとするとき、まずは不動産会社で「査定」を出します。
「査定」とは、「いくらで売れそうか」の「予想価格」です。

私は、提携している不動産会社へ「査定」を依頼しました。
数日後、担当者から一本の電話が入りました。

「今日お客様宅へ訪問したのですが、一般売りは無理ですね。
(内見の)お客様をご案内出来ません。」

次回に続く

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