好きな男に10万使った

前略、好きな男に10万使った。
私もよくわからない。
人生の半分とちょっとはオタクをやっているが、一番好きな男に狂い、一番短期間で金を使ったことに変わりはない。
気が付いたら諭吉が10人消えていた。
このノートはとあるオタクが好きな男に10万使ったという事実を淡々と話すだけのノートである。

そもそも「好きな男」って誰?

私は4年ぐらい前からPC/スマートフォンゲーム「文豪とアルケミスト」にハマっている。
高3の夏、受験生の夏。日本近代文学史のプリントが配られて、ゲームなら楽しく覚えると思って始めた。

結果、文豪と作品、重要単語を覚えた。
どころか後の進路にも多大な影響を及ぼした。
オタク人生と私の人生を狂わす男――菊池寛――にこれでもかというぐらいハマった。
高校の先生見てる?やる気なくて落ちこぼれ呼び出しクラストップの不名誉なあいつは菊池寛にハマって色々やりました。

まずは作品を読み漁った。
「真珠夫人」が面白すぎて何回も読んだ。制服のポケットに文庫本入ってた。
そうしてるうちに高松の記念館で一回目のコラボ。ここから年1~2回高松に行くオタクが完成する。
家の中の本も増えた。
初版本とか全集とかも買った。制服で古本イベントや古本屋に乗り込むこと多々あり。あの子制服で戦前の文藝春秋漁ってるよ。
文学だけじゃなく、大衆文化とか歌謡曲とか、色んなとこで名前を見るから興味はあらゆる方向へ広がる。
元々のオタク気質。存在がデカい男にハマったのが良くなかった。
あとは卒論。好きな男への愛を4年間貫き、恋文を書いて大学を出た。文学館とかもよく行くようになって、学芸員課程も修了した。
マジでこの男がオタク人生……だけじゃなく、私を明るく前向きにしたという自信しかない。自覚がありすぎる。

人生を変えた男が2.5次元に来る。
この時点で嫌な予感がした。
私は文アルの舞台(以下、文劇)によって2.5次元への偏見やら抵抗感をぶっ飛ばした。
一作目は観ていないが配信で偏見をぶっ飛ばして二作目からはチケットを取って劇場で観ている。三作目であらゆる部分にぶっ刺さって号泣しながら京都から帰って、四作目は超個人的な理由でぶっ刺さって帰ってきた。
が、今回は訳が違う。人生を変えた好きな男がゲームから飛び出してくる。
地雷を踏もうものなら負う傷は計り知れない。
解釈違いで死ぬか、解釈一致で死ぬか。
私のオタク人生はどうなる。

運命のビジュアル発表と私

メインビジュアルが発表された。
岩城直弥演じる菊池寛。
個人ビジュアルを見る。いや、待ってこれは……やばい予感がするぞ。
キャストコメントを見る。最年少が兄貴分。

「て、手の振り方が好きな男だ~~!!」
腰に手を当てる質感がそれ。
そうそうそうそうそうそれなのよ。
この時点で期待値が95パーセントまで上がる。
さらにアニメだけでは知ることのなかった鞭遣いまで見せていただいて……
我々が見たかったものを見せていただいて……
とりあえず二回観ることにして、日曜日の回と大千穐楽のチケットを頼む。
大千秋楽のオフィシャル先行はご用意されなかったが、後のゲーム先行で確保。
チケット二枚確保。2万円と少しを散財す。

……と思ったら回数特典つけるとか言い始めたぞ公式。
よし、一般追加。これが一番良い席、サイドステージが近い。
スタンプカード貰い忘れんなよ、私。
6回目特典もらうには東京遠征だよね、それは無理です。休み的にも。
チケット三枚目追加。1万円と少し。計3万円と少し。

それは今じゃないなの事前物販

事前物販。
まずはどこまでやるか?というところから始まる。
グッズ情報解禁はうちの祖父が他界し、通夜(のようなもの)に集まった人で飯を食いに行こうと支度をしている瞬間。タイミング……
「とりあえずランダム全部揃えよう」
パンフレット、シュシュ×3、個人ブロマイド2セット×3人分(グループで推しているので)アクスタ(これは好きな男のみ)ランダム商品は各10枚ずつ、ランブロは15枚買って好きな男優先で積極的にやろう。……と回転寿司を食いながら考える。
事前物販開始は私が8年ぐらい追いかけている声優のイベント真っ最中。だからタイミング……
休憩の時に急いでカートへ放り込み、入金。
事前物販。手数料込み、3万円と少し。計6万円と少し。

交換も通常の倍、過去最大の取引数に。
文アルが好きな者、出演俳優が好きな者、相手は様々である。
大方手に入ったが、シュシュもう一つ保存用が欲しいのとランダムがなかなか出ないな……
追加。6000円と少し。計6万6000円。

コロナ禍での舞台と私

いよいよ舞台『文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)』(通称:文劇5)が始まった。
東京から始まり大阪へ。全18公演。
とは言ってもまだコロナ感染拡大下での公演。
自分の心を保つため、万が一舞台が中止になった際の保険として配信を買った。
観た。きくちはきくちでした。
いや、待って、うわ、ちょっと待って……
リアルタイムでイベントや回想を追ってた人間としてはぶっ刺さる。
美しすぎる対立構造とその間に挟まれる好きな男。
チケット三枚目の決め手はここにあり。
友人を「飯奢るから来てくれ」で呼び出し、新鮮な悲鳴を聞いてもらう。パスタとデザート、ここではノーカウントの3000円である。
配信購入、3700円。計6万9700円。
DVDも予約。1万円。計7万9700円。ここまでは予算の範囲……
いや、3回目行く予定なかったので-1万円が予算の範囲。約7万円が予算の範囲である。

おいでませ大阪。さよなら財布の諭吉。

大阪公演開幕 そして暴走は加速する

待ちに待った大阪公演開幕である。
日曜日2公演、希望休を勝ち取って月曜日祝日大千穐楽。
私「台風やばいけど舞台行きます3回」
上司「同じ内容3回!?なんぼすんの?」
私「チケット1枚1万円ですね」
上司「分かった欠員出ても呼ばないからね」
……もうすでに約8万円使っていることは黙っておこう。

日曜日。
当日物販。
意外に皆当日に買うタイプ?パンフレットとか先に買わないの?
並んでいる前の人がパンフレットを買う。周りもパンフレットをトレーのようにして物販列を抜けていく。
なんの疑問も持たずパンフレット(二冊目)を購入。
個人ブロマイドも2セット目を買う。トレーディングも先の物販の半分、五枚ずつぐらい積む。シュシュ保存用を買う。アクスタ二つ目買う。さすがに個人グッズはこれぐらいにしておいて、トレーディング積もう。
というのを3回繰り返した結果。
当日物販、合計2万円也。計9万9700円。
当日のバチバチに決めたワンピース代+やばい菊池推しを見せつけるための痛バ材料費 1万2000円。 計11万1700円。
文劇5大千秋楽配信 3700円。 計11万5400円。

10万超えちゃってんじゃん。やっべえ。
衣装代引いても超えちゃってんじゃん。
ここに微々たるものだが、何を思ったか菊池寛演じる岩城直弥のファンクラブに入った。550円。
つい先日更新されたFC限定で爆発した。ありがとう、いい男です。
好きな男に金を惜しみなく出すことが楽しすぎて、手元に好きな男が何枚も来るのが楽しすぎてつい支払ってしまった。
いつまでこういう事が出来るか分からない。
やれるときにやったもん勝ちでしょ。
それにしても、好きな男は私の人生を変えすぎているのでそろそろ責任を取ってください。オタクより。

追伸
ここに何回行ったか分からない、しかも最推しが居ないコラボカフェ代を足すと基本給になります。
カフェに通っていた理由は「アフタヌーンティーのマカロンが美味しすぎて休み毎に行ってた」おわあ。

追伸2
追加の劇中ブロマイドが予約開始しました。全34種、5枚1セット売りで1000円。
なんの迷いもなく7セット追加しました。
劇中ブロマイド7000円+送料。合計12万2950円、大体12万3000円。


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