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永遠のアコーディオンスタンダード「パリの空の下」

おぉ、パリ!世界の恋人、花の都、こいの都、おぉ、それはパリ!!その空の下流れるはセーヌ。この街に魅入られた人がどれだけいることでしょう。私もその1人です。多くの人々を虜にする街「パリ」を体現している代表的な一曲といえば「パリの空の下」(通称「パリ空」)であるということに異論を唱える人は少ないのではないでしょうか。

【今回の内容はYouTubeにアップ済みの動画とシンクロした内容になっています。どうぞ「音付き」のこちらも併せてご覧ください。尚、動画の中では映画について全く触れておりませんので、この記事の内容が追加情報として何かの役に立てば幸いです】

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さてさて、この曲はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「巴里の空の下セーヌは流れる(SOUS LE CIEL DE PARIS COULE LA SEINE)」という1951年の作品の挿入曲として世に出ました。印象的で有名なシーンとして、ストライキ(さすがフランスのお家芸!)の煽りで銀婚式のパーティーが出来なくなってしまった主要人物の一人が、仲間と共にセーヌの岸辺で車座になってアコーディオン(キャバニョロ社製でした!)、ギター、歌手のトリオの演奏を聴きながら時にコーラスの声を上げて盛り上がるのがあります(別録りの音を当ててあるので、映っていないのにベースがボンボン聴こえますが、そこはソレということで)。ぜひ「オリジナル」を一度ご覧になってみてください。

そして、このシーンだけを切りとって観ると「人生讃歌!パリ讃歌!」と思われがちですが、この作品全体は群像劇といいますか、様々な人たちのパリのとある一日を同時進行で切り取っていて、希望に溢れていたのに死が降りかかる人や、何の落ち度もないのに不幸な目に遭ってしまう人、無垢な子供たちの冒険や、猟奇事件などが絶妙なバランスとそれぞれの伏線で次々と織りなされて行きます。なので、映画を観てからいざ弾こうとすると、また違った景色が目に浮かぶのではないかと思います(先程の喜びに溢れて銀婚式を祝っていた主要人物の一人もこの後…)日常がいかに奇跡の連続であって、我々が身近に使う言葉でいうところの「縁」の連続なのだと思うかもしれません。

さて、楽曲の話しに戻りましょう。この曲は元々歌を伴っているので、私は過剰な装飾や変奏をしたり、あまりにも速く弾くことには積極的にはなれません。具体的な演奏例を比較をしてみましょう。

【例えばこちらの方の演奏。細かい音符を足してかなり速めに華麗に弾いてます。アレンジされたものをコンサートピースとして練り上げた感じの演奏ですね。これはコレで素晴らしく素敵ではあります】

【対して、オーソドックスな展開で、速過ぎず、音数を増やし過ぎずに意識して弾いた私の演奏も一応置いておきます(映画の中ではもう少し早く演奏されています)】

これら二つでアプローチの違いを十分にご覧いただけたのではないかと思います(これらは「違い」であって「優劣ではない」ということを念のため申し添えます。また、私自身どなたの演奏も否定するスタンスは取っておりません。それぞれが、ご自身のプランに従って、あるいは演奏する場に合わせて意思を持って弾けばそれで良いと思います)

特にアコーディオンソロで弾く場合、キーによって左手側の「伴奏ボタンが足りる足りない問題」が出て来ると思います。最後に半音上がる転調まで見越す場合なら尚更です。初心者向けに調号が何もついてないAマイナーで書かれていたとしても、メジャーに転調した部分は結局Aメジャー(シャープ3つ)になりますし、最後に半音高く転調したらBbマイナー(フラット5つ)ですから、シャープ・フラットアレルギーがある人もどのみち調号からは逃げられないので諦めが肝心です(かつて私もそうでした)

シャンソン界隈の出版物では主にEマイナー(ホ短調・シャープ1つ)で書かれていて、途中長調に転調した時はホ長調(シャープ4つ)になって、最後に半音上がる転調をするならヘ短調(フラット4つ)になる物を良く見かけます。でも伴奏を頼まれた場合、歌手はそれぞれ自分の声に合わせて譜面を作りますから、その都度歌い手の声に合わせた高さの楽譜をもらう事になるだろうと思います。事前に受け取って、充分準備する時間があれば安心ですね。

仮にEマイナーだったとした場合、途中のEメジャーに転調した際に必要となるのはG♯の列になります。これは96ベース以上の楽器(フレンチタイプなら80ベース以上)でカバー出来る範囲になります。お手持ちの楽器がそれより小型の場合には左手を単音で弾く工夫や右手で足りない音を足したり、そもそものキーを変える必要が出てきます。個別の案件にはお答えできませんが、よくよく師事している先生や自分の楽器と相談して適切なキーを考えて決めるのも大事な作業・経験ですから試行錯誤してチャレンジしてみてください。

ともかく、ダントツで知名度が高くてリクエストが多い「パリの○○」という曲では筆頭に数えられるので、ぜひレパートリーに入れてみてください!Bon courage!!(頑張って!)

【さて、「パリの…」というエピソードについては次の動画で話しています。色んな「パリ」がついたタイトルの曲たちのお話しです。ぜひご覧ください】

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ボタンアコーディオン安西はぢめ

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