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脱社会的交換日記

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小市民たちの日記。交換日記と名乗ってはいるけれど、その実、ペン売り場の長いロール紙のような無法さである。
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2023年10月の記事一覧

意味狩り

 先週の土日は稲刈りだった。毎年そうなのだが、まあ~朝が早い。最年少である私は5時まえには起きて、作業に必要な諸々の準備をしなければならない。そのことが分かっているにもかかわらず、前日の贅沢夜更かしが、どうにもやめられない。稲刈りの前の静けさ。真っ暗な部屋で電気スタンドをつけ、若干の緊張感に包まれながら、小説を読む。大江健三郎さんの『万延延年のフットボール』。至福の時間。  生まれてから最初の3年くらいは、もう少し町っぽいところに建てられた団地で暮らしていた。らしい。ぼんやあ

静止(生死)

ある日①(10月7日) わたしの姉の誕生日。そして、昨年産まれた姉の子ども、わたしの甥の誕生日でもある。母子同じ誕生日なので、誕生日会は盛大になった。わたしたち家族(シックスポケット+わたし)は、彼らが産まれてきたお祝いをした。談笑し、ケーキを食べ、まだつかまり立ちまでしかできない甥(あるいは息子、あるいは孫)を見守った。彼が笑顔になると、周りもつられて笑顔になる。今日はいい日だった。 この日、報道によれば、イスラエル側で少なくとも40人、パレスチナ側で少なくとも161人が

生き残り

I have no interest in conversation with terrorist and terrorist supporters. We will not accept their blood thirst on our borders anymore. すべてのものが虚無となった後に、ふと空爆によって燃え上がる炎を見て、もしも、その炎の色や形が美しいと感じることができたなら、その人がいかなる立場であるかは差し置いて、それはその人が人間性を取り戻した瞬間

宇宙人の目、動物の目

 人間が抱える「ふつう」の感覚に疑いをもつ人は、人間ではないものの目を借りようとする。例えば宇宙人の目を。  宇宙人の目を借りることは、世界の見え方を一新するのに役立つ。私たちが全く理解不能などこかの外国語と日本語が、宇宙人からすると完璧に同じ記号の体系に見えているかもしれない。それどころか私たちのコミュニケーションすべてが、一つのなめらかな水の流れのように見えているかもしれない。言語の壁と君たちが呼んでいるものは幻想であり、にも関わらずそのような幻想にいつまでもしがみついて