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フジロック2023の思い出

先日、フジロックに行ってきた。毎年恒例になりつつあるこの夏の音楽体験。
毎度失うもの(主にお金と体力)も多いが、得るものはその千倍万倍にものぼると思っている。
今年も例によって、その後毎日フジロックでの思い出を振り返っている。
去年も実は備忘録を書いたのだけど、見たアーティストの感想記録でしかなかったので公開はしなかった。
だから今年こそ、自分の感情のアウトプットをしたい。
ということで、今回は去年の楽しみ方と、今年の楽しみ方の違いであったり、最後には僕の人生において音楽やフジロックが如何なる存在なのかであったり、そんなことをつらつらと書いてみようと思う。

フジロック2022の楽しみ方

まず昨年、フジロック2022では、僕のフェイバリットミュージシャンであるVampire Weekendが初日のヘッドライナーを務めていた。
VWは2018のフジで生で見る機会があったので2回目。
ラインナップが発表になった瞬間、2018年のあの感動をもう一度味わえるのだと、歓喜したことを覚えている。
僕はいまだにあの日のObvious Bicycleに思いを馳せている。

そしてもう一つ、Father Of The Brideという奇跡みたいなアルバムの曲たちを、エズラの生の声とメンバーの演奏で聴けるのだという期待で胸がいっぱいだった。

そのせいなのか、いくらラインナップを見てもVW以外のミュージシャンに興味を持ったり、リサーチしてみたりという事前準備ができなかった。
要はVWに期待値全振り状態。
正直に白状すると、2日目と3日目に関してはアディショナルタイムくらいの気持ちでしかなかった。

しかしまあこれが、不思議なことに功を奏した。
残りの二日間は、自分を救ってくれるものの一つはやっぱり音楽なんだな、ということにつくづく気付かされた時間になった。

まずは2日目のArlo Parks。

そして3日目のTom Misch。

この2人が本当に自分の心を掴んで離さない。今でも。
前情報がほとんどない分、情報としては、耳に入ってくるサウンドと演奏者の佇まいだけ。
それだけなのに、心が浄化されていく。

ああ、これが幸せってことなんだ。
自然と涙は出てくるし、「これまでのことやこれからのこと、人生のすべての出来事が今この瞬間につながっているな。」とすら思えた。
今までもきっと、そういう感覚を味わったことがあるはずなのに、なぜこんなに美しい気持ちで満たされたのだろう。
でも多分それが音楽の素晴らしいところなのだと確信できた。

知らないミュージシャン、知らない曲、知らない声、知らない音、完璧に理解できるわけではない言語……。
どれももしかしたら、他者にとってはつまらないものであったかもしれない。
けれど、僕にとっては走馬灯に映りうるほどに、音楽に感謝した瞬間だった。

つまりフジロック2022は、0から100の音楽体験。
知らなかった音楽が、イヤホンやスピーカーを通さずにダイレクトに入ってくる、自分の中で、無から有を生み出す楽しみ方をしたフジロックだった。

(2022は自分自身のメンタルがとてもよろしくなかったので、余計に色々な感情にのまれたのも間違いない。それもまた追々話したい。)

フジロック2023の楽しみ方

対して、今年。フジロック2023。
前年とはまた別の楽しみ方をしたく、今回はとにかくある程度のリサーチをした。

一年前のフジロックを経て、自分がどんな音楽を好きなのか、そして誰にも流されずに自分が味わいたいと感じるものはなんなのか、
そんなことを明確に得た僕は、初めから好みの音楽にフォーカスを当てて三日間を挑むことにした。
この楽しみ方もまた、僕に幸福や感動をもたらすものであった。
特に目星をつけていたのは、
・Daniel Caesar
・Alanis Morissette
・Asgeir
の三人。

Daniel Caesarは、ここ数年愛してやまないOmar Apolloの一派。

(本当は今年のフジにはOmarが来るんじゃないかなと思っていたのだがそれは叶わなかった。来年こそ、、いやフジに限らずどうか日本公演をしてほしい。)

続いてAlanis Morissette。

まだ17,8の自分に音楽好きの叔父がCDを貸してくれたのを覚えている。

そして、Asgeir。

この方も詳しく存じ上げているわけではなかったけど、ビョークを掘って聞いていた時に、たまたま聞いた感じだったかな。

どれも、ちょっとしたつながりやきっかけから、アンテナが反応していたのだと思う。
2022のように、全振りするほど自分になじみ深いミュージシャンがいなかった分、ラインナップからこうしてチョイスしやすかったんだろうね。
もちろんほかにもTHE STROKES、BENEE、TESTSET、FKJ・・・いろいろ興味深いミュージシャンたちがいたけれど、自分の現状とか好みとか、再び昨年のような感覚を味わえるかどうかとか、そういうのを鑑みると、先に挙げた3人に絞ることができた。
あとは予習というよりも、単に気持ちよくてひたすらその人たちの曲を耳にしていた。

実際当日彼らのステージを見ると、すでに(Spotifyのおかげで)それぞれの情報を100くらい得ていた分、昨年のような爆発的な感情の波はなかった。
でも、0→100の昨年とも違う、100→1000の感動もまた一入。
ステージに向かう中で、お目当ての音楽に合わせた心持ちを準備し、期待していったので、もちろん裏切られることはなかった。

特にDaniel CaesarはOmarとのかかわりが深いことや、Omarに提供したInvincibleを披露してくれたこともあって、かなり満足度高し。
個人的には今年のベストアクトだった。

つまりは、今年のフジロック2023は、100が1000になる音楽体験だった。
好きな曲や馴染み深い曲が聞けたことへの喜びとか、音源で聞くのとその場で体験する違いとかを改めて感じられた。

どっちがいいんだ

比較するとなったら、どっちがいいんだ、という結論を話さなくてはいけないよね。
結論から言うと、0→100の感情の波を味わった2022のほうが強烈だった。
いわば2023はミーハー的な楽しみ方をしてしまったのかもしれない。かじった程度のミュージシャンを見るという意味では。
ただ、強烈な感情の波って、いつどこで味わえるかもわからないし、闇雲に見に行っても響かないこともあるから、賭けなんだよね。
来年どう楽しむかはまた来年の状況や環境、気持ちによるけれど、今のうちに来年見たい聞きたいミュージシャンたちは羅列しておこうかな。

海外勢はOmar Apollo、Justin Timberlake、Jamiroquai、No Rome、Rufus Wainwright、HYUKOHあたりかなあ。
日本人なら宇多田ヒカル、玉置浩二、そして今は原田知世も入れておきたい。

さいごに ~ 僕の人生における音楽とフジロック

こう書くとまるで自分がフジロッカーを名乗ってるように見えてしまうけど、僕はまだまだ素人。
ただし、音楽に対する愛情とか、変わらずに常に隣り合わせでいようという思いとか、そういうのは多分一生変わらない。
それが僕にとっては癒しであり救いであり、人生だから。
だから、きっとこれからもそういう場としてフジロックには行くのだと思う。
そうしていつか10回目とか20回目とか、そういう時が訪れたらもしかしたらフジロッカーを名乗っているのだろうか。なんかあんまり想像つかないな。

多分おまけが大きいんだと思う。自然と、キャンプと、それからフジロックでの出会いと。それはもちろん音楽だけでなく、友達や教え子との再会も。
だから思い出深い。
おまけでしかないはずの、友人とテントや車で語らう時間、大好きだもんなあ。

だから次は、フジロックからの帰り道で、友人がつぶやいた「お守りみたいな歌(歌詞)」ってことについてアウトプットしたい。
そこで多分、なぜ見たいミュージシャンに原田知世が突然現れたかということを語れるでしょう。
かれこれ2週間、フジロックの思い出とともにそればかり考えているから。

長くなっちゃったな。つくづく短くまとめるのが苦手だ。
もしここまで読んでくれた人がいたら、ありがとうしか言えない。
あと変な人だね、ってこと。

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