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宇宙でスペシャルティコーヒーは発酵はするのか?可能なのか?そもそも発酵とは?

宇宙でスペシャルティコーヒーを嗜むようになる時代はすぐにやってくる。イーロンマスク率いる”テスラ”が時価総額で世界のトヨタを抜いて1位になったの必然なのかもしれない。スペースXも世界基準を塗り替えているし。人が宇宙へ行くことの再現性が飛躍的に進んだ瞬間だったのを奈良の街から空を見上げて感慨ふけっていました。

スペシャルティコーヒーを微小重力空間で淹れて飲むことは、おそらく今文章を書いている2020年から5年経たないうちに簡単に実現すると思う。技術的にはできる確信があるし後はこの事をどのような実験や研究と絡めたり、面白いと思ってもらえる仕掛けをして実現するかだなぁというのが今の目先の課題。

そしてフレッシュなコーヒーを宇宙空間でも飲めるとわかればコーヒーの木栽培も他の野菜や果物同様に研究が進むはず。
未来の生産地の生活、自然、労働環境とかを考えたら2050年にはコーヒー生産量が半減してる可能性がある。そしたら宇宙でコーヒー生産やピッキングをするぞーっていう宇宙雇用を生み出すのも有りだと考えています。

しかし、そこに行き着くまでに様々なコーヒー精製にかかわるプロセスを一つずつ宇宙でも”可能”なことを証明しなくてはならないはずです。
あくまで宇宙消費用のコーヒーを宇宙で栽培するのだから、当然的に焙煎まで宇宙で完了しなくてはならない。

そこで思ったんです。

コーヒーにおけるファーメンテーションプロセスは宇宙でも実現可能なのか?

多分、作物を宇宙で(多分月面が最初)栽培するなら専用のスペースプランテーション、プランツドームやハウスを作りその中で栽培すると思います。
いくら寒暖差が大きいと糖度が増す!とか密度がギュンギュンになる!といっても月面の表面温度の寒暖差は280℃・・・。

なのである程度に整備された状況で栽培されるはずだが、
月面の重力は地球の1/6だし酸素や水、太陽光などの状況も違う。

しかし地上で栽培されたコーヒーを宇宙に運び発酵のプロセスだけなら、こういった厳しい環境でも出来そうな気がします。

というかそもそもコーヒーにおける発酵の仕組みを理解しないと推測すらできないですね。コーヒーにおける”発酵”ってなんかちょっと他の発酵と違う気がしています。

ミューシレージを除去する為に発酵槽につけたりもするそうだし。
ひとまず、

まずは発酵という現象を知ろう

ということで、まず発酵がそもそもどういった現象なのかを紐解いていきます。私自身詳しく理解していないのでお勉強ですね!

1. 微生物が自己の酵素で種々の有機物を分解あるいは変化させ,それぞれ特有の最終産物をつくりだす現象をいう。したがって最終の物質の名称を取って「…発酵」と呼ばれる。
引用URL: https://kotobank.jp/word/%E7%99%BA%E9%85%B5-115005
2. 酸素が存在しない嫌気的条件で、糖などを分解してエネルギーを獲得する過程のこと。
引用URL: https://agcl528.com/ferment2003120/

なるほど、微生物がそもそもいる前提なんですね。
2.の発酵はコーヒーでいうアナエロビックとかですね。
そして有機物とはそもそもなんだ?と思って調べた所”炭素”を含む物質のことみたいです。

そうすると、コーヒーでいわれる発酵とは1. 「微生物が自己の酵素で種々の有機物を分解あるいは変化させ,それぞれ特有の最終産物をつくりだす現象をいう。」になるのかと思うのですが、そもそもコーヒーで行う一般的な発酵はコーヒーの実をパルピング(果肉を除去)した後に、まだコーヒー豆のまわりについているヌルヌルなもの(ミューシレージ)を分離させる為だと認識していましたのでなんか違う気がします。

コーヒーにおける発酵処理の役割について

ということでコーヒーにおける発酵がどんなものなのか整理してみたいと思います。

まずミューシレージを落とす為だけではなく、発酵させることで様々なフレーバーを引き出すことが一つの目的であります。
微生物(バクテリア)や酵母(イースト)の働きによって生成される酵素でミューシレージのもつ糖分を分解します。

さらにコーヒーはパン酵母としても知られる”Sacromises cerevisiae(出芽酵母)”を天然の野生酵母としてもっているそうです。
酵母も微生物の種類でブドウやカカオなどにも含まれます。ワインやカカオのプロセスでも使われています。

なんだか難しくなってきましたね。

水や温度も影響する発酵プロセス

発酵の時”タンク”にコーヒー豆を入れるのですが一緒に”水”も入れます。
この”水”も味に影響がでてくるとEl SalvadorのSanta Rosa Farmの主が言及しています。

彼は"雨水"と"湧き水"で発酵(ファーメンテーション)を試したそうですが"雨水"はコーヒーからの糖分などをより多く吸収してしまうそう。
結果味がコーヒーに残らずフラットな味わいになりカップスコアを5pt減らしたそうです。(コーヒーの評価基準とし10項目の採点をします)

温度関しても24時間の発酵タンクでのファーメンテーションを平均16°で
保ったものはバランスがよく味も美味しかったそうです。温度が高すぎると発酵の速度も速くなるそうで、やりすぎるとアルコール発酵が始まり、酢や金属みたいな味わいになるマイナスな発酵になるそうです。


参考文献: http://sasasestic.com.au/fermentation-affect-coffee-flavour-development/

さらに難しくなってきましたね。宇宙でも本当にできるんだろうか。

一旦まとめるとコーヒーの発酵とはこうだよね?

1. 熟したコーヒーチェリーを収穫
2. 発酵タンクにいれる(精製方法によって果肉をとった後だったりそのまま果肉付きでいれたり)
3. 水をいれる。ただし水をいれない発酵もある。
4. 温度と時間に気を配りながら最善のタイミングで取り出す。

2~4の間にコーヒーのもつ野生酵母がコーヒーがもつ糖分を分解して新たなフレーバーを生成する。

はい。ただ、コーヒーの発酵に水を使うのは宇宙空間ではあまり実用的ではないと思います。そもそも水の重要性はかなり高いし、汚水の処理なども考えなくてはならないので発酵させるならサンドライなどと呼ばれるナチュラルプロセスで用いられる発酵方法が良さそうです。

ナチュラルプロセスでいうところの発酵とは?

ということで、発酵について少しづつ理解が深まったところであります。
なかなか前に進みませんが次は水を使わない発酵について知っていこうと思います。

結果からいうと、コーヒーチェリーは熟してくると自然と発酵がはじまります。摘み取ったあとに広い場所に広げて乾燥させながら発酵させています。
それだけです。
コーヒーチェリーの水分保有量が11%くらいになると微生物の動きが鈍化そるそうなのでそのあたりまでが発酵プロセスになるそうです。

なので発酵タンクにいれる必要もない。ただ天候や気温、日陰の有無などで時間の調整や発酵の進行具合をコントロールするのでブレやすい、又は手間がかかる。地上でこのプロセスを行う時は広い場所にコーヒーチェリーを広げ並べて均一に乾燥と発酵が進んでいくように定期的にまぜまぜします。= 人も時間もお金もかかるわけです。

(こちら生豆会社が紹介してくれているナチュラルプロセスの動画です。)

微小重力空間を逆に利用すれば、まぜまぜしなくても常に均一に乾燥と発酵を促せそうだと予測します。
回転ドラムのようなものに入れて自動で回ってる中にいれたら混ぜる手間もないのでドーンっとコーヒーチェリーを入れたらナチュラルプロセスのコーヒーはできそうな予感です。これこそ月面で出来そうです。

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あと予備知識として”腐る”のも発酵の種類のひとつ。発酵のダークサイドですね。ジュクジュクに熟すと腐るっていくのは微生物の働きで発酵が進んでいるんですね。

あれちょっと待って?月面でこれやったら酸素がない。イコール。。。

発酵だけにいえば冒頭で述べたスペースプランテーションとかを用意しなくてもいけそうだ!と思ったのですが上記で述べた発酵には「酸素」がある前提のプロセスである。

じゃぁ無理なのか?といえばそうでもない。
発酵のもうひとつ「2. 酸素が存在しない嫌気的条件で、糖などを分解してエネルギーを獲得する過程のこと。」
これができるはず。

アナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)

これができるはず。地上のようにタンクに閉じ込めて空気を抜かなくても、そもそも酸素がない状態の宇宙空間なら先ほどの図解で示したようなやり方で十分に発酵させることができるはず。

外気温など地上とは比べ物にならないくらい温度差などあるのでそのあたりが課題になってくると思います。それと、、、、

宇宙空間のような”真空”になっている空間でも酵母など微生物は生存可能なのか?これについては研究された結果があり、酵母は”生きられない”そうです。

参考文献: https://www.jstage.jst.go.jp/article/bss/4/1/4_1_3/_pdf/-char/ja

なので宇宙空間でそのままコーヒー豆を晒しての発酵は無理そう。
先にタンクに詰め込んで封をしておけば大丈夫そう。
重力がない空間で微生物がコーヒーに対してどのような働きをするのかとても興味があります。
細かな調整が必要で繊細なコーヒー発酵を宇宙で行うのは中々ハードルが高そうです。

結果として宇宙空間orコーヒー月面発酵は可能なのか?

まだまだ研究&実験が必要ですが、なんだか”出来そう”な雰囲気ではあります。発酵が可能であれば「宇宙空間でのコーヒーの木栽培から一杯のコーヒーまで」にも一歩近づきます。誰か一緒にやってくれる人がいたらいいなぁ・・・。
ビール作りの研究や野菜飼育の研究は進んでいるのでコーヒーも宇宙ともっと関わっていけたら面白いなーと思います。
そしてコーヒーの新たな美味しさに繋がればいいですね。

未だ見ぬ未来への物語を紡いでいきたいです。また色々調べて書きますね。

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