言葉なき調教

1歳を過ぎた頃から娘はいないいないばあを理解し始めた。

一緒にお風呂に入ると、俺の手を自ら掴んで俺の顔の前に移動させて、いないいないばあやって!と喋れないながら訴えてくる。

最初のうちは俺の「いないいない〜」という声に合わせて手を自分で開いていたのだが、そのうちに俺の顔の前に移動させるだけで満足したのか、そのまま放置されるようになった。

うん、文字で書くと分かりにくい。
絵にしてみよう。

この状態で放っておかれるのだ。

もう飽きたのかなと思って俺が自分で手をどかそうとすると、「まだだよ!」と言わんばかりに手を取って顔の前に移動させてくる。

そのままじっと待っていると1分くらいしてからちゃんと手を開いてくれるので忘れているわけではないようだ。

一体これは何の時間なんだ。

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似たような状態を考えてみると犬でいうところの「待て」が近いように思う。

餌を食べる前に無意味に数十秒待たせたりする。別に「この餌はお皿に移してから1分ほど待っていただくとより一層美味しく召し上がれます」とかそういう小技があるわけでもなく、「待て」は飼い主が犬に対して行うしつけ、もっと人間本位な言い方をすれば調教である。

そうか、娘も自分の言う通りにちゃんと行動してくれるように父親をトレーニングしているのではなかろうか。

1分ほど待った後、手を開いてくれるとそこには娘の満面の笑みがある。「待て」の言いつけを守った犬を褒めまくる飼い主のような笑顔が。

うん、やっぱりこれは調教だ。

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