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泣く泣くカットしたシーンも少し公開!ドキュメンタリー撮影の裏側

こんにちは、広報チームの加藤です。

今回のnoteでは先週に引き続き、クラブ初の長編ドキュメンタリー作品「FOOTBALL DREAM 鹿島アントラーズの栄光と苦悩」の撮影裏側を、制作スタッフに聞いたアンケートを通じて紹介します!

配信は、残すところあと1話!お得なU-NEXT入会キャンペーンも4月15日(金)12:00までの期間限定となりますので、まだご覧になっていない方はぜひ、この機会に作品をお楽しみください!

アンケートに回答した制作メンバー
ー 神戸佑介 製作統括
ー 三宅伸行 プロデューサー
ー 伊月 肇 ディレクター・カメラマン
ー 竹内佳嗣 密着撮影

海外にいるOBの撮影で印象的なエピソードやシーンを教えて下さい

今回の作品では、数多くの海外在住OBに出演協力していただきました。アントラーズから離れて時間が経っているにも関わらず、忙しい合間をぬって出演を快諾いただいたOBメンバーのインタビュー映像を観ると、ファミリーの強い絆を感じます。そんな海外在住OBとの撮影秘話を聞きました。

スクリーンショット 2022-03-16 15.32.39

神戸:欧州随一の強豪クラブであるパリ・サン=ジェルマン(PSG)でスポーツディレクター(強化責任者)を務めるレオナルドさんの撮影が特に印象的でした。

スケジュールを確保いただくのがとても難しく、針の穴を通すような調整でした。当時、PSGはUEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを戦っていて、なかなかインタビューを申し込めるタイミングではありませんでした。やっと調整がついたのは惜しくも準決勝の敗退が決まってから。インタビューを行った場所はパリにある超高級ホテルのレセプション裏にある「普段は開放していない(現地からの情報)」というスペースでした。レオナルドさんはこのホテルで、かの有名な一流選手達と契約交渉の真っ最中だったようで、その合間をぬって撮影時間を作っていただきました。とてもお忙しい中、アントラーズの依頼を受けてくれたことに感謝しています。

三宅:ジョアン・カルロスさんの撮影で、私の友人のカメラマンがフロリダのご自宅へ行ったのですが、ジョアンさんがまるでお客様のように迎え入れてくれたというエピソードが印象的です。奥様からおもてなしを受けたと聞きました。ジョアンさんは、撮影クルーもアントラーズファミリーとして受け入れてくれたのだと思いました。

伊月:サッカーと映像制作に理解があり、ポルトガル語翻訳ができる方を探すのに難航しました。最終的に、知り合いの紹介でブラジル在住の藤原清美さんにお願いすることになりました。藤原さんはアントラーズとも深いつながりがあったようで、後にクラブからも紹介がありました。藤原さんとはブラジルと日本という距離と12時間の時差がある中、何度もオンラインでの打ち合わせを重ねました。すぐ近くで仕事をしているんじゃないかという感覚になるほど、迅速に丁寧に対応してくださった、その安堵感は今も覚えています。

泣く泣くカットしたシーンがあれば教えてください

3000時間にわたる撮影の中で、制作チームも使いたかったけど尺の関係で泣く泣くカットしたシーンが数多くあります。このままだとお蔵入りになってしまう...本当に少しだけこのnoteで公開します。サッカーとは関係ないシーンですが、なかなか観ることのできないオフ感が溢れる映像です。

神戸:遠藤選手(現:べガルタ仙台所属)と犬飼選手(現:浦和レッズ所属)がプライベートで釣りをするシーンです。ストーリー構成の検討を重ねる中で、入れたいと思っていたパートに収まらなくなってしまい、泣く泣くカットとなりました。ちなみに釣りの腕には定評のある二人ですが、この日は残念ながら1匹も釣れず、本人たちもかなり悔しそうにしていました。お二人には「もし釣れていたら使ったんだけどね〜」と笑い話にして報告しています。

もう1つは、EP1のジーコさんがハットトリックした開幕戦を回顧するシーンです。本編で触れられたのは1点目のゴールのみとなってしまいましたが、2点目、3点目についてもお話してもらっていました。いつかのタイミングで皆さまにお届けできればと考えています。

石井さんインタビュー

伊月:EP1の石井さんのご自宅でインタビューさせていただいたシーンの一部です。1993年開幕当時を振り返っていただく中、クラブハウスにサポーターの方々がチケット購入のため長蛇の列を作るようになった様子を車の窓から見た時、この人たちのためにも勝たなければならないと、当時のことを言葉につまりながらお話され、涙されました。尺の関係上泣く泣くカットしました。

オリヴェイラさんインタビュー

EP4は元々オリヴェイラさん中心に構成するつもりでしたが、最終的に3連覇を描くにあたって個人だけを取り上げることはできないと判断しました。しかしながら、それほど強くオリヴェイラさんを中心にしたいと思わせたのはオリヴェイラさんの言葉が熱かったから。いくつかありましたが、好きな言葉を一つとりあげます。

「悲しいことがあると、YouTubeで鹿島を見る。
マルキーニョスのゴールを見返す。
興梠の、野沢の、岩政の、小笠原の、新井場の、
本山の…素晴らしいクラッキで、背番号10だった。
大分戦での内田のゴールを…、
そういうことが、非常に心に刻まれているんだ。
そういう(素晴らしい)ことが、繰り返し起こっていた。
なぜなら、僕らはそのために仕事をしていたんだから。
だから、僕の人生に深く刻まれているんだ。
そして、僕の鹿嶋の街での生活。
僕はあの街を愛していたし、あそこで暮らすのが大好きだった。
(レストラン)ベリンバウで、シュハスコを食べて、生ビールを飲んで。
分かる?
あのすべてを愛していた。
鹿嶋の街で起きて、眠るのが好きだった。
そして、クラブの人々と共に過ごすことが(好きだった)。
橋本(※訳注:アスレチックトレーナーの橋本敏広さん)や…、あそこで僕らと一緒に仕事をしたみんなと過ごすことがね。
あの想い出は…、
増川(※訳注:当時マネージャーだった増川岳さん)もそう。
まさや(※訳注:通訳の川窪匡哉さん)、
なんてことだ。なんて嬉しいことだ。
分かる?毎日、あそこで彼らと一緒にいて、
みんなが最大限、仕事に集中していて、
そして同時に、あのファミリー感がある。
僕は何て言うか、鹿嶋の街で、そして鹿島アントラーズで、5年間過ごしたんだが、僕にとって、とても大事なことだった。
忘れられないし、毎日思い出している。
僕の人生で、1日だってないんだ。
鹿島のことを思い出したり、夢見たり、(映像を)再生して見ることがない日はね。

制作の過程で初めてチャレンジしてみたことはなんですか

今回の長編ドキュメンタリー作品制作は、クラブとしても初の試みでしたが、制作チームにとってもその過程でたくさんの挑戦がありました。中でも、初めてチャレンジしたことを聞いてきました。

スタッフ写真_編集ルーム

伊月:これまで自分が制作してきたドキュメンタリーは主に、今をどう描きドラマにしていくかという方法でしたが、今回は歴史とのミックスだったので、過去をどうドラマにするかということがチャレンジでした。また、30年の歴史を全8話にするという企画を成立させるために、鹿島アントラーズをよく知らない私にとって、果てしないリサーチ作業もチャレンジでした。

三宅:今回の撮影は、すべて4Kカメラで行いました。それに伴って必要となる大規模なサーバーでの4K編集が、初めてのチャレンジでした。システムを構築するのに苦労しました。

神戸:当初から撮影スタッフとも一致していたのは、映像作品としての美しさを求めることでした。特に、インタビュー撮影にはこだわりました。なるべく同じロケーションにならないよう、背景設定は工夫しました。活動範囲に制約のある現役選手以外の方は、ほぼすべて違うロケーションになっています。時には撮影が難しい環境もありましたが、プロの撮影スタッフの皆さんが音声収録や照明にも工夫を凝らしてくれたため、美しい映像を実現することができました。撮影場所探しを通じて、プロの手にかかるといつもの風景がこんなにも美しく映るものなんだという新鮮な驚きがありました。

そして、美しい映像を撮影するためには、機材も重要です。今回の撮影のために、クラブパートナーのソニーマーケティングさんがデジタル一眼レフカメラのα7S IIIという、当時なかなか手に入らなかったカメラや長距離撮影用のレンズなどの機材を提供してくださいました。この場をお借りし、御礼をお伝えしたいです。

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竹内:最初の頃はまだ撮影の体制が整わず、後にストーリーがどう展開されるのかもわからないままでした。そんな状況でも、常に試行錯誤しながら撮影した事が初めてのチャレンジでした。

撮影方法にこだわったシーンを教えてください

ドローン撮影ドローンで撮影したクラブハウス

竹内:手持ちで生々しいカメラワークとシネマティックなカメラワークを出来る限り使い分けてトライしました。ドローンをたくさん飛ばして、「ここは本当に鹿嶋なの?」と思ってもらえる新鮮な空撮カットを多く収録しました。

三宅:観客席からゴールの瞬間を撮影するのに苦労しました。ゴールの瞬間は1試合のうちあっても数回ですので、その瞬間の観客席のリアクションはとても貴重です。ピッチの方向を見ながら試合展開を追っていると絶対に観客の反応を逃してしまうので、カメラは常に観客席の方向を向け、観ている方々の表情から試合の展開を読み取ろうと工夫しました。

神戸:選手編成というチーム強化においてとても重要な要素を表現する上で、選手との契約交渉はドキュメンタリー撮影に欠かせません。ただし、センシティブな部分なのでカメラが入ることは交渉に支障をきたしてしまいます。また、室内ではないとしても、入口付近でカメラマンが待ち構えていたら選手は違和感を覚え、交渉前にクラブに不信感を抱いてしまうことも想定されます。そこで、どのように「契約交渉」というシーンを表現するかを考えた結果、定点カメラでの無人撮影を行うことにしました。何が起こるか全く予想がつかない中、クラブハウス廊下に設置したカメラに契約交渉直後の高井蘭童通訳とエヴェラウド選手がハグするシーンが映っていたのを見たときは、鳥肌が立ちました(当然この時は契約交渉の結果がどうなったか、なぜ2人が抱き合っているのかはわかっていませんでしたが...)。とても感動的なシーンでしたので、今回特別に、本編から定点カメラで撮影したシーンをお見せします。

カメラマン目線で素敵だなと思ったホームタウンの場所を教えてください

最後に、カメラマンや映像制作するスタッフが、鹿嶋のどのスポットを素敵だと感じたのか気になってきいてみました。

夜のスタジアム

三宅:カメラマン目線ではないかもですが、初めて見たスタジアムですね。初めて鹿嶋へ行った日、クラブハウスで撮影して、夜、スタジアムの前を通りかかった時に、夜の景色の中、スタジアムが光り輝いて見えました。

竹内:クラブハウスです。選手だけでなく、アントラーズをみんなで支えていると実感できる場所です。クラブハウスのカフェのアジフライ定食は肉厚でお気に入りです。皆さまもカフェが再開した際にはお試しください。その他に素敵だと思ったスポットは、鹿島城山公園の桜、平井海水浴場、北浦湖畔駅、カシマスタジアムです。

最終話の配信は3月31日(木)!

いよいよ、次回の配信で完結です。ぜひ、それまでに今まで配信されたエピソードをご鑑賞ください。皆さまのSNSでの感想の発信も楽しみにしております。

まだ先週のnoteを読んでない方はこちらもお楽しみください!制作スタッフが選手の裏話をしてくれています!