マガジンのカバー画像

記事一覧

139
これまでの記事をアーカイブしています。
運営しているクリエイター

2017年7月の記事一覧

7000年前も新しもの好き?

7000年前も新しもの好き?

どんなものが良いと感じるか、つまりわれわれの嗜好は、ものそのものだけではなく、色んな要因に影響されます。洋服とか、ガジェットとか、新しいというだけで買ってしまったりしますよね。そうかと思えば、みんなが使っているものがほしくなったりもします。人類学をやっていると、過去の人びともわれわれと同じだったのだろうか?という問いによく直面します。石器時代の遺跡から装飾品や道具が出土することも多いのですが、彼ら

もっとみる
【書評】『ヒトと文明──狩猟採集民から現代を見る』

【書評】『ヒトと文明──狩猟採集民から現代を見る』

『ヒトと文明』は分子人類学の大家、尾本恵市氏による自然人類学の本だ*1。『生物と無生物のあいだ』で著名な福岡伸一氏は「尾本人類学の集大成」と評したが、この本を一般向けの人類学の解説書だと思って読み始めた人はきっと面食らうだろう*2。この本は解説書でも教科書でもなく、人類学者が人権問題を訴える本である*3。そういう意味ではレイチェル・カーソンの『沈黙の春』に近いのかもしれない。

もちろん、解説書と

もっとみる
【書評】おいしそうな『マレー諸島』

【書評】おいしそうな『マレー諸島』

ここで紹介する書籍『マレー諸島』は,ダーウィンと同時期に進化の原理を発見していた博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスによる,19世紀マレー諸島の科学探検記です.

この記事では特に,本書を,食べものの観点から眺めてみます.というのも,登場する食べものの記述が,その,実においしそうなのです…….でもその前に,本書の位置づけを,簡単に説明しておきましょう.

標本採集ビジネス科学探検ウォレスは,1

もっとみる