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「埋め込まれた無意識」から「第三の圧力主体」へ

■この記事の要約

ウィルバー・モデルでは、抑圧の主体は自己システムに「埋め込まれた無意識」だった。それに対し、AKモデルでは、抑圧の主体は「自我」であるとした。
ただ、抑圧を自我の「単独犯」とするには無理がある。
そこで、AKモデルでは、自己システムに埋め込まれた「第三の圧力主体」を想定する。

<「第三の圧力主体」の特徴>
〇無意識ではあるが、抑圧されてはいない(潜在的無意識の内容物ではない)。
〇抑圧(誤-変換)の対象ではなく、抑圧(誤-変換)の主体である「自我」に強い影響を与える。
〇発現する場合には、自己システムとして浮上する、いわば自己システムと無意識との「橋渡し」的な役割を担っている基底無意識の一面。
〇「意識=自己」と「自我」の間の作用・反作用の関係性にも強い影響を与えながらも、傾向としては無意識にとどまる。
〇ときに成長・発達の作用側に回り、ときに反作用側にも回る。
〇独自の判断基準やパターンを持つ器ないし形式であり、「自己」の面影を携えている。
〇ある対象を「変換」するのか「誤-変換」するのかの判断に、無意識的に影響を与える。
〇自己の「元型」のように振る舞い、個性を生み出す源となり得る。
〇人類共通の「隠された地図」ではなく、もっと個人的な「隠された地図」。
〇自己システムの「動き」である葛藤や抑圧や弁証法的な動きに、ある一定のパターンをもたらす(空港の管制塔のような役割)。
〇人生を理屈では割り切れない込み入った「道」にする。
〇夢の発現にも大きく関与している。
〇「心の声」、夢やヴィジョン、運命的な感覚といったかたちで発現する。自我はそれに抵抗しようとするが、抵抗し切れない。
〇発達初期の身体的自我レベル(環境と自己の身体とが未分化な状態)では、まだほとんど意識に「開き出されて」いないため、抑圧に影響を与えるだけの力を持たない。
〇心的自我レベル(心が身体から分化し、心に同一化している状態)では、かなり「開き出され」始めていて、自我による強い抑圧(誤-変換)に影響を与える。
〇心的自我より上位のレベル(超個レベル)では、すでにほとんど「開き出され」ていて、自我による抵抗もほとんどない。それでもなお何らかの抑圧が必要な場合(高度な「スピリチュアル・エマージェンシー」など)には、減退している自我に代わって、抑圧の勢力になり得る。

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