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なるほどレベルデザイン:まがりかどのひみつ

これから書く内容は冗談のように単純なコトです。
単純すぎて正直恥ずかしいのですが、しかし教わったことも聞いたこともない…と思いましたので書いてみます。

そもそも単純であるかどうかの前に「まちがっている」から誰も言わないのかもしれませんが…

※表紙の画像はエクセルの図に見えるかもしれませんがBlenderで作成したものです。

人は近い曲がり角から先に調べる

はい、これで話はオシマイ!
解散です。

さて、少し解説を。

その前に、表紙の絵を上から見た図を載せてみます。

ずーん

Blenderで作ったモデルを上から見ただけなので、
ライティングの関係もあり非常に微妙ですね。

ということで、とあるツールの力を使ってカッコよくしてみます。
※AIではありません

っぽい~

これで一気にダンジョンっぽくなりました。

人は近い曲がり角から先に調べる

これはいったいどういうことなのか?

つまり、人は遠くの曲がり角よりも先に近い位置の曲がり角を調べる習性・傾向があるのではないか、という仮説です。

「そりゃそうだろう」と思った人は挙手した後「…でもなんでだろ」と考えてみませんか。

なぜ人は「近い」曲がり角を先に調べるんでしょうか?

人は安心したい

最近、私がよく言う「快適のゲームデザイン」を使ってみるとよく分かります。

人は快適を求める。
不快は忌避する。
先に曲がり角が見えたとき、結果がわからないのは不快である。
だからすぐにでも調べて結果を知って「快適に」なりたい。

これが1つの答えではないでしょうか。

人は疲れたくない

もう一つはこれではないでしょうか。
たとえば宝箱が近い位置と遠い位置にあり、その両方が見えていたとき。
人は近くの宝箱から調べるのではないでしょうか。

それは「近くの宝箱のほうが価値が高いから」ではなく、「近くの宝箱にアクセスするほうが楽(早い)だから」です。

近い曲がり角と遠い曲がり角、楽にアクセスできる「近い曲がり角」に人は引き寄せられます。

つまり結論は…

人は「快適でありたい」という欲求と「疲れたくない」という欲求によって「近い曲がり角」を調べる習性・傾向があるということになります。


「はなしはそれでおしまいかい?」

結論転じて仕事に役立てよう

noteで書くことは基本的には「他の人の役に立ってほしい」と思って書いているので、実際の仕事=レベルデザインに役立ててみたいと思います。

「人は近い曲がり角から先に調べる」という習性・傾向をプランナー的な「企み」で言い換えるなら「曲がり角を仕込めばユーザーを引き寄せることができる」になります。

曲がり角の先に敵を置けばどうなるか?
驚きとともに戦闘開始、緊張感を加算できます。

曲がった先に敵が見えたら戦闘を回避して逃げ出すユーザーもいるかもしれません。その場合は敵の追跡開始、ユーザーは背後からカシャカシャと音を立てて迫りくるスケルトンに恐れおののくでしょう。
うまいこと発見されなければ安堵しますが、次から曲がり角を見るたびにドキドキするでしょう。

では、曲がり角に宝箱があったら?
調べてよかった、とユーザーは満足そうに宝箱に近づくでしょう。

では、その宝箱をミミックにしておきましょう。
意地の悪い仕組みですね!

ではでは、何もない行き止まりにしてみましょうか。
本当になにもないのか…?
おっと、木箱をどかすとそこには怪しげなスイッチが…押すと地響きとともに行き止まりだった岩壁が動き、今度こそ宝箱が姿を現しました。
(これをミミックにするのは意地が悪すぎてユーザーに叱られます)

途中から話が「曲がり角の使い方」になってしまいました。

大事なのは「近くの曲がり角から調べる」こと。

・近い方の曲がり角に宝箱があり、遠い方の曲がり角には何も置かれていない場合

・近い方の曲がり角はなにもなく、遠い方の曲がり角に宝箱が置かれている場合

この2つのケースでユーザーの感じ方はどのように変わるでしょうか。

おそらく後者のほうが喜びが増すと思います。
遠い方の曲がり角=2つ目の曲がり角を調べるまでにコスト(苦労)を支払っているため、報酬の期待度が上昇しているためです。

本当の結論

人は近い曲がり角から先に調べる

人間のこの習性・傾向を意識してゲームを遊んでみると、レベルデザイナーの思わぬテクニックが発見できる…かもしれません。

最初の曲がり角に何を仕込む?

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