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『Vampire Survivors』から学ぶフロー体験

ゲームを開発していると「楽しいとは何か」「面白いとは何か」を突き詰めて考えることになります。

今まで自分がプレイして楽しんできた、面白いと思ってきたゲームに対して開発者の視点から「なぜそう思ったんだろう?」という疑問を投げかけ続ける、それがゲーム開発の宿命です。

「楽しい」「面白い」とは別軸に「気持ちいい」という観点があります。

色々なことを削ぎ落としてみれば人間も動物の一種であり、快楽に対する欲求は自然と持っています。

快楽にも様々な種類がありますが、これも単純化すれば「気持ちがいいこと」と言い換えられるでしょう。

肉体的な気持ちの良さとは異なる「脳内で起きる気持ち良さ」を分析した理論として「フロー理論」があります。

※実際にはフロー理論は快楽に関する理論ではなく、人間の超集中状態とそれに伴う幸福感について分析した理論です

フロー理論とは?

フロー理論についてはいくつかの書籍、WEBサイト、あるいは「かえるDさんのnote」で紹介されています。
※本投稿末尾にリンクあり

ここでは書籍『ゲーマーズブレイン』から引用してみましょう。

フローとは、内的動機づけを感じるアクティビティに夢中になり、完全に没頭しているときの喜びの状態を指します。
~中略~
フロー体験には以下の8つの要素が関連しています。
・スキルを要するやりがいのある活動(達成できる可能性があることがわかっている)
・行動と意識の融合(その人の意識が完全にアクティビティに注がれる)
・明確な目標(目標にはやりがいがあり、意義が感じられる)
・直接的なフィードバック(フィードバックは即時に行われ、目標に関連している)
・目前のタスクへの集中(日々の不快なことやタスクに関係のない情報は忘れている)
・制御感(タスクを達成するのに十分なスキルを得ている)
・自意識の欠落(内省の余地がない)
・時間の変容(時間感覚の喪失)

ゲーマーズブレイン -UXと神経科学におけるゲームデザインの原則- | セリア・ホデント, 加藤 諒 |本 | 通販 | Amazon

理論の真面目さをとっぱらって俗っぽく変換するならば、
「ゲームに夢中になって没頭して幸福感に包まれた状態」
つまり「脳内が超気持ちいい状態」と言えます。

フロー体験をしよう!

フロー理論を学び、自身のゲームに「気持ちの良さ」を盛り込むとして、
前述した8要素を頭の中にインプットすることは可能でしょうか?

理屈で分かった気になっていることを、そのままゲーム制作に落とし込めるでしょうか?

もし、実際にフロー理論を体験出来たら…自身のゲームに盛り込む際や、同僚と話す際に「あの感覚ね」とすぐに共有できて便利ですね。

ということで、本投稿のタイトルにもあるように、
『Vampire Survivors』をプレイすることでフロー理論を
だいたい30分で簡単に体験することができます。

『Vampire Survivors』とは?


超人気作ゆえ説明不要かな、と思いますのでsteamのリンクをぺたりと貼り付けておきます。
Steam で 20% オフ:Vampire Survivors (steampowered.com)

フロー理論とは別に、ゲーム開発者であれば『Slay The Spire』に次いで遊んでおくべきタイトルです。

超高速な「成長と負荷のサイクル」により、圧倒的な没入感と達成感を生み出し、脳内に幸福状態を作り出しています。

本タイトルを遊ぶことで、フロー理論がかかげていた8要素がもれなく盛り込まれていることが実感できます。
※スキルはプレイヤーの能力を指しますが、ヴァンサバでは「成長ツリーの選択」が代替していると考えます

まとめ

・ゲーム開発は「面白さ」と「楽しさ」について追求します
・別の観点として「気持ち良さ」を考えてみましょう
・「脳内の気持ちの良さ」の理論として「フロー理論」が参考になります
・理論を体験によって自分の中に落とし込みましょう
・フロー理論は『Vampire Survivors』をプレイすれば体験できます

おまけ

ヴァンサバをプレイしていると気持ちが良い反面、
最終的には虚無感と徒労感を覚えるのではないでしょうか。
気持ちが良い…しかし、それだけ。
という感覚です。

それがなぜなのかを考えるのも、またゲームの楽しさと面白さの手がかりになると思っています。

もちろん「ヴァンサバのようなゲームを作りたい!」と考えるのも正解だと思います。

参考


なぜ作ったゲームが面白くならないのか?基礎にして奥義「フロー理論」|かえるD|note

フロー体験とは | EARTSHIP CONSULTING (earthship-c.com)

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