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生きている今、何ができるか。「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」感想

VOCALOID。
コンピュータで歌声を作成できるツールのことですね。

僕が中学生だったころ校内でも流行していて、お昼の校内放送で「メルト」が流れたことを記憶しています。
(もちろん、賛否両論あって生徒総会の議題なんかに上がったこともあったのですが)

ただ、僕にはあまり刺さらず、有名どころを何度か聞いたことがあるという程度にとどまっていました。(今でもそんなに詳しくないです。)

図書館で本棚を見ている時に、目に留まったのが

(え、amazonさん。高。)

です。

60年代、80年代に生じた音楽業界の流れの変化などを組み、VOCALOIDの誕生から、発展、そしてこれからについてをまとめた名著です。

音楽・VOCALOIDに詳しくない僕が読んでも面白く、それぞれについて多くのことを学ぶことができました。

読んでいて、特に印象に残ったのが2008年以降の話。

それは、多くのクリエイターたちがカバー楽曲をyoutubeやニコニコ動画にアップロードしていた中でオリジナル曲を作る人が出てきた転換点のころです。

読んでいて、そこから”初音ミク”というキャラクターを通じてVOCALOIDという文化が花開いていく流れを生んだ人々の熱意を感じました。

そして同時に思ったのが「自分も居合わせることができただろうに、なぜいなかったのか」という思いでした。

当時小学生~中学生で、ニコ動とかで一緒に盛り上がることができたはずなのに、なぜその場にいなかったのか。後悔に似た感情がわいてきました。

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そうしたもやっとした感情を抱いたまま読み進めていくと、初音ミクを生んだ会社の社長さんがVOCALOIDの未来について語る最終章に。

今の子供たちにVOCALOIDを通じて、気軽に音楽活動ができる風土を作りたい(ざっくり要約)という話をされてます。

その話を読んで、「そうか、過ぎ去った革命のころに思いをはせるのではなくて、”革命の結果を日常として享受した世代”として何ができるかを考えるべきか」と、前向きな思考がわいてきました。

そういうたぐいの後悔をしがちな自分ですが、平成10年、1998年に生まれた自分。それなりの経験、学習をした自分だからできること。

そういうものにフォーカスしていけたらいいなと思います。


本自体もすごく面白いので、音楽史、ボカロ、そういうのに興味がある方にオススメです

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