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青い空、緑の山々、白い雲のある夏休み①

アブラゼミの鳴き声をBGMに、青い空、白い入道雲、緑の山々を一望する景色は日本人の9割が持つ”夏休み”の風景でしょう。しかし、その中でも実体験としてそんな絵にかいたような夏休みを経験して大人になった人はごく一握り。自分も体験できなかった側の人間。

幼少期を振り返っても、祖父母の家の周りには畑はあれども山はなく。仮にあったとしても、大きな向日葵、もぎたての胡瓜、ポケモンのカセットが入ったDS、手が届く範囲にある楽しいことに夢中で俯瞰した風景なんて意識してなかったことでしょう。”絵にかいたような夏休み”の風景が焼き付いたのは多分高校生くらいの頃。幻想の夏休みは大人になってから、昔を懐かしんで思い描く幻想なんだろうと諦める。

それでも、とあきらめの悪い自分は大学院生になった今でもそんな理想の夏休みを追い求めてしまう。しかし、”自然の未知”を解き明かすはずの大学に自然の四季の感覚は乏しい。鉄筋コンクリート製の建物、様々な実験のために培養器の中で何度も花を咲かせるシロイヌナズナ、夏休みも春休みも関係なくやってくる研究者。自分もその中の一人。

特に、卒業研究のための研究室配属をキッカケにラボ通いが始まったここ数年から一気に季節を感じる時間が減ってしまった。しかもコロナ禍による外出制限や自粛ムードによって春も夏も秋も冬も遠くに行ってしまい、ただ研究所に向かう道中の空気や風景、匂いが違うことだけを頼りに季節を感じる毎日。

ずっとこのままかな、という思いすら抱かなくなった時に唐突に招待された「まぁ夏だから山にでも登って温泉にでもつかろうぜ」という長すぎる名前のLINEグループ。大学時代の友人たちからの山登りのお誘いだった。

(続く)

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皆さんお久しぶりです、ライアンです!

4月で、毎日更新を止めてから半年が経過しましたが、また少し書きたいなという思いが戻ってきたので夏休みの出来事を(不定期ですが)記事にしていきたいと思います。全3回くらいで今月中に完結する予定です 笑。

これまでとは違って、叙情的というか小説チックな文体にもしてみているのでその感想などもいただけると嬉しいです。

お付き合いよろしくお願いします!



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