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読書を通じて内面が変化する喜び

今は3冊の本を同時に読み進めています。
宇能鴻一郎「姫君を喰う話」、続いて丸谷才一「文章読本」、「世界の名酒事典 2008-09年版」。
前2つは自分で買った本、名酒時点はバイト先の休憩所にある本。

1冊目の小説は目の前にありありと情景が浮かぶ表現力が抜きんでています。しかも愛しい姫君を食べてしまった侍やら、巨大鯨に挑む鯨漁師などの際立った人が何を考えるのか、その周りに何があるのかの描写なので読むだけで世界が広がるような感じがします。

2冊目の文章読本は、1980年に初版が発行された古い文章術の本ですが、単語は近くの単語との関係で選ぶとよい、文章力を鍛えるためには名文に触れるしかない、など今でも通用する内容が非常に多く含まれています。引用文だけでなく、本文も非常に古風な仮名遣いや漢字が多く読むのに少し苦労しますが、それを読めたということ自体がうれしく読み進めやすいです。

3冊目の名酒辞典は、個別のお酒の紹介だけでなく、ウィスキーとはどういう定義なのか、どういう歴史が重なってきたのか、みたいなお酒の基礎知識を色々と示してくれます。一つ一つのお酒の知識はなかなか身につかなくとも、これまでお酒を飲みながら疑問に感じていた物事が開くたびに解消されています。とはいえ、休憩時間でご飯を食べたりすると読む時間が少なくなってしまうし、持ち帰るわけにはいかないのが辛いところ。

後ろ2冊は読むごとに世界の見え方、頭の中の思考が少しずつ変化していく様子が感じられます。今noteの記事を書きながら「この単語は変えたほうがいいかな」とか、コンビニでお酒コーナーを見ているときに「ハイランドって書いてあるってことは、北部の方で作られたお酒なのか」などこれまでとは違った視点が得られています。

残念ながら姫君を喰う話を読んでいることで、自分の思考が変わったな~と実感する場面は今のところ訪れていないです。むしろ登場人物に引っ張られすぎてはいけない部類の本です。あかん、あかん。

一朝一夕で生まれ変わるなんてことはないけれど、少しずつ自分の内面が変化していくのを日々の生活の中で実感する。これこそ本を読む喜び。

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