これからブランドをスタートしたいデザイナーに伝えたいこと
デザイナーとブランドをサポートする、新しい取り組み、
maison407の一期生募集がスタートしています。
募集する立場、生産をする立場、
場所の用意、カートの用意、物流の用意をする立場として、
これからブランドを立ち上げたい方に対してお伝えしたいことを書いておきます。
オーダーメイドにはしません
・オーダーメイド
・受注した分のみの生産
・クラウドファンディングで達成すれば生産
のような曖昧な生産はしません。
無駄のない生産にはしたいのですが、完全オーダーにしてしまった場合、お客さまには待つ時間が発生し、生産者には曖昧なスケジュールが発生します。
特に洋服に関しては季節が大きく関わります。縫うだけなら(数量にもよりますが)1ヶ月くらいあれば可能ですが、生地や資材を抑えたり、作ってもらったりしなければなりません。
それを待っていると2〜3ヶ月かかってしまいます。
また、仮に受注数を見込んで生地作ってもらっていて、受注が無かったのでその生地を使わなかったとします。
すると、都合よくリスクを追わなかったのはブランドだけで、生地屋さんや機屋さんは作ってしまったリスクを負わされます。
「サスティナブル」なんていう言葉は、リサイクルをしたり、無駄な服を作らなければ成立しているわけではありません。
生地が廃棄されれば、そのブランドが直接的に手を汚さなかっただけで、誰かにリスクを負わせて綺麗事を述べたことになるのです。
同じことで、生産のためにキャパを空けていた職人も、その分入れられた仕事が入れられなくなります。
ブランド側の都合の良い生産のために、リスクを誰かに負わせていることになります。
よっぽどブランドの規模が大きくなって、生産数をある程度用意していてもすぐに在庫が売り切れてしまうようなことがあれば、生産数をある程度確保した上で、さらに予約を取ることもありますが、予約とオーダーメインのブランドを私たちが立ち上げる意味は無いと思っています。
ハイブランドのお洋服を手頃な値段では作りません
手の届かないくらい高いお洋服は、なんの理由もなく高いわけではありません。
もちろん海外ブランドだと関税で高くなっているなどの理由もあるにはありますが、そのお洋服を作っている方への敬意も込めて、
「ハイブランドのクオリティを手の届く価格で」なんてブランドコンセプトでは【ブランド】は成立しないと考えます。
それと同時に、あれもこれもやりたいことを、価格も考えずに盛り込んだお洋服も作りません。
作りません、というのは実際には語弊があります。
それをやって、妥当性を欠いた上代になったお洋服を喜んでくれるお客さんがいるのかどうか、そのエビデンスと理由がなければ作れません。
海外で大量生産をするお洋服と同じ価格では作りません
安いお洋服もまた、なんの理由もなく安いわけではありません。
洋服は500円のものも、30万円のものも、どちらも人間が作っています。
そもそも安いお洋服は【大量生産】の前提で安くできていて、なおかつその大量生産が売れなくなり、在庫を抱える金銭的な体力がメーカー側に無くなり、工数の合わない小ロットの生産にもかかわらず、安く生産しなければならない生産の背景を変えたくて、我々はnutteやteshioni、maison407を運営しています。
「高いお洋服は買ってもらえないから安くしたい」その気持ちはわかりますが、私たちがなぜこういったサービスの運営をしているのか、一緒にブランドを運営する同志としてあまりに理解がない方のサポートはできません。
ポップアップはしません
場所を借りるにはお金がかかります。
場所によっては売上にマージンがかかります。
teshioniやmaison407の商品は
原価率を50%程度まで上げ、
ファストほど安くすることはできませんが、なるべく手に取りやすい価格になるように上代の設定をしています。
そして、利益のうち40%、上代から考えると20%をデザイナーにお支払いします。
我々の運営費用は残りの30%です。
その中から
企画・生産・場所・カート・物流にかかる人件費を捻出しています。
立ち上げたばかりのブランドで、この条件からポップアップで利益を出すことはかなり困難です。
また、集客ができていれポップアップの必要性は低く、逆に集客ができていないブランドはポップアップで利益をあげることが難しくなります。
当然、ポップアップを受け入れている館側も、集客しないブランドを入れることはある種の投資であり、規模が出ないブランドに投資することにあまり利点がありません。
世の中のブランド全部がそうだということではなくて、あくまでmaison407でスタートするようなブランドは、という意味ですので誤解のないように・・・。
何かを助けるためのブランドにはしません
ブランドの売上をなんらかの支援にする、という目的で運営することはしません。
いくつかのnoteの記事でも述べていますが、小さなブランドに私たちや職人が手を貸すのは【投資】であり、買ってくれるお客さんが求めているのは【お洋服】です。
ブランドとしてきちんと売上をつくり、関わっている人の利益をつくる前に、デザイナー自身やお客さま以外の「別の目的」のために何人もの人に時間やお金を投資してもらうわけにはいきません。
もちろん、例えば海外の、またはご自身につながりのある何かを、支援したい、というお考えは大変尊いと思っています。
ただし、支援が目的ならば、ご自身の基礎も資本も無い状態で、他人の力を借りてアパレルブランドを立ち上げる必要はありません。
それは支援を必要とされている方にとっても、またあなた自身にとってもとても遠回りです。
もしも支援が目的ならば、自分自身でその目的を、真正面から全力で果たしてください。
責任を持って決められないデザイナーの洋服は作れません
お洋服をつくるのも、ブランドを運営するのも、取捨選択をすることの繰り返しです。
「シルエットにこだわる」とか「素材にこだわる」というのは大変良いことなんですが、それによって何度も差し戻しになったり、作ったサンプルをロスしたりすると、コストが上がり、そのコストは最終的にお客さまが支払うことになります。
特に小ロットの場合は、そのロス分を、販売するお洋服の着数で割って負担するので、お客さまに買っていただく1着にかかってくるコストがどんどん大きくなってしまいます。
ですから、まずは(自分で作れないこだわりの部分は)作り手にわかるように伝えることができる方、そしてどんな決断も、結果にも、責任を持てる方でないとご一緒できません。
こだわりのために、何度も差し戻しされるようなお洋服は作りません。
大切にしていること
私たちの目的は【服を売ること】でも【作ること】でもありません。
ブランドが生まれれば、利益が生まれるわけではなく、あくまでもそのブランドが定期的な量産ブランドになったときにやっと職人の利益になります。
わたしたちは職人の利益になることや、職人の未来につながっていることを選び、また技術をもった職人に我々を選んでもらえるようなサービスを展開していきたいと思っています。
こんな我々と一緒にブランドを運営したい方、
こんな時代にファッションブランドを立ち上げたい方はぜひこちらからご応募ください。
弊社代表もスタートにあたり記事を書いていますのでよろしければこちらもご覧くださいませ!
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