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【Museum⑲】紙の博物館@飛鳥山

退職に伴う有給消化期間の楽しみとして、
都内の博物館・美術館を巡ってみることにしました。

気になっていた「ぐるっとパス2024」を購入したので、
その対象館が中心となります。


第19回:紙の博物館

「飛鳥山 3つの博物館」のひとつで、
紙を専門に扱う産業系博物館です。

ぐるっとパスの提示で、
一般 400円 → 無料 
になりました。


最寄り駅は王子駅。

音無親水公園をぶらぶらしたあと、
飛鳥山には西側からアプローチすることにしました。


郵便局も渋沢栄一推しがすごい。


路面電車が走る光景。

信号の黄色矢印を見たのは
教習所以来な気がします。


飛鳥山を登ってみると、
子どもたちが走り回る愉快な公園でした。


リアルな象さんすべり台。

長い鼻を活かすでもなく、
象はただ背中を貸しているだけです。


尖塔の向こうに見えるのが、紙の博物館です。

幻想と現実の狭間みたいな、世界観のギャップ。


入口には、Paper の語源になったと言われる
パピルス
が植えてあります。

紙について学ぶぞ!
という気分を高めてくれます。


ちなみに、ここの入口は建物の 2F にあたります。

1F にも記念碑コーナーがあったんですが、
気づかずにスルーしてしまいました…

公式ホームページから写真を引用。

https://papermuseum.jp/ja/exhibit/


展示

日本・世界の製紙産業の歴史と現在を学べる展示です。

特定のテーマ(紙) に沿って、
複数の時代・地域を見ていくスタイル。

「たばこと塩の博物館」と同じく、
典型的な産業系博物館だと言えるでしょう。


王子と紙には、浅からぬ縁があります。

明治6年、渋沢栄一が中心となって
「抄紙会社」が設立され、
工場が設立されたの王子の地でした。

原料のボロが入手しやすい大都市の近郊で、
製紙に必要な水も豊富であったことなどが
理由だったそうです。


改正地券の発行により、
輸入に押されていた製紙会社が苦境を脱したとのこと。

歴史上の出来事を
産業やモノの需要の面から見てみると、
意外な会社の業績が上がっていることがある例。

『世界一楽しい!会社四季報の読み方』に、
解散総選挙が行われると
投票用紙を製造している会社の株が上がる、
みたいな話が書いてあったのを思い出しました。


製紙工場の模型。

毛布で水を絞ってるんですね、
ちょっとほっこり。


日本は紙大国

生産量は中国・アメリカに次ぐ世界 3位、
消費量は世界平均の 3倍を超えています。

消費量の世界平均は、発展途上国を含んだもので、
世界の中で圧倒的に多い、というわけではなさそうですが。

あと、スロベニアの紙消費量がダントツなのは気になりますね。


同じ紙でも、用途によって厚さが大きく異なります

一番右のインディアペーパーは、
辞書に使われる薄くても透けにくい紙。

たしかに辞書って、多くなりがちなページ数に対して
本の厚みが抑えられていますよね。

使っている紙が違う、ということで
改めて納得しました。


日本初の段ボール製造機の復元模型。

学研まんが『段ボールのひみつ』でも、
「紙の博物館で復元されたものが展示されてるよ」
と記載がありました。


3F は、小学生向けの体験型展示が中心

博物館から少し科学館に寄ったようなイメージです。


色々な植物を使って作られた紙

紙を触ったり、フタを開けて原材料を見たりできます。

コロナ禍ではオミットされていたであろう
さわれる系の展示が復活したのはうれしい限りです。


原材料のサステナビリティや、
リサイクル性の高さ
が紙の特長。

ペーパーレス化が叫ばれる一方で、
紙を使った包装や食器は
環境負荷が小さい点で注目されています。

環境のために紙をやめようと言いつつ、
他方では環境のために紙を使おうと言っている、
なんだか不思議な世の中です。


4F は、紙の誕生と伝播、紙の文化などの展示です。


紙が普及する前は、植物の葉や皮を使っていました。

左に写っている竹簡もその一種ですね。


こちらは樹皮製。

パタパタと折りたためるところがオシャレ。


ヨーロッパでは、パーチメント=動物の皮を薄くしたもの
が使われていました。

製造コストがハンパなく高かったと聞きます。

実物は初めて見ましたが、
たしかに厚手の紙のようにも見えますね。


中国で生まれた製紙法の伝播図

イスラム勢力と唐との間で起こった
「タラス河畔の戦い」をきっかけに
製紙法が西に伝わった、って話、
信憑性はともかくとしてロマンがあって好きです。


紙すきの道具。

お札と切手の博物館 でも登場した「すかし」が
どうやって作られていたかがわかります。


こよりにした紙を編んで漆を塗った「紙長門」

紙なのに液体が運べる、
江戸時代の牛乳パックみたいなものですね。

矢筒や陣笠などの武具にも用いられたそうです。


服だって、紙で作っちゃいます

キャプションの説明を見ると、

  • 軽い

  • 丈夫

  • 汗をよく吸う

  • 洗濯できる

  • 保温性が高い

と、最強の機能性衣料っぽい。

絹のような殺生をしないことから、
僧侶の法衣としても利用されました。


紙製の着せ替えおもちゃ

江戸時代の豊かな遊び心には、いつも驚かされます。

250年近くの平和が生み出した奇跡だと思う。


動物の革を和紙で模造した、金唐革紙

aosagi さんの note で見たやつだ!
と密かに興奮していました。

触り心地(たぶんお触りOK) はしっかりしており、
紙とは思えない重厚な質感でした。

模倣元の金唐革を触ったことはないですが、
紙でここまでの重厚感・高級感を出せるのは
とんでもない技術だと思います。


その他写真

今回はじっくり見られなかったものの、
飛鳥山には他にも見どころがたくさんあります。


時間の都合で入館を諦めた渋沢史料館。

渋沢栄一のデカい胸像がありました。


全身像もあるよ。


渋沢栄一の書庫だった青淵文庫。


事務所にきれいなチョウチョが止まってました。

公園全体が自然にあふれているので、
散策するのも気持ちよさそう。
(この日は猛暑&ゲリラ豪雨でした…)



おわりに

モノにスポットをあてた産業系の博物館が
自分の好みに合っている
と感じました。

そういえば大学の卒業論文も、
時代ではなく地域を限定して、
その地域の移り変わりをテーマにしていました。


ぐるっとパス対象施設としては、
凸版印刷が運営する印刷博物館もあります。

また、Wikipedia に載っている施設だけでも、
相当な数がありそうです。

ぐるっとパスがなくても
入館無料の施設が多いですしね。


参考

紙の歴史を学ぶには、下記の動画がおすすめ。


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