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【補足】有料の特許検索データベースを契約している場合にFタームを用いてパテントマップを作成する方法

これまで3回にわたって「J-PlatPatとMS Excelを使ってFタームから統計解析マップ作成」について解説してきました。今回はJ-PlatPatではなく有料の特許検索データベースを契約している方(Fタームを含むCSVリストをダウンロードできる方)向けの補足となります。

前編:Fタームを用いたパテントマップを作成する際の考え方
中編:J-PlatPatとMS Excelを用いてFタームを用いてパテントマップを作成する(方法1)
後編:J-PlatPatとMS Excelを用いてFタームを用いてパテントマップを作成する(方法2)
補足:有料の特許検索データベースを契約している場合にFタームを用いてパテントマップを作成する方法

第2回・第3回では具体的にJ-PlatPatとExcelを使ったパテントマップ作成方法について解説してきましたが、J-PlatPatの限界は特許リストとしてダウンロード(正確には検索結果一覧のコピペ)できる項目が限定されていることです。

一方、有料の特許検索データベースでは発明の名称、日付、番号だけではなくFタームを含む特許分類や、審査官、代理人、引用・被引用、特許請求の範囲など幅広い項目をダウンロードすることができます。

今回のシリーズではFタームを利用してパテントマップをどう作成するか?について解説してきましたので、補足編としてExcelの関数を用いてFタームから各特許にフラグを立てて、パテントマップを作成する方法について解説していきます。

本日の方法はFタームを対象としていますが、特許リスト中に含まれればどのようなデータ(たとえば発明の名称、要約中のキーワード)でも対応可能です。

それではさっそく解説していきます。

1. 分析の考え方と分析対象母集団

分析の考え方は前回説明した方法2と同じです。

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つまり、Fターム2E185AA06「・・顔面(口、鼻、眼部等を覆う面体等)」で母集団を形成して、以下の各Fタームにフラグを立てていく方法です。

2E185BA01 ・気体発生、吸着、分離又は脱臭効果等の改良
2E185BA04 ・気密保持又は顔面等との密着性の向上
2E185BA07 ・作業性の改善
2E185BA11 ・小型化、簡略化又は軽量化
2E185BA16 ・製造方法の改良(単純化、量産化、低廉化)
2E185BA17 ・使い捨てマスクの提供
2E185BA18 ・長時間使用又は長寿命化
2E185BA19 ・排煙又は換気の改善
2E185BA20 その他

違いとしては、上記Fタームの下位分類(太字)についても個別にフラグを立てていくことです。

2E185BA01 ・気体発生、吸着、分離又は脱臭効果等の改良
2E185BA02 ・・呼吸気体の供給
2E185BA04 ・気密保持又は顔面等との密着性の向上
2E185BA05 ・・気密室又は袋体
2E185BA07 ・作業性の改善
2E185BA08 ・・身体への取付け調節手段又は係止手段の改善
2E185BA09 ・・身体周囲又は吸気の温度、湿度等の調整
2E185BA10 ・・無菌室(クリーンルーム)又は汚染室内作業
2E185BA11 ・小型化、簡略化又は軽量化
2E185BA12 ・・取扱い、着脱容易(老人、子供も取扱える)
2E185BA13 ・・携帯、持ち運び容易(手携袋、鞄等と兼用)
2E185BA16 ・製造方法の改良(単純化、量産化、低廉化)
2E185BA17 ・使い捨てマスクの提供
2E185BA18 ・長時間使用又は長寿命化
2E185BA19 ・排煙又は換気の改善
2E185BA20 ・その他*

なぜかというと、前回の方法2ではJ-PlatPatでFターム=2E185BA01で検索すると、階層検索で自動的に下位分類である2E185BA02もヒットしていました。

しかし、今回のExcelの関数を使った方法では階層検索ができません。特許リストのFタームのセルに含まれている中のFタームに一致するものがあるか否かを判定するからです。

分析の考え方について確認しましたので、まずは分析対象母集団を準備します。今回はデータベースとしてPatentSQUAREを用いましたが、別の有料データベースであってもFタームを含んだ特許リストがダウンロードできれば問題ありません。

PatentSQUAREで母集団のFタームである2E185AA06「・・顔面(口、鼻、眼部等を覆う面体等)」を検索して、2000年1月1日出願以降に限定すると2,348件ヒットしました。

以下がダウンロードした特許リストになります(分かりやすいようにFタームをB列に移しています)。

画像2

2. 関数を用いて各Fタームを含む特許にフラグを立てる

それでは、関数を用いて各課題・目的のFタームを含む特許にフラグを立てていきます。

まずは課題・目的のFタームの列を挿入します。

画像3

ここでは分かりやすいように1行目に課題・目的のFタームの定義を挿入していますが、これは省略しても問題ありません。

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